言葉の説得力を持たす設定
個人的に時代劇が好きで旧作・新作問わず観るタイプなんですが、今回観た「死神遣いの事件帖」は、最初は時代劇だと知らなくてですね。
作品としてもシナリオとしても、良い意味で裏切られました。
主演の鈴木拡樹さんは、「信長と蘭丸」とか「刀剣乱舞」とか「カフカ」の人だな、と知ってたんですが、今回の演技が僕は好きになりまして。3枚目の線でもいけるな、と思いましてね。
朝から2番目の回を観に行きましたが、パンフは売り切れてましたよう。
【ここからはネタバレありです】
とにかく伏線回収が素晴らしかった。
「お千」さんや「お藤」さんというネーミングもそうなんですが、「どこかで会ったことがあるんじゃないか?」という問いも凄く良かったんですが、吉原が誰かを守るためのものだとしたら、というのが斬新でした。いやあ、その発想は無かった。
歴史との繋がりも上手く落とし込んでいて、本当に良い脚本だったなあ、と思いました。
そして、殺陣も無駄に斬り合うんじゃなくて、本当に重要な部分に集約することで、緊張感がある闘いになっています。特に西洋の死神との闘いが僕は好きです。速いところと遅いところの緩急がしっかりとしてましたね。
また、死神遣いという設定だから、戦った後に寿命が縮まった関係か息が上がるし、「命をかけて」という言葉の説得力が宿る。また主人公の血筋を知ると、ヒロインを助けるということにも必然性を感じられるから素晴らしい。
役者の皆さんでは、特撮好きには見慣れた方が何人かいるのが嬉しかったですね。
鈴木裕樹さんも、最初観た時は、「バー秀」さんみたいな髪型だけど大丈夫か?と「オードリーのオールナイトニッポン」大好きな僕は思ったもんですが、観ていくと全然違和感が無くなっていきましたね。
十蘭役の安井謙太郎さんは、別れの涙も良かったんですが、声だけの演技で心情を伝えられるのが素晴らしいなあ、と思いました。
そして、ヒロイン役の鈴木絢音さん。
乃木坂は生駒ちゃん以来、推しはいない筈でしたが、とても気になりました。
序盤のシーンで彼岸花が咲く水辺で見栄を切るシーンは、うーん、ちょっとうるさいなあ、と感じたんですが、最後に変身した時に見ると、「ああ、これは三途の川のメタファーだったかあ!」と序盤の自分をぶん殴りたくなる素晴らしい演出でした。
色々と書きましたが、何度も観たい素敵な時代劇に出会えました。
これは、是非見ておいて欲しい1作です。