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2020年3月8日日曜日

「おすすめの映画と本 ウルトラセブンが『音楽を教えてくれた』」

好きの拡大の仕方



 昔、友人に言われたことがある。
 「Zガンダム好きな人は、セブン好きな人多いよね」
 むむ、僕はまさにそれに当てはまる。
 「そして、面倒くさい性格の人多いよね」
 ああ、面倒だよ。

※「ウルトラセブン」の公式動画もチェック!



 でも、好きだからこそ、面倒になっていくのだ。
 普通の人の作品に対する「好き」の広がり方は、作品や世界観、キャラクターへの思いや考察に向かうことが多い。
 しかし、青山通さんは違った。いや、それだけにとどまらなかったと言った方が良いだろう。
 「セブン」最終回でシューマンのピアノ協奏曲に出会った青山さんは、インターネットがなかった少年時代、お小遣いをはたいてLPレコードを買うが、「本物」とは違う!
 それはそうだ、指揮者もピアニストも違うからである。
 ここから、青山さんの闘いが始まる。
 その期間7年!
 7歳から14歳になるまで、あの最終回のバージョンに出会うために、様々なシューマンの「ピアノ協奏曲」に出会っていく。
 本書の61ページにある演奏スピード表を速い順に並べた表を見て、思わず声が出た。28バージョンもあるのだ。この人、どんだけ「ピアノ協奏曲」聴いてんだよ!
 また、セブンの劇中の音楽を担当された冬木透さんのお話も面白い。なぜ、カラヤン盤を選んだのか、は是非読んで確認してほしい。
 僕は「盗まれたウルトラアイ」の最後に流れるあの悲しい音楽が、冬木さんの音楽で一番好きだ。
 
 読んでいきながら、青山さんが提示したカラヤン・リバティ盤とウルトラセブン最終回に共通する「運命に抗う推進力」をつなげる言説は本当に素晴らしかった。曲に関するブログを書いている人間としては、とても勉強になったし、本当にこの曲について考えてきた、いや、考え続けてきた人だからこそ、繋げられた線かもしれない。

 2章の「ウルトラセブン 音楽から見たおススメ作品集」は、いち特撮ファンとして、読んでいて楽しかった。
 青山さんのストーリーの語り口も面白いが、音楽のおすすめを読むことで、どんな音楽だったかなあ、と再び見返したくなる。
 それにしても、なんであんだけ前編で強かったガッツ星人が、後編であんなにアタフタしているのか、大人になっても謎だ。別に、セブンがめちゃくちゃ強くなったわけでもないのに、と子供の頃からずっと謎だ。

 さて、この青山さん、著者の紹介を読んで驚いた。
 「クラシック音楽から欅坂46まで幅広い音楽領域に関心をもつ」。
 青山さんの欅坂46論、ぜひ読んでみたい。
 できたら、SKE48論なんか、どうだろう。
 
 
 

2020年3月7日土曜日

このブログを読んでくださっている皆さんへ

時計の針を加速させる


 皆さん、今までこのブログを読んでくれてありがとうございました。
 今週末でこのブログは終了します。
 エンディングテーマは、「花吹雪」。
 
 

 ということを去年の終わりぐらいまで準備していたんですよ。
 「花吹雪」の歌詞にあるように、幻覚を見てたような毎日だな、と思いながらね。
 もう、ブログを運営するお金もないし。

 でも、ふと思ったんですよ。
 ないなら、稼げばいいじゃんと。
 しかも、ブログという書くことについてのことなら、「書いて」稼げばいいじゃんと。
 というわけで、「note」を始めました。
 こちらには、僕の個人的なことを中心に投稿していく予定です。
 SKE48については、引き続きこちらのブログに書いていきますが、「note」ではかなり僕の赤裸々な内容を公開していく予定です。その代わり、有料で出そうと思っています。もうね、借金を返していくまでとか、市役所の福祉部にお世話になれるか、とかドキュメント的な要素も強くなると思います。
 ちょっと面倒だと思いますが、普段、このブログをお気に入りで読んでくださっている方で、力を貸してくれる方がいれば嬉しいです。力を貸してくれた人には何らかの方法でお返しがしたいなあ、これも良い案がないか、考えます。

