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2020年6月10日水曜日

SKE48と渡辺美優紀

答えは分からないまま



 皆さんは、どうしても逆らえない大きな流れに飲み込まれそうになった時、どうやって受け入れますか?

 2014年2月24日、48グループと46を巻き込んだ大組閣が行われました。
 SKE48もその大きな流れに巻き込まれ、木崎ゆりあという間違いなくSKE48の未来を担うであろう逸材をAKB48に移籍させることになりました。
 高柳明音は難波へ、木本花音は博多へ、そして、松井玲奈は乃木坂へ兼任することになりました。
 また、上海から宮澤佐江、博多から田中奈津美が兼任、谷真理佳や大場美奈、佐藤すみれが移籍してくることになりました。
 
 この時点で中西優香推しだった僕としては、「ええっ、にししがキャプテンじゃなくなるのか!」という衝撃を受けましたが、実はこの時、もっと重要なことがありました。
 それは、NMB48の渡辺美優紀と山田菜々の兼任でした。
 
 当時、AKBとSKEは比較されがちでしたが、SKEとNMBも同じくらい比較されていました。
 特に大組閣色が強く出たチームSは、「果たしてこのチームデザインはいったい何なんだろう。そして、これは各グループの個性を薄めることにならないか?それとも、それでも残ったものをそのグループの個性にするのか?そして、本店にエース級を集めて行う、ペナントレースってなんだ?」と2月24日、当日は思ったものです。そして、ネットは大荒れだったのを覚えています。あの大組閣で離れていった人、やってきてくれた人もいたんでしょうね。
 ちなみに、僕のNMBに対するスタンスを書いておくと、関西に住んでいる関係からとても親しみ深いですし、「げいにん!」のシーズン1は神がかった面白さだと思っています。その中で普段はにこにこ笑顔なみるきーが、ちょっといじわるな表情でさや姉をいじる時なんかがとても好きでした。
 難波で良い曲が多くて、「ドガとバレリーナ」や「存在しないもの」、「だってだってだって」なんかは良く聴いています。

 さて、話を戻して、この時の気持ちを渡辺美優紀は映画「アイドルの涙」の特典映像の中で「SKEに兼任っていうことをして、何の得があるのか、得っていうか、何が、誰が自分にじゃなくて、誰にとっていいことがあるのかなって、思いました。別に、ライバルチームだし。どっちつかずになっちゃうし、私は、NMBをSKEやAKBさんを抜かして、NMBが全国民的アイドルになりたいなって気持ちが、気持ちでいたので、そのSKEと兼任して、どういう風にどうどうとNMBをアピールすればいいんだろうと思ったし。うーん。自分が受けたところもNMBで、やっぱNMBが大切なことには変わりはないので、イヤでした本当に」とストレートな気持ちを語っています。

 ファンですら戸惑ったのに、兼任を言い渡された本人たちの気持ちを考えると…。しかも、みるきーの場合、NMBのフロントメンバーの一人でしたもんね。
 1期生としてNMB48を日本一にする為に努力してきた彼女からしたら、あまりにも理不尽な人事異動。
 人生の中で、そうは来ない理不尽さのレベルですよね。
 当時の背景としては、文春からのスキャンダルも出ていた時でしたし、あまりにも衝撃的で、SKE48ファンのどれぐらいの人が、彼女の受け入れに賛成していたのかは分かりません。

 ただ、少しずつ彼女の気持ちは変わっていきます。
 2014年3月3日放送の「NMB48のTEEPENラジオ」で、小谷里歩へ次のように語っていきます。
「あとは、チームSに兼任ということで。はじめは凄い不安で。お母さんも私に電話してきて泣いてたりしてて(まーちゅんのお母さんとみるきーのお母さんが一緒に映画館で大組閣の様子を観ていたそうです)。(中略)もう、S。ねえ、初め聞いた時は、初め私はチームBさんと兼任してたので。まさか、そのやっぱり、AKBさんと兼任することで自分にとってもグループにとっても良いことがあるなっと思って、そういうのを感じながらしてたので。まさかライバル、とってもライバルのSKEのところに行くとは思わなくって。自分は何の役目があるのかっていうのを悩んだんですけど。今、チームSさんは、「RESET」公演をしてるんですよ。チームKさんがやってたのをしてて。家帰ってから「RESET」公演を観たりしてるうちに、玲奈さんからもメールで励ましてもらったり、(中略)心配をしてくれてたり、珠理奈さんもね。暖かく迎え入れてくれたり。キャプテンの宮澤さんも。(中略)私はNMB48のオーディション受けたので、NMB48を引っ張っていって、これからどんどん上のNMB48がどんどんどんどん有名になったらいいなあ、と思うのと一方。ちょっと、チームSで、新しいチームSを浮かべてみると、もしかしたら最強チームSになる可能性もあるな、と思って。だから、私は葛藤してるんですよ。どっちも頑張ろうという気持ちになったから」
 この言葉を聞いたりぽぽは、感動し「明るいね未来は」と言っていました。
 もともと頭の良いみるきーだからこそ、葛藤があったんでしょうね。
 この後のみるきーの「チャンスの順番」的な話も良いですね。
 ちなみに、だーすーの凄さをまーちゅんと語っている回もあったはずなので(第何回か忘れましたが、2013年だったはず)、気になる方はチェック!
 

