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2021年4月10日土曜日

自由の翼

 自由について


 19歳でシリコンバレーで企業し、siriの開発プロジェクトにも加わった台湾デジタル担当大臣オードリー・タンが、日本向けに書いた「自由への手紙」が面白いです。IQ180の彼が著作の中で様々な自由について語っていますが、冒頭で2つの自由を挙げています。
 一つ目は、既存のルールや常識、これまでとらわれていることから自由になる「ネガティブ・フリーダム」。「ネガティブ」というと悪い意味にとらえられがちですが、第1歩という意味でここでは使われています。
 2つ目は、自分だけではなく他の人も自由にしてあげること。自分が変えたいと思っていることを変えられること。自分が起こしたいと思っている変化を起こせる人。それが「ポジティブ・フリーダム」であり、この2つ目が出来ている人が自由な人だと定義して、彼の著作は始まります。
 

 この本を読みながら上記の2つの自由を体現しているメンバーは誰だろうと考えました。頭にすぐ思い浮かんだのが、高柳明音と古畑奈和でした。

 
 

 SKE48のファンだけでなく他グループのファンの方にも、高柳明音が総選挙のスピーチでしかけた秋元康への直訴は有名です。
 彼女の直訴があったからこそ、閉塞感に覆われたK2に「新公演」を持ってくることで変化を起こしました。
 そして、古畑奈和は既存のアイドル像から自由になり、徐々に後輩達の選択肢を増やしています。
 今回はこの二人の「自由人」の関係を見て行きたいと思います。
 

 まず、この二人の関係性ですぐに思い浮かんだのが、755の写真集争奪ウォッチバトルです。
 思えば初日4,213,851ウォッチの単独首位でスタートし、5月3日の最終日(正確には3日の23時から4日の0時までの1時間で)。NMB48の上西恵さんに逆転を許してしましまいます。あの時の絶望感の話は、以前書いたので是非幻の写真集という記事を読んでみてくださいませ(記事の一番最後にリンクを貼っておきますね)。ちなみに、あの時書けなかったことを補足しておくと、かおたんが凄くコメント欄とかでファンの皆さんを鼓舞していましたね。最近、つくづく奈和ちゃんとかおたんの関係の面白さも感じていますが、本筋とずれるので今回は置いておきます。

 5月5日。
 21時から今度は高柳明音の755のウォッチバトルが始まります。
 20時頃、奈和ちゃんは755にこんな投稿をしています(現在はアプリが終了しているので観られません)。一部を引用したいと思います。

「うずうず、しません?熱い気持ちが急に冷めた今、うずうずしてません?(はてなマークのと『ん』の間に顔文字あり)」

「とにかく、21時には、皆さんがなくした気持ちを一緒に取りに行こうと思います(顔文字)」

「私で学んだことは生かす!
 それが私と私を応援してくれてた
 ファンの方のできること!

 私たちにしかない感情とできることをちゅりさんの
 ソロ写真集企画へ!

 (省略)」


 僕は奈和ちゃん推しではないですが、この755戦争の頃の奈和ちゃんの言葉はとても好きで、スキルや見た目だけでなく人間性で推しになる人が沢山いる理由の一つではないかと思っています。
 自分が起こしたいと思っていた変化は起こせなかったけれど、その直前まで行っていたからこそ、誰かの変化の力になれる。「ネガティブ・フリーダム」でも「ポジティブ・フリーダム」でもありませんが、より等身大のやり方でちゅりのチャレンジに寄り添います。

 翌日5月6日の奈和ちゃんのアメブロを2つ続けて読んでみましょう。

 ただいまです(*´-`)#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 K2ポーズ#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 ううむ、5月4日まで睡眠時間を削り続けていた人なんですよ。
 卑小な例で申し訳ないですが、自分だったらすぐに誰かの為には動けません。
 なのに、ここまで動くなんて。
 人間って極限の場面だったり、その後の対応だったりでその人の本質が見えてくるんですね。

 極限の場面といえば、ちゅりの総選挙直訴と同じぐらい、総選挙復活は忘れられません。
 「豆腐プロレス」ではネタにされていましたが、「最後」を何度も考え直したからこそ、最高の瞬間を手にすることが出来たわけです。
 そこに辿り着くまでの葛藤もあったと思います。ファンに宣言したことを反故にするのかと。でも、常識に縛られずもう一度チャレンジしたから、彼女はまた選抜の景色を見ることが出来たのではと思います。

 高柳明音*私は人生かけて皆に恩返しをしていく。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 丁度、2017年は奈和ちゃんも総選挙で選抜入りを果たした年ですが、スキルや実績を見ていくとちゅりと奈和ちゃんは重なる部分が結構あるのでは、と思っています。
 まず、なんと言っても演技。
 特に舞台での共演は、「AKB49」、「仁義なき戦い~彼女たちの死闘篇~」、「SKE48版 ハムレット」と3度にも渡っています。
 皆さんはそれぞれの舞台をチェックしてらっしゃいますでしょうか?
 僕は「仁義なき戦い」だけ観られていませんので、今回は一旦こちらは省いて「AKB49」と「ハムレット」で語ると、二人の魅力的な部分を感じられる配役でどちらも好きです。
 「AKB49」の実の真っすぐさと岡部愛の負けん気の強さ。
 「ハムレット」におけるクローディアスの妖しい美しさ、ポローニアスのオモシロ感とフォーティンブラスの強い眼差し。
 どちらも古畑奈和と高柳明音にあてはまるハマり役だと思います。
 「AKB49」は奈和ちゃんのブログを「ハムレット」はちゅりのブログを読んでみましょう。