 これまでこちらのブログに投稿した「備忘録特別編」はすべて、noteに移しております。
 
 本当はね。
 Twitterのフォロワーがあと2桁多い状態ぐらいから始めたかったんだけど、仕方がない。崖に立たされないと人間は飛ばないですもんね。
 とにかく、今年はやりたいことがまだまだあるので、ブログ2年目の今年は、より活動の幅を広げていきますよ。

noteのリンクはこちら!
https://note.com/oboeteitekure913/n/n4747ed64aec6

有料のnoteのリンクはこちら!めちゃくちゃ私的だよ!
https://note.com/oboeteitekure913/n/n2d931ad3e71a

in fact

本当のわたしを


 記憶って、どこから消えて行くんでしょうね。
 視覚的なものからなのか、聴覚的なものからなのか、嗅覚的なものからなのか。
 先日、アイマスのコンサートについて書いたは良いものの、既に忘れ始めてましてね。
 アイマスファンの方々はどうしてるんだろう?と少し調べてみると、イラストや漫画にして残されてる方が多いんですね。他にもTwitterやブログに詳細なレポートを書く方もいらっしゃいましたね。
 僕も佐藤亜美菜演じる橘ありすさん「in fact」について少し書きましたが、コンサート当日が、2階の席だったということもあり、徐々にモニターに映った亜美菜の顔が薄れはじめています(早く映像化してほしいところです)。
 その代わりと言ってはなんですが、歌った「in fact」の記憶が強くなっていきました。

 数々のツイートで僕に「in fact」を初めて披露した時のエピソードやその舞台裏、また、「to you for me」との関係を教えてくださる親切なプロデューサーさんたちが居らっしゃってですね。あの切ないメロディーと「なぜ」という言葉がずっと頭に残っています。

 ただ、「in fact」と橘ありすの物語や佐藤亜美菜の物語とどこか重なる感じは、色々な方がブログやSNSで語ってらっしゃいます。アイマスをプレイしたことのない僕が語れるとは思えません。

 じゃあ、僕は「in fact」にどうアプローチするか?
 一回、橘ありすや佐藤亜美菜の要素を全部抜いてみようと思いました。
 そんなことが出来るのか、キャラクターをイメージした曲なのに?
 この「in fact」は作詞作曲を担当した藤田麻衣子さんが、「wish」というアルバムの中でカバーしています。

 僕は藤田さんの曲は「ねえ」「高鳴る」ぐらいしか知らなかったんですが、ちょっとこの曲の為に、「橘ありす」版と「藤田麻衣子」版を同時にダウンロード。



 「in fact」フォルダーを作ってひたすら聴き比べる日々を過ごしました。





 まずは、歌詞の世界から見ていきましょう。

 孤独だった「私」「あなた」が見つめ続けてくれた。
 けれど「本当の私」「誰も知らない」んですね。
 ここでいう「本当の私」とは、内面の部分ですよね。
 素直になれずに「大好き」という「本当の私」の気持ちをしまいこんで行動してしまう。
 2番でも、最初に出てくる誰かの評価は「本当の私」をとらえられていません。
 「甘える」とか「言葉に出来たら」とか、外側に発することが上手くできずに、歯がゆい思いを抱えます(誰かの評価に対して『言い返さない』ということからもそれは感じます)。
 ここだけ切り取ると、すごくもどかしい気持ちになります。
 しかし、「あなた」はそんなうまく「本当の私」の気持ちを表せない「私」に手をさしのべたり、呼び止めたりしてくれるわけですよね。
 不器用な「私」から離れずに、理解しようと努めてくれている。
 これ、なかなか出来ませんよ。
 人とコミュニケーションが上手に取れる、自分の想いを表現できることが良いことと、子供の頃から適正検査などで進められている昨今。また、ガンガンSNSなどで「発信」が行われている現代。一歩間違えたら、ただの面倒な子として扱われるかも知れません。
 でも、「あなた」は世間の価値観とは全く違う価値観(いや、これは全く違う時間かもしれない)で「私」を見ている。
 だから、この人にだけはもっと「知って欲しい」し、「特別」なんですよね。
 上手に伝えられずに想いをしまってしまうのは、「大好きなのに」じゃなくて、「大好きだから」、言えないんじゃないか、と僕は思っています。大勢の中であなたを見つけられるぐらい、「好き」が内面から溢れている。だから、うまくいかないという「駆け引き」とか「思わせぶり」とは無縁の純粋な恋心が描かれています。
 皆さんも、上記のような経験を一度ぐらいはあるんじゃないでしょうか。

 自分のことを世間や社会の物差しとは違う測り方で見てくれる人との出会い。
 でも、全部内面を出すのは怖くて。
 けれど、この人ならきっとと期待してしまう。

 わずか3行の間に逆接の接続語を2回連続して使うぐらい、この「私」の気持ちは揺れています。
 そして、状況は大きく実は変わっていない。
 物語性が強い48グループの曲を聴きなれている僕には、新鮮でした(曲の中で二人の関係が変わることがよくあります)。