 やがて、新チームSが始動。
 2014年4月25日に「制服の芽」公演が開始されます。
 この時の違和感は、未だに覚えています。
 あれ、同じ「制服の芽」なのに、「恋を語る詩人になれなくて」なのに。
 何なんだろう?という謎がありました。
 ただ、SSAの時の「RESET」では、宮澤さんの久々の「RESET」に感動して僕も涙をした反面、「うわあ、みるきーが『RESET』踊ってるよ!」という別の感動もありました。難波がお好きな方ならご存じかと思いますが、みるきーはダンスメンの一人でもあるんですよね。
 チームSとの兼任はそういう意味もあるのかも知れませんが、まさか、松井玲奈のソロ曲「枯葉のステーション」を担当することになるとは。
 僕としては、あれだけ踊れる人なんでダンス曲の方を担当できなかったかとも思うんですがね。
 初日から彼女に対しては厳しい目を向けられることになります。
 そういえば、SSAの時も声援の差が露骨でした。
 この辺りは、「大組閣」という理不尽な現象の怒りのはけ口にされてしまったんじゃないか、と2020年現在は感じます。

 さらに、「不器用太陽」が2014年7月30日に発売。
 彼女は選抜に選ばれ、AKB、SKE、NMBの3グループの作品の握手をすることになります。これはかなり限られたメンバーだけでしたが、今、考えると、48グループの面白さであった企画で新しいシステムを作るというモデルが崩壊し始めていたようにも、僕は感じます。
 選抜の枠を増やしたものの、彼女が入ることでSKEの選抜争いの真っただ中にいたメンバーのファンの方は納得がいかなかったかも知れません。
 この頃、「SKE48のエビショー」が始まります。
 みるきーはこの番組と「エビカルチョ」でも大活躍しています。
 
 既にソロプレイヤーとして活躍していたみるきーは、なかなかSKEの公演には出られませんでした。それでも、2014年は生誕祭を行っています。
 この時、メンバーたちに「みんあずっと支えてくれてずっと励ましてくれてありがとう」と語るみるきー。宮澤さんが卒業時にメンバーへの感謝の言葉を語っていましたが、外から来る人にも温かく迎え入れるのもSKE48メンバーの良いところなのかも知れません。
 涙ながらに最初は戸惑ったけれど、兼任してSKEの魅力を知ったと語っています。「孫氏の兵法」に敵を倒すのではなく、味方にすべし、ということが書かれていますが、まさに、ライバルが味方になってくれた、という嬉しさがあります。
 確かに、佐藤実絵子・中西優香の二人のケアやさきぽんのフォローなんかもしっかりしていましたよね。まいたけなんかも。



 続く、「12月のカンガルー」でも選抜入り。
 当時、選抜発表がされた会場にいましたが、一人一人選抜メンバーが発表されていく中での難波勢二人への声援は少なかったです。
 まあ、当時の僕も、えっ、今度は鈴蘭とかなつみかんの番じゃないの?と思ってたぐらいです。
 
 書き忘れていましたが、みるきーが大注目しているメンバーの一人が江籠ちゃんでした。江籠ちゃんのことを「10万人に一人の逸材」とし、凄くかわいがっていたことを江籠ちゃんはアメブロの中で書いています。
https://ameblo.jp/ske48official/entry-12029473204.html

 やがて、2015年5月21日、彼女はSKE48を去っていきます。
 
 
 
 彼女が去った2年後、NMBのファンだったメンバーがSKE48の8期生となって入ってきますが、これはまた別の話です。

 ドキュメンタリー映画「アイドルの涙」の中で、兼任をやってみることで得たものについてこう語っています。

「やってみないと分からないこともあるな、と思って挑戦はしてみました。やるって決めたからには楽しもうって思ってやりました。SKEのメンバーと仲良くなれたことは、人生で良かったことだし、これからもやっぱ仲良くなれた人が沢山いるので、この先も仲間でいたいなと思います」と語っています。
 
 僕らは新型コロナウイルスというどうようもない大きな波にのまれて、「日常」を一部放棄して、「新しい日常」を選ぶことになりました。
 多分、様々なチャレンジをしていくことになるでしょう。その時に、彼女のように逆境の中で何か大切なものを一つ手に入れて、先に進んでいけたらいいな、と思います。
 
 この1週間ぐらい、ずっと考えていました。
 渡辺美優紀をSKE48は他の兼任メンバーのように活かしきれていたのか、と。
 メディア関係は出来ていたかも知れませんが、果たして彼女にぴったりの位置はどこだったのか?
 まだ答えは見つかっていないので、一度、大組閣を企画した人に話を聞けないかな、と思う今日この頃です。