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2019年5月27日月曜日

アンチ①



ジレンマに叫ぶ声は不可能を壊していく


 「アンチ」という言葉が市民権を得たのはいつからでしょう。
 僕は48グループでこの言葉の意味を痛いくらい知りました。
 アンチが生まれる背景は様々だと思いますが、理由の一つとして、一つの事象が発生した際に「なんでアイツが?」という自分が設定する基準点に満たしてなかった場合に生じるものなんじゃないか、と思いましてね(もしくは、『こうでないと』という理想像とずれる場合に生じるかとも思ってます)。それがエスカレートしていくと、悪いところばっかり見て、毎日、その子のことを叩き続ける恐ろしい人格が誕生していくことになるんじゃないかと。
 かくいう僕も、昨年公開されたドキュメンタリー映画「アイドル」での6期生がこれからのSKE48を進めていくよ的な売り出し方に、「えっ?ホントに?」という疑問が湧き、それが正しいのかとかなり厳しい見方を彼女たちに対してするようになっていました(今はそんなことないですよ。詳しくは『オキドキ①』の記事で)。

 さて、48グループほどアンチがいるグループっていないんじゃないかと思いましてね。
 前田アンチ、大島アンチ、指原アンチ、珠理奈アンチ、だーすーアンチ、SKEアンチ、色々いると思うんですが、9期アンチって覚えてますかね。9期ってSKE48じゃなくて、横山由依、島崎遥香を始めとするAKB48のアンチですね。SKE関連だとみなるんと山内鈴蘭が関係してきます。

 いつかの「SKE48の楽屋話」の中でみなるんこと、大場美奈が「1年目で選抜の先輩たちがやっていることを全部経験していった」という話をしていました。
 
 AKB9期というのは、8期生全員のほぼ強制卒業により、AKBの歴史を一旦、リセットして新たに売り出していく期になったと思います。2015年のAKB48のドキュメンタリー映画「存在する理由」の中で「いつからAKBの第2章なんだ問題」が出てきていましたが、僕の定義では9期の登場だと思っています。それぐらい9期はいったん歴史をリセットしてもう1回作り直していくイメージがありましてね。メディア関連は9期だらけだったんですね。その背景にはいわゆる選抜メンバーたちが、忙しかったというのもあると思うんですがね。

 でも、考えてみて下さいよ。
 1年目ぐらいの子がメディア仕事出まくって結果残していくのって相当難しいわけですよ。
 その結果どうなったか。

 2015年11月25日の「オールナイトニッポン」の中でみなるんが、9期生デビュー時代を振り返ってこう言っています。

「9期のラジオくそつまらないって言われなかった?『今日も9期か』みたいな」

 まあ、こんなもんまだカワイイ方で。この記事を書く為に、久々に本店様の某まとめサイトの2011年から2012頃の記事を読んでたんですが…。
 かなり風当たりが強いな、と思いましてね。
 まず、みなるんに対する風当たりですよね。
 前田敦子のアンダーとして、チームA公演に出ていたこと、謹慎のこと、復帰後のこと、チーム4リーダーとしてのこと、解体のこと。
 そして、ゆいはんに対すること。
 ぱるるに対すること。
 その他もろもろ。
 基本的に一つ叩く要素を見つけたら、それをひたすら反復していくスタイルの書き込みが多かったんですが、中にはアンチなんですが、読みようによっては建設的なことを書いているコメントもありましてね。
 よく見ているからこそ、拙い点を見つけて行く。伝え方がひどいわけですよね。もちろん、わかっちゃいるけど、すぐに出来るかよ、というジレンマを感じることも多かったりもするんでがね。
 それは受け取り方によっては、成長するための課題点にもなります。
 そんな内容を唄ったのが「アンチ」という曲です。
 ※公式にないので、自分で探して聴いてみてくださいませ。

