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2020年6月19日金曜日

おすすめの映画と本「ドクター・ドリトル」

丁寧な1作


 徐々に映画館が復活してますが、皆さんはもう映画を観に行きましたかね。
 先週は「死神遣いの事件帖」を観てきたんですが、今日は久しぶりにIMAXで映画が観たいぜ、と思い、東宝シネマズ難波へ行ってきました。
 そして、今週のIMAX上映作品が、「ドクター・ドリトル」だったんですね。ただ、劇場についたのが早すぎたので、先に「映画秘宝」を買って開場を待ちました。
 うーむ、今月のランボー特集もマ・ソンドク特集も気合が入ってるなあ、と「映画秘宝」を読み、シアターへ。
 「ドクター・ドリトル」自体は、昔、そういう作品があったらしいぐらいの予備知識で、エコーズの「ZOO」みたいな、本当は動物みたいな僕たちなのさ、みたいな話だろうな、と思いきや、良い意味で裏切られましたよ。個人的に好きな福山バージョンを貼っておきましょう。

 
  

 【ここからはネタバレありです】
 
 原作を知らないため、「動物と喋ることができる」という「仮面ライダー龍騎」の世界に居たら絶対不利だろという特殊能力一つで、いったいどうやって物語を作っていくのか、と思ってたんですが、「医者」という要素と物凄く相性が良いんですよね。

 患者である動物たちの声が聞こえるからこそ、最終的に動物を超えた存在の心の声にまで耳を傾け、治してしまうことが出来る。そして、動物たちをナメてないというか対等な存在として扱っているからこそ、仲間たちも付いてきてくれるんでしょうね。
 更にいうならば、「~らしい」動物があまり出てこない。
 「臆病なゴリラ」や「寒がりの白クマ」とか、僕たちが思い浮かぶ動物のイメージとちょっと違うけれど、よく考えたら、僕たち人間でもそれぞれ違いますもんね。動物たちの多様性を受け入れる感じが素敵でした。
 あとは、物語の最初にリスが撃たれて手術するシーンと最後のドラゴンを手術するシーンが、きちんと重なるような構図になっていたり、子供を亡くした海賊王ラ・ソーリが飼っている虎のバリーが親の愛情に飢えていたりという関係も面白かったですね。
 ドリトル先生が愛する先生の思い出を胸に、スタンビス少年との師弟関係を結んでいくラストも良かったです。
 本来、動物の命を奪う側の猟師になる可能性もあったスタンビス少年が命を救う獣医を目指すという展開もまた良し!
 一番好きなキャラクターはリスのケヴィンくんです。
 彼の「リベンジ!」は名シーンですね。明らかにあの時代より未来のイメージ混じってただろ、という野暮なツッコミは置いておき、彼の冒険記的なナレーションと復讐に燃える感じが最高でした。

 これは子供の頃に観ていたら、また、他者への理解が今よりも深くなっていたんじゃないかなあ、と思わされる丁寧な1作です。そして、過去に飼ってきたペットたちの気持ちを本当に分かっていたのか、と内省させられる作品でもありました。

 昔、我が家で飼っていた犬が、よくお腹を見せて「遊んで遊んで」としている時に、足でぐりぐりしながら「本当にコイツは馬鹿だなあ」とか言いながら遊んでいたんですが、それは全て僕のアフレコであり、本当は全く別のことを考えている可能性があるな、と思ったわけです。
 つまり、腹を見せるのは「遊んで遊んで」のサインではなく、「お腹が痛いよ、ちょっとみて」かもしれなかったわけです。そんな犬のお腹に足をぐりぐりさせてたわけですから、「うおおお、何すんだコイツ。痛い痛い痛い。貴様のような最低の人間は、孫の代まで畜生道に追い堕とす。生きながら煩悩の犬となさああああ!」(『里見八犬伝』の読み過ぎ)と思っていた可能性もあるわけです。

 うーむ、もう、犬には何の償いも出来ませんが、子孫が牡丹の痣と霊玉のせいで、超過酷な人生を送らなくて良いように、より他者の声に耳を澄ませようと思った僕でした(なんだこの終わり方)。