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2021年4月29日木曜日

2021年4月29日 松井珠理奈卒業公演の感想

タイムマシンなんていらない

 


 2021年4月29日、17時50分。
 公演
が始まってもうすぐ1時間経とうとするのに、まだ登場しない主役に僕は不安を覚えていました。
 事前に「ラブクレッシェンド」のメンバーで公演をすると発表があり、普段とは違う楽曲で公演を行うのでは、と思い、DMMで17時から公演を観始めました。
 しかし、全体曲のブロックでは珠理奈の姿はなく、そのまま参加メンバーたちのソロブロックが始まりました。
 松井珠理奈卒業コンサート昼公演の延長のような、若手メンバーたちの新しい魅力を発見させてくれる選曲で、特に「赤いピンヒールとプロフェッサー」と野村美代の組み合わせは斬新で、また新しい彼女の魅力にふれたような気がします。
 公演が始まって9曲目。
 松井珠理奈は登場します。
 歌うのは前田敦子のソロ曲、「タイムマシンなんていらない」。
 歌いながら珠理奈は「私にはタイムマシンなんていりません。今が一番です」と呼びかけます。
 過去よりも未来よりも今。
 それは、現在のSKE48を引っ張っていくメンバーのことをさしているようにも聞こえますし、この公演をやり遂げるという意味にも聞こえました。 
 この公演の直前に珠理奈は高熱になって、イベントを2日間連続で欠席していました。
 そして、公演直前に福士奈央がTwitterにアップした画像には、劇場の椅子で寝ている珠理奈の姿もありました。
 もしかすると、珠理奈はもう満身創痍の状態ではないか。
 ベストコンディションではないが、それでも大事な「今」を成立させる為に、ステージに立ったのではないか。
 僕の不安をよそに、明るいメロディで曲は進みます。
 思えば、珠理奈がこの歌を唄うのは、2014年のAKB48の全国ツアー高知公演以来ではないでしょうか。
 なんだか、歌詞の意味が今日は特別に聞こえてきます。
 多分、珠理奈が卒業した後に、珠理奈の影を追ってしまう、自家製タイムマシン状態になるのではと僕は自分で自分のことを予想しているんですが、先回りして答えを出された感じです(ちなみにこの曲の2番のサビでは、未来が楽しみなことも書かれていましたね)。


 
 歌い終えてMCでユニット曲のコンセプトを語った後、珠理奈は再び後輩たちにステージを預けます。
 そして、そのまま本編は終了、アンコールへと進みます。
 アンコール明けに「Memories~いつの日か会えるまで~」が披露され、「僕は知っている」、そして、メッセージ映像と手紙、そして珠理奈のメッセージを挟んで「オレンジのバス」で本編は終わります。
 「思い出以上」も「Who are you?」でも「赤いピンヒールとプロフェッサー」でもなく、「オレンジのバス」でアイドル人生を終えた珠理奈。
 おそらく先ほど挙げた体力的な配慮もあったかもしれませんが、自分のためではなく、最後にSKE48の後輩たちに向けたメッセージソングで終わるというのが、SKE48のことを考えて行動しつづけた優しい珠理奈らしい選択だと思います。
 
 彼女は、バスから降りていきます。
 走って行くバスの背中は、今、彼女の目にはどんな風に映っているんでしょう。
 公演の中でSKE48の曲の作詞について少し話していましたが、いつか、松井珠理奈作詞の曲がシングルのタイトル曲になる日が来て欲しいなと思っています。勿論、秋元康の歌詞と比べると、まだ遊びやワードセンスで負けている部分もあるかも知れません、しかし、彼女ならではの真っすぐなメッセージの良さもあります。

 アイドルとしての珠理奈が「過去」になっても、作詞家としての珠理奈が「今」をまた作っていける。昔の名前じゃなくて、現役選手としてSKE48と関わる日が来たら面白いな、と僕は思っています。
 
 だから、タイムマシンなんていらない。
 いま、この瞬間の幸せを珠理奈もSKE48も、そして、応援している僕らも作っていきましょう。