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2021年5月5日水曜日

カミングフレーバーはジェネレーションZ?

 新しい物語へ


 「Z世代」という言葉をご存じでしょうか?
 定義は諸外国によって違いがあるそうですが、1990年代中盤以降に生まれた世代のことで、デジタルネイティブ世代で、SNSやスマホも物心つく頃にはあった世代だそうです。
 「~世代」と若者を区切ること自体には、非常に違和感があるんですが、年齢ごとの消費だったり心理情報の統計データから特徴を見るのが好きな僕は、色々と関連書籍や解説動画をここ数日、ゴールデンウィーク前にチェックしていました。
 日本の統計だったり、著名人の体験談を調べていくと下記のようなことが見えてきました。
 ① 上の世代の失敗を見ているので、ガツガツしない。自分が夢を叶えるというよりは、みんなで幸せになる協力していくという要素が強い。自分の等身大の幸せを見つけるのが上手い。
 ② 情報リテラシーが強く、自分が触れるものへの予習もしっかりしているし、倫理感も強い。素直で優しい人が多い。想像力のない「結果主義」の反動か。生まれた時から自然に相互発信の関係でもある。
 ③ ただ、少子化の影響で溺愛されて育ち、失敗経験の少なく、繊細な傾向もある。同じ傾向の人達が集まることも多い(ブロックが気軽にできる。リアルの場では静かな対立が生まれやすい)。これから多くの打席に立つ必要がある。そして、旧世代が彼らのことをどこまで理解できるかも課題である。
 
 ううむ、書きながら果たしてこんな若者ばかりなのか、という疑問がムクムク湧いてきますが、②なんかは職場で接する新卒の子とかに感じますね。ただ、僕が住んでいるところが田舎なので、「うわっ、未だにこんな人いるんだ」というような昔ながらの価値観の若い人も勿論います。

 僕自身は、15歳年の離れた弟がいるんですが、もういかに自分たちの世代が上手に負けて、彼らの世代にバトンを託せるかと考えています。丁度、上記の③の部分ですね。少なくとも自分の「自分の時代はこうだった」を押し付けずに、チャンスの場を与えられればとも。
 

 さて、ふと「SKE48」だとどの世代にあたるんだろう、と考えました。
 パッと思い浮かんだのは「カミングフレーバー」でした。
 野村美代をリーダーに8期、D3、9期のメンバーで作られたユニットです。


 カミングフレーバーが出来た2019年はもう、選抜総選挙は終わっていました。
 つまり、カミングフレーバーのいる世界は、個人個人で戦うという選択肢が一つ無くなった状態で始まります。
 勿論、8期生の野村美代やD3の大谷悠妃や中野愛理は、総選挙をギリギリ体験している世代ですが、1期生~7D2たちが触れてきたような本格的な争いは経験せずに終わることになります(その代わりと言ってはなんですが、SKE48のゲームでの様々な争いをしていくことになるんですがね)。
 また、名古屋ドームまでの大きな物語を体験していないメンバーたちでもあります。

 そして、カミングフレーバーは、③の多くの打席に立つということをリアルの場やネットの場を使ってどんどん体験していくことになります。

 印象的だったのが、みよまるのインタビューで「カミフレにいると普段はできない成長ができているというか。グループをまとめることにしても、こんな難しいことを先輩たちはやってるんだって」という部分なんですが、なかなか期が浅いと経験できないことを彼女たちは経験できているわけです。良い意味で順番待ちを飛ばすことに成功したわけです。

※参照

カミングフレーバー・スペシャルサイト|INTERVIEW (comingflavor.com)


 更に、公式youtubeを見ていると、同世代のメンバーでのびのびと話している感じが、見ているこちらにも多幸感を与えてくれます(特に後ろではしゃぐ赤堀さんたちが素敵)。


 こう、個人個人の夢だけでなく、みんなで「カミングフレーバー」というユニットを大事にしていこうという感じが良いじゃないですか。あと、次があるかどうか分からない状態で続けてきながら、ミニアルバムのリリースに至ったというドラマも。
 個人個人で頑張りながらも、カミフレというユニットも大切に育てていきたいという思い。
 
 カミングフレーバーがあることで、彼女たちはSKE48だけでなく、もう一つのアイデンティティを持つことが出来ます。
 早稲田大学理工学術院学術院長補佐であり、総合機械工学科教授の岩田浩康教授は「自在化身体論」の中で研究者として「2つ以上のアイデンティティを持つこと」を大事にしていると書いています。
 自分が普段している研究以外にも「アマゾン・ビッキング・チャレンジ」のような外部コンテストに参加したり、企業との共同研究にも参加することで、自分では気づかなかったようないい部分を見つけたり、意外な能力が見つかったりするそうです。
 そして、自分独自の研究テーマが停滞した時は、みんなで考えるテーマの方に尽力することで、また視界が開いたり、発見があったりするそうです。

 ううむ、この2つのアイデンティティを持つ理論もカミフレにあてはまりそうですね。「SKE48」でなかなか公演の出番だったり仕事だったりが回ってこない時も、カミフレとしての活動で魅力を爆発させることで、個人の仕事に繋がるかも知れません。そう考えると、カミフレでどんどん外の場所で魅力を発揮する場が増えていくといいな、と思いますね。
 
 僕がカミフレに対してZ世代的と感じたことは、ひょっとしたら、個人だけの幸せではなくみんなの幸せ=カミフレというグループの幸せを目指すという選択肢を持っているというところからかな、と感じました。目標設定として選抜だけではなく、カミフレの活躍という場があるということは、非常に貴重だと思います。
 10年代でアイドル界における個人戦の時代は終わり、20年代はチーム戦の時代に移ったかな、と考えているので、カミフレの戦い方は時代にマッチした戦い方かだとも。

 正直、カミフレが誕生した時から、いったいどういう風に応援していけばいいのか、と探り探りだったところがあるんですが、少しずつ分かってきた気がします。
 ただ、一つだけ言えるのは、僕が彼女たちの可能性の全貌が見えていないから惹かれるということ。カンディンスキーがクロード・モネの「積みわら」を観たときのように、完全には分からない。わからないからこそ惹かれる。
 もっと彼女たちの可能性が試せる場が増えて行くように。
 6月のミニアルバムを楽しみに待ちましょう。

 彼女たちの一つ一つの章を繋いでいくことで、かつての大きな物語を超える何かを生み出すことを期待しながら。

※カミフレが挑んだZOOM劇場の感想はこちら!

※個人的にカミフレ曲で一番好きな「君がいない世界」の記事はこちら!