「つくる」北川さん
何かを表す時に一番、簡単な伝達手段は何でしょうか?
僕が一番に思いついたのは、言葉です。
言葉には意味があります。
しかし、言葉にすることで一つの意味や記号に表現を閉じ込めてしまう退屈さがあります。
だから、文学はいくつも言葉を並べて物語にしたり、より縮めて韻文にしたりして、その芸術的な領域を広げてきたのかもしれません。
では、言葉以外で伝えるものはあるのか、聴覚を用いた音楽もあると思います。
古くからクラシック音楽等は、タイトルや背景を知っていないのと分からないものもあります。
僕自身もクラシックのCDのライナーノートを読んで、初めてそういうことを表現していたのか、というリテラシーの低さを爆発させています。ただ、そこでクラシックではなく新しい音楽として初めて意味を獲得する面白さもあります。
さて、じゃあ、美術はどうでしょうか?
よこにゃんこと、北川愛乃が描く絵は写実的なものではなく、抽象的なものが多いです。
抽象画の面白さは、こちらの理解力と芸術家の表現力が一致した時や、こちらの理解のリーチの遥か遠くまで表現していた時の驚嘆があるのではないかと思います。
ピカソの「アタンシオン(注意力)」やセザンヌの「サンサシオン(感覚)」と芸術家たちは様々なものを用いて、作品を残してきましたが、よこにゃんの絵を見るときにも、自分の注意力や感覚が動員される気がして面白いんですよね。
彼女は、SKE48のメンバーの中で1、2を争うぐらい尊敬しているメンバーで、何故、尊敬できるかというと「創る」からなんですね。そして、「造る」メンバーでもある。
彼女のアメーバブログは、2020年12月5日、本日までの時点で351記事。その中で様々なものが「創られ」、「造られ」ていく過程が残されています。
たとえば、初期の「ドムヘッド」を完成させるまでの工程は、普段、何気なく知っているドムの頭の構造をパーツレベルで再認識していく発見と、徐々に知っている形が出来上がる楽しみ、そして、彼女の工夫が見えてきます。2019年12月30日から2020年6月12日まで続いたこの連載は、徐々にコロナ禍で日常が変わり、止まっている感覚がある僕らに変わらない日常の場の一つになっていたのではないかと思います。
今、造っている「ムカデちゃん」もどうなるのか、楽しみです。
造形物だけではありません。
携帯ゲーム「P4U」での敵キャラクターデザイン。
名古屋の有名な物や場所をモチーフにしながら、キャラクターをデザインしてくんですが、定型にこだわらない自由なキャラクターデザインです。
同じ発想が出てこない、ワンアンドオンリーの素晴らしさがあります。
彼女のつくるものは、視覚だけではありません。
味覚も刺激される料理も沢山作っていきます。
しかも、ちょっと気になる名前が多いんですよね(僕が料理に詳しくないのもあるんですが)。
ダルゴナコーヒーとかは、ちょっとやってみたいですね。
バスク風チーズケーキも動画付きで分かりやすかったですね。
ちなみに、豆腐お好み焼きの時の服が好きです。
更に、彼女のブログの凄いところは、よこにゃんへのメッセージを拾っているところ。そして、コメントをするところだと思います。きちんとメンバーが読んでくれているという嬉しさと、他のファンの人も読んでいるということで、凄く良いコミュニティが出来ていると思います。これって、なかなか作れるコミュニティーじゃないんですよね。
僕も今、こういうコミュニティーが出来ないか考えています。
11月からのデッサンの練習から、彼女の次の作品にどんな要素が加わるのかも楽しみです。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12637356874.html?frm=theme
そして、忘れてはならないのが、彼女の身体自体がアートであることです。
それを感じたのが、劇団壱劇屋の「猩獣」を観た時です。
ワードレスという台詞なしの身体表現のみの演劇だったんですが、彼女の表情や動きからどんな気持ちなのか、どんな背景があったのか、能動的に対象に向き合うという意味では、彼女の描く絵ともリンクする気がします。
来年の新作でどんなものを見せてくれるかも楽しみですが、被写体としての彼女自身も様々な世界や物語を描きでしてくれると思います。特に振袖の写真は本当に良いですね。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12641337965.html?frm=theme
最後に、2020年7月1日の行ってみたい国の回も興味深くて、彼女からみたそれぞれの国、特に北極のオーロラはどんな風に映るのか、見てみたいです。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12608156257.html?frm=theme
彼女が「つくる」世界はSKE48の新しい価値観の一つだと思います。
2020年後半は徐々にメディアでも彼女の才能がピックアップされ始めました。
2021年は代表作が一つできるんじゃないかと期待しています。
※おかしい…。ベレー帽に眼鏡のよこにゃんって可愛いよね。みたいなゆるい記事の予定だったのに。