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2019年6月29日土曜日

おすすめの映画と本「新聞記者」

あなたはどちらを選ぶ?


 6月の終わりにとんでもない作品が来ました。
 まあ、まずは予告をごらんあれ。



 もうね、作中でそれぞれの主人公が選択を迫られる場面は、緊張のあまり観ている僕が吐きそうになりましたよ。

※ここからはネタバレありで。

 まず、内調怖すぎだろ、というのが僕の感想でしてね。
 これはフィクションだと頭の中で分かってるんですが、「でも、現実で起きたあれも」とか「ひょっとしたら、あれも」とか頭の中では現実世界でのことが駆け巡り続きましてね。よくこれ、公開できたな、と思いましたよ。内調のシーンは、あの薄暗い照明ばかりというのも怖かったですね。
 

 シム・ウギョン演じる吉岡エリカの過去と神崎さんの葬式後にマスコミが押し掛けるシーンや、神崎さんが自殺するビルの屋上と神崎さんの家に行った杉原の対比を上空からの映像で撮ったシーンなんかは、凄く印象的です。

 予告で神崎さんが死ぬのが分かってたんですが、自殺のシーンは、やっぱり観てて胸に迫るものがありましたよ。

 田中哲司さん演じる上司の多田さんが超怖いのもよくてですね。終盤、エリカに電話がかかってきて、その電話の後、部屋に杉原よんでて、スマホの振動音が鳴る中「お前じゃないよな」って言うシーンの怖さ。廊下ですれ違う時に「順調か?」と言った後の顔の怖さ。出産祝いをちゃんとくれる怖さ(もちろん、脅しなんですが)。

 上にも書きましたが、主人公たちが勇気を持って選択するシーンが、本当に緊張感に溢れてましてね。
 エリカが、父のように誤報扱いされるかも知れない、というリスクを抱えながらも記事を書くことを決断したこと。守るものがあるはずの杉原が勇気を出して実名で報道しても構わないというシーン。そして、ラストシーン。あのラストシーンの後の暗転で僕が観た京都の劇場はどよめきに包まれました。
 どちらともとれそうな表情でしたが、憔悴しきった杉原を演じる松坂桃李の演技が最高でした。神崎さんと新聞記者だった父。それぞれの行動原理になるロールモデルが居て、その人達の正義を受け継ぐ形で進んでいくのが、たまりません。

 帰りに本屋さんによって原作の本を買って読んでます。
 またもや、今年のベスト級の映画が来たんじゃないでしょうか。