こいつにだけは負けたくない
僕は幼少期からゴジラのVSシリーズを観て育ってきたので、ゴジラに対しては愛着があるものの、平成ガメラシリーズ登場からは、「ガメラ3こそ最高!」という独自の価値観を見出し、「シン・ゴジラ」ぐらいまでゴジラ映画から離れたんですね。
ただ、今回は予告でもの凄く気持ちを引っ張られましてね。
ちょっと観てましょう。
いやあ、青白い光が美しい。
水の中から浮き上がってくるモスラやキングギドラの美しさを観て、思わず、ガメラ3のイリスが月夜に浮かび上がるシーンを越えたんじゃない、と思った次第です。
そして、わくわくして観に行ったんですが…。
怪獣バトル映画として、大満足の作品でしたよ。
【ここからはネタバレ全開で】
さて、まず一番に言いたいのがこの映画、「水もしたたるいい怪獣映画」だということです。物語の怪獣パート(特にゴジラパート)はキングギドラ自身が嵐みたいな感じであるせいもあって、雨や水に濡れてます。そして、この青白い画面が多いからこそ、キングギドラの終盤やってやるぜモードの時の金色や、最終決戦の赤が映えると思うんですね。バシッバシッと、要所要所で怪獣の良い画を見せてくれる映画だと思いました。
次に、音楽が素晴らしい。
旧作をこんな感じでアレンジしてきたかと。
ゴジラが復活する時の「そりゃそりゃ」はカッコよすぎです。
キングギドラだけじゃなくて、ゴジラにも般若心経が入ってたとは。
また、モスラのテーマもカッコよくアレンジされてましたね。
ラドンもちょっと「空の大怪獣」の時のアレンジが入ってなかったでしょうか?
僕的には一番、キングギドラのヤバイ感じがすきです。
般若心経から始まるのが作中の古代神話とリンクしてる感じがしていいですね。
最後の方でギドラの首を加えたまま倒すというか飲み込むというか、なんだあの新鮮な倒し方は、と感じました。
ストーリーに関しては、人間パートの「ああ、今、あたし、怪獣映画観てる」というほど良い感じのゆるさと自己犠牲がマッチしていましたね。あっさり抜け出せる敵のアジトとか、えっ割と秘密知ってるのに、お母さんの方を生かして逃がすのとか、こいつらの世界での核の扱いって…とか、ツッコみだしたらキリがないんですが、芹沢博士の「さらば、友よ」で全部吹き飛びましたよ。
あと、ラドンは味方じゃないのね、というのがありましてね。
てっきりゴジラと力を合わせて戦うのかと思いきや、モスラが既にいたから…。
最後のひれ伏すとことか、何名か、お前らいいのか…という怪獣もいましたが、ラドンさんがぶっちぎりでしたね。ただ、幼少期買ってもらってた「テレビマガジン」とかの「怪獣王ゴジラ」というキャッチフレーズとはバッチリ合ってました。
平成ガメラ好きとしては、海底に潜るところとか「おっ、ここで大量のゴジラの死骸があるのか!」とか、「地球のバランスメーカー的なところもいいね」とか、「最後のチャン・ツイイーのセリフってガメラ2っぽいよね」と勝手にニヤニヤしてたんですが、そういう別の怪獣映画好きでも十分楽しめる映画ですし、「シン・ゴジ」好きな人がどんな感想を持つかも知りたい1本です。
久々に楽しめた怪獣プロレス映画。
もし出来るなら、次はさらにハイレベルな怪獣同士の空中決戦を観たいな、縦に飛ぶんじゃなくて、長距離を横に飛んで行く感じの戦いがみたいなと思いましたよ。
次回はひょっとして、復活したキングギドラ(メカキングギドラ?)を倒すために、ゴジラとコングでタッグを組むとかないですかね。もしくは、あの首からビオランテとかでしょうか。妄想が膨らみますが、今はパンフレット片手に般若心経を聴きながら、余韻に浸りたいと思います。