 この曲のセンターはみなるん。
 当時、研究生が曲をもらうのは異例で、SKE48に移籍した後、AKB7期生の佐藤すみれさんが「当時、羨ましかった」とみなるんに話していたそうです(2015年出演の『ラジオ惑星開発委員会』より)。
 こういう異例のことが、またアンチを生んでいくことになります。
 秋元康は曲の中でアンチが誕生することによって、スターが生まれる人気が上がると語ります。この当時、指原が徐々に炎上で伸びてきた頃だったでしょうか。「アンチは無料の宣伝マン」的な感じでうまく利用しながら大きくなっていきました。もう、暇さえあれば、どこでも「マジか、指スレ荒らしてくらわ」を見かけたもんです。
 ただね、自分のことを見ず知らずの誰かに叩かれる怖さたるや。
 謹慎から復帰した元3期生の菊池あやかさん(AKB7期生)が、握手会で「なんで帰ってきたの?」「お前はバツ」と言われて握手を拒否されるという直接的な被害を被ったというエピソードが僕は印象に残っていますが(インタビュー集『あなたがいてくれたから』参照)、きっと9期のメンバー達も直接的、間接的な悪意にさらされてきたんだろうなあ、と思いましてね。
 そのあたりの苦悩が2番のサビまでの歌詞で描かれています。
 アンチの声のせいで、輝いていた自分の未来に疑問を抱くまでになります。
 そりゃ叩かれたらそうなるわなと。
 そして、サビで気持ちの切り替えをしていきます。
 自分の普段は見えない、もしくは見ないようにしている部分を知った、そして、調子にのらずに驕らずに行こうとアンチとの接し方を知って行き、大サビ前では見返してやるという決意していくわけです。

 もう歌詞の世界が、まさに大場美奈にぴったりなわけですよ。
 以前、「気づいたら片思い」の記事で彼女の冷静な分析力を青い炎のようだと書きかましたが、その視点が生まれてくるまでは、実は相当苦しんできたんじゃないかな、と。きっと僕らが知らないところで。それを支えてきたのが、島田晴香たちなんだろうなあ、とドキュメンタリー映画を観ていると思います。
 アンチが居るからこそ、人がどう捉えるかという想像力も上がっていくわけです。周りが見えるからこそ、誤解されそうなことに対してのフォローも上手でしてね。
 たとえば、ぱるるの握手会での塩対応に関しても、「あれはあそこまで上がったからこそできること。元々は真面目にやっていて、みんなに認められるようになってやるようになった。だから、若手は真似してはいけない」ということを語っていました。誤解されがちな塩対応ですが、本質をきちんと分かっているからこそ言えるんでしょうね。

 やがて、彼女はSKEに異動となり、チームKⅡのリーダーとなっていきます。
 みなるんやかおたん、ちゅりが居たからこそ、ゆななの売り出すタイミングは成功したんじゃないでしょうか。自分たち9期が体験したから、タイミングの大切さには敏感だったと思います。
 一つ一つのメディア仕事を丁寧に行い、結果を出していくことでアンチを黙らせてきたみなるん。2018年は見事に総選挙で選抜入りします。今、SKE48の選抜に彼女が居ることに疑問を挟むファンは少ないんじゃないでしょうか。

 みなるんのイズムは、KⅡの後輩たちに受け継がれています。
 2018年6月2日のインスタライブで、白井琴望、水野愛理の二人がした配信の中で総選挙のことを愛理が次のように言っています。

「うちらのことを、そうやってこっちゃんだったら、お金持ちだからどうのこうの言って人たちだったり、愛理のアンチの方達だったりをランクインすることで見返せるチャンスでもあると思うんですよ!(中略)絶対嫌いな人はいるから。アンチが居てこそのうちらだと思うから。甘いコメントばかりだと成長しないから」

 不思議ですよね。言ってることがアンチの歌詞みたいで。
 言葉にせずとも受け継がれていく。
 こういうところがSKE48の面白いところだと思います。

 結果として愛理は見事にランクイン。
 こっちゃんはランクインこそ逃しましたが、現在もyoutubeでの動画配信などを中心に活躍をしています。お姉ちゃんも入ってきてここからが正念場だと思います。頑張れ、こっちゃん。

 アンチに叩かれながらも、それを結果で黙らせてきたみなるん。いや、みなるんだけじゃなく、今も様々なところで頑張っている元9期生たち。
 彼女たちの背中は、今も後輩たちの良い見本になっているに違いありません。
 若手もベテランもアンチの声に負けずに、それを糧に加速して、結果につなげて行ってほしいです。

愛理がランクインした「波が伝えるもの」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2018/12/blog-post_6.html

みなるんについて書いた「気づいたら片思い」の記事はこちら!
https://oboeteitekure.blogspot.com/2019/05/blog-post_15.html