AKB49♯古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


高柳明音*SKE48版ハムレット | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 それぞれが自分と違う人間を演じることで、役を離れて自分に戻る時、自分がどんな人間でどんなものを持っていたかを感じたかも知れません。
 そして、二人の演技を観ていると「アイドルなんてこんなもの」という観客側の偏見や忖度を全部壊していきます。それだけに、「仁義なき戦い」も観ておけば良かったと最近後悔しています。


 舞台以外でも超名作である「マジカルラジオ」での共演も忘れられません。特にあのドラマのおかげでちゅりが好きになった人間からしたら、2019年3月の炎の全国ツアーでの復活は本当に嬉しかったです。
 そういえば、二人とも単独のラジオ番組を経験していますね。
 音声メディアから聞こえてくる二人の声は、どちらも聴き心地が良いんですよね。
 それは歌声でも同じで、二人とも魅力的な歌声で僕らを魅了します。 
 ミッドナイト公演での身体的な重なり合いも良いんですが、純粋に歌で重なり合う表現が卒業コンサートで観られたら嬉しいなと思っています。

 現在、SKE48のアメーバブログでは、卒業するちゅりや珠理奈に関連したテーマで多くのメンバーが思い出を語っています。
 「ちゅりさんに言われて印象に残っていること」や「高柳明音の何が凄かったか」というテーマの日を読んで行くと、後輩達がちゅりの素晴らしいところを挙げています。特に期が離れた後輩たちのブログが印象的で今回のコンサートでリハをみながら様々なことを学んでいるのが分かります。
 たとえば、ちゅりと同じように身長が低いなーやんの気づき。
高柳さんのすごいとこ!竹内ななみ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 公演MCを仕切ることも多いあいあいあの気づき。
ちゅりさんの凄いところ( * ॑꒳ ॑* )♥杉山愛佳 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 凄く気になる青木さんの一言。

心に残った一言✩︎⡱ #10期研究生 #青木莉樺 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 多くの後輩達が「語彙力が足りなくて」と書いていましたが、この言葉にしにくい良さというのはなかなか難しくて、「ちゅりが居る空気」ではないかと僕は思っています。
 彼女がいるだけで場が明るくなる。
 握手会で遊びに行った時、紅白のリハでみんなが追い詰められた時、彼女の言葉や表情でファンもメンバーも少しだけ未来への兆しが見えて、不安から自由になる。
 SKE48や48グループの中の常識を破壊した彼女は、今度はソロで誰に「ポジティブフリーダム」を与えるでしょう。
 鳥が飛び立った後のように、羽は静かに降りてきます。
 残される古畑奈和の最近のブログで印象的なものがあります。

古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 いったいどんな言葉だったんでしょう。
 実はこの記事を書こうと思ったきっかけはこのブログからでした。
 いつ言われた言葉なんだろう?
 舞台の時か、奈和ちゃんがセンターになった時か、それともプレイべートの時でしょうか。
 ちゅりが残していった羽の色は奈和ちゃんにしか見えない。
 見せてくれない。
 言葉を大事に自分の中でしまっておくところが、奈和ちゃんらしくて良いですね。
 個人的には23歳の生誕祭の時の手紙ではないかと予想していたんですが、最後まで読むと違いそうなんですよね。

 「奈和には人との距離がめちゃくちゃ近い反面、絶対的なパーソナルスペースがあって、そこには誰も踏み入れさせないっていう雰囲気があったり、私生活もあまり見せないし、まぁ割と謎多いよねってメンバーにもよく言われてて、確かにって思ったんだけど、でもそこに最近少しずつ入れてくれるようになりました。
 (省略)私もまぁパーソナルスペース強めの人間だけど、気付いたら奈和に対してはなくなってて、自分ではビックリしてます。
 これも理由の1つ、奈和が「FRUSTRATION」のセンターになって、きっと色んな意見とかぶつけられたと思うけど、『私は私にしかできないセンターになる』って自分を貫く、そうやって強く持てることは私にとっては簡単なことじゃなくて尊敬するし、そういうところのリスペクトもあった上でなるのかもなって思いました。

 SKE48にあった色々なしがらみや当たり前や暗黙の了解とか正面突破でぶっ壊していって、それを大人たちに新しい魅力として認めさせたのは結構、SKE48の歴史の中では革命だったと思います。
 私はルールに縛られるタイプだから純粋に凄いなって思ったし、素直におめでとうって伝えられました。(省略。この後、ちゅりが卒業発表した時に奈和ちゃんが泣かなかったエピソードトーク。理由は『もっと仲いい子とか親しくしてくれてる子がきっといるから、私なんかが泣いて、寂しいとか言って気遣わせたくない』から)
 私はただただ私にために涙を流す奈和がを見てみたいです。フラグじゃありません。演技は嫌です。(省略)そして、いつか私たちの夢である熊本、馬刺しでお腹いっぱいの旅しようね」

 自由な奈和ちゃんの姿勢が、後輩たちも自由にしていく。選択肢を増やして、次のブレイクスルーへ繋がっていく。
 「馬刺し」と「火鍋」はジャンル的に近いんでしょうかね?15万円あれば博多旅行をプレゼントできそうではあるんですけどね。

 話を二人の関係に戻しましょう。
 似た物同士ですが、役やポジションが変わることで受ける刺激も変わっていく二人。
 先輩後輩でありながらも、親友というよりはプレイヤー同士の関係にも思えます。
 そして、いよいよちゅりのポジションが大きく変わります。

 果たして本日、どんなコンサートになるのか、アイドル高柳明音は最後にどんな飛翔を見せるのか。そして、奈和ちゃんの眼からは涙の雫が最後に零れるのか。
 未来への兆しを見届けましょう。

 

※「幻の写真集」という記事はこちら!