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2020年6月28日日曜日

手をつないでくれた人

分け合ったその勇気


 初めて握手したメンバーを覚えていますか?

 僕はSKE48では、古畑奈和でした。
 確か、「キスだって左利き」の全国握手会だったと思います(2012年の秋ぐらいだったと思います)。
 まだ、チームEだった奈和ちゃんが、「初めまして!」と覗き込むようにこちらを見たのを覚えています。
 「これが握手会!」、「この子は何だ!」など、様々な衝撃が駆け巡り、お目当ての同じレーンだった中西優香に「あっ、1推しです」ぐらいしか言えなかったのを覚えています。
 初めて握手した推しに会えた嬉しさもあったのですが、あの人懐っこいメンバーが古畑奈和か、と衝撃を受けました。
 その日、関西から名古屋に僅か握手券4枚のために遠征していた僕は、残りの1回を秦さんに行き、あとは、推しのレーンに通ったのですが、毎回、ぴょんと動く奈和ちゃんに、いやあ、なんかまた会いたくなる子だなあ、と思いながら、レーンを後にしたものです。
 
 彼女の握手は、そこからどんどん人気になり、2013年2月8日、「ガチガセ」という全国放送のテレビ番組でゴールデンタイムに彼女の握手が紹介されます。「AKBグループの頂点? SKE48・古畑奈和の神対応とは?」というタイトルで、彼女がぴょんとジャンプして移動する動きが「古畑ジャンプ」として紹介されます。
 既に2012年9月の時点でチームE内では、握手会売り上げは木本花音に次ぐ2番手の売り上げをマークしていましたが、更に彼女の握手人気は爆発していきます。

 ただ、良いことばかりではなく、放送翌々日の握手会で菅なな子に「古畑ジャンプ真似してる」と言う人が続出しました(本人に悪気がないにせよ)。おかげでなな子は、奈和ちゃんファンに嫌な思いをさせてはいけないと思い、サイドステップで移動するということになります(詳しくは、2013年2月10日のGoogleプラスを参照)。


 注目度が高くなると、色々な人が出てきます。
 2013年3月20日の公式ブログでは、握手会やぐぐたすのコメントで、「ブログの更新回数が少ない」ということを伝える人達のことを語っています。
 それに対して、学校と仕事の両立について語ります。
 その逆の意見を言う人もいて、「会員登録をしていないから、最新のしか見れない」ということを伝える人達もいました。なので、日を置いて更新していると。二つの意見に挟まれながら、彼女は公式ブログを更新していたんだなあ、というのが分かります。
 
 2013年4月3日からは、「ハピホリ」の新レギュラーが決定。
 中西優香、加藤るみと一緒にトークをしていくんですが、この頃の奈和ちゃんは、まだ様子を見ながら喋っている感じでした。
 
 注目度が高くなると、総選挙の順位についても期待されます。
 同期の菅なな子、同じくAKBとの兼任が決まった難波の矢倉楓子と比較されることが多かったですが、おそらくランクインするのでは、と予想する人が多かったです。

 そして、迎えた2013年6月8日の総選挙。
 投票券付きの「さよならクロール」の握手券は、4次の時点で20部すべて完売していました。 
 彼女の名前は呼ばれるのか?
 僕も当日は、日産スタジアムの一番上の席で開票を見守りました。
 まず、64位で推しの名前が呼ばれて、ホッとして、それからはスタジアムの一番上で続々と名前が呼ばれていくメンバーたちと、それを聞いて喜ぶファンの方々の姿を見ていました。時には知らない人同士で握手をしている人たちもいました。それを見て、なんだか良い光景に出会えたなあ、と感じました。
 時々、アンダーガールズを過ぎた頃、大型ビジョンに映るまだ名前を呼ばれていないメンバーたちの姿を見ると、先輩たちのランクインに喜ぶメンバー、ただただ悔しさに耐えるメンバー、それぞれでした。

 この日、奈和ちゃんの名前は最後まで呼ばれませんでした。

 3日後の公式ブログで、当日の気持ちを彼女は語っています。
 泣きたい気持ちになったこと。
 でも、泣いたら諦めたことと同じになるので、最後まで泣かないようにしていたこと。
 その時、隣りの席に居た松井玲奈が手をぎゅっとしてくれて、彼女の優しさに泣いてしまったこと。

 多くの人の手を包んできた彼女の手を包んだのは、松井玲奈の手でした。
 
 松井玲奈自身も神7を超える「神崩し」が出来るかどうかの緊張状態にありながら、奈和ちゃんの手をぎゅっと握ってくれていた。
 折れそうになった彼女の心をささえる彼女の行為に、僕はSKE48の名曲「手をつなぎながら」のサビを思い出しました。

 奈和ちゃんは、この3か月後にじゃんけん選抜に入り、徐々に兼任先のチームKでも頭角を現していきます。月に数回しか出れない月があって、EとKのイズムをうまく融合できないか、ということに悩んだり(2013年11月30日公式ブログ)、ダブルブッキングで急に公演に出れなくなったり(2013年10月27日HP)、と様々な問題に直面していきますが、ぐんぐん実力を公演で発揮していきます。「握手の古畑」から「実力の古畑」へと徐々にSKE以外のファンにも認められていくわけです。

 そして、2014年6月7日。
 味の素スタジアムで彼女の名前は呼ばれます。
 その時の彼女の顔が忘れられません。

 やがて、彼女は松井玲奈がしたように、多くのメンバーによりそうようにさりげない優しさを見せていきます。最近では卒業を発表したこっちゃんへのコメントが印象的ですが、やはり、「前のめり」撮影時の松井珠理奈に寄り添う姿、選抜で思うようにいかず悩む熊ちゃんに送った手紙。彼女なりのやり方でそっと手をつないでいきます。
 あと、このコメントも凄く印象的です。


 
 いつかまた、握手会が再開されたら、奈和ちゃんと4年ぶりぐらいに笑顔の交換がしたいな、と思っています。