 
 さて、歌詞を見て行ったので、次は曲についてみていきましょう。僕は音楽をかじっていないので、詳しいことは書けませんが、あることに気づきました。
 橘ありす版が4分22秒なのに対して、藤田麻衣子版は5分3秒と少し長めでテンポもゆっくりなんですね。聴きながら、ちょっと京セラドームで聴いたのに近いなと思いながら聞いてました。多分、京セラドーム版はもっと長いんじゃないかと思います。一つ一つの言葉がより入りやすくなっていたと思います。

 ここまででは、「in fact」が何故、頭に記憶に残っているのか、言い換えるならば、なぜ記憶に残るほど良い曲なのか、の説明になっていません。
 手がかりは歌詞を見て行った時に出てきた、「好きな人に本当の気持ちと逆のことをしてしまう、でも、理解期待してくれると期待する、という主人公。
 この主人公、そして、この曲は、共感性の高さが良い曲でうある要素なのではないかと思っています。
 夏目漱石の時代から我々人間は、本当の気持ちとは逆のことをしてしまう時がありますもん。
 
 「in fact」はもの凄く広義の言い方をすると、キャラクターソングです。
 キャラクターソング、つまり、「他人のことを歌った曲」のはずなんですよね。いや、もっと極端な書き方をすると、「キャラクターの要素を入れた自分じゃない人の曲」のはずなんですよね。
 でも、先ほど書いた共感性のように、この曲は「自分の曲」として聴くことも出来るんじゃないか。「私」を受け入れて「自分」として想像しやすいんじゃないか(あなた側でも可)。
 少なくとも僕は、輝くアイドルたちの毎日を描いた「お願いシンデレラ」と比較すると、こちらの方が共感しやすいです(曲が嫌とかではなく、あくまで共感性の話なので。日常と非日常で言えば、アイドルという非日常感を感じる要素が強いと思っています。念のため)。
 「自分の曲」としても聴くことが出来るから、「他人のことをイメージした曲」なのに、気持ちが分かるし、想像できる、共感できる。
 つまり、この受け入れやすさの入口がとても広い曲である「in fact」は、色々な物語が落としこめるのかも知れません。

 アイマスの世界にあてはめていくと、「私」はおそらく「橘ありす」でしょうし、「あなた」は「プロデュサー」かもしれない(2次元と2次元)。

 もしくは、「橘ありす」「プレイヤーとしてのプロデュサー」かもしれない(2次元と3次元)。

 さらに「佐藤亜美菜」「ファン」かも知れない(3次元と3次元)。

 いや、ひょっとすると、役を手に入れてからデビューしていくまでの「佐藤亜美菜」「橘ありす」の関係かもしれない(役と演者)。

 亜美菜のことをありすが見つめてくれていたというと話が出来すぎですかね(プロデュサーさんが教えてくれたラジオの影響が強いです)。

 このように、書いて行くときりがないですが、とにかく耐用年数が高い曲を作った藤田さんと、それを見事に歌い切った亜美菜は素晴らしいと思います。

 まだ、「in fact」の「本当の私」は見つけられていないのかもしれません。あなたは、どんな「私」や「あなた」を「in fact」に見つけますか?
※歌詞はすべて「in fact」から引用。


 余談ですが、僕は「in fact」を聴いた時に罪悪感を一番初めに感じました。それはSKE48ファンですが、AKB48の佐藤亜美菜のことを最初の総選挙から知っていた者として。
 48グループに居た時は、興味があっても、いなくなってからは興味を失う。それが元アイドルたちにとってどれほど残酷なことであるか、「いちばん辛かったクリスマス」の話や「あみメン」での色々なところに行って、トークを作っていた話、アルバイトをしていた話などをラジオで聴いていると、48から声優になっていっても、ついて行った亜美菜ファンの皆さん、そして、声優の佐藤亜美菜を好きになった皆さん、本当に尊敬しています。 
 

2020年3月4日水曜日

「おすすめの映画と本 夢のポッケ 14歳で夢をかなえてまんが家になった私」

夢幻三剣士は確かに最高!


 本日、ときわ藍先生の「夢のポッケ 14歳で夢をかなえてまんが家になった私」。
 もう皆さん読みましたかね?
 僕は電車の中で読んでいたんですが、もうね、泣きましたよ。
 最初のカラー写真と18歳までのこれまでの日々のところで、もう号泣ですよ。
 周りの人にジロジロみられましたが、途中からときわ先生だけじゃなくて、何故か、お母さま視点になって、もう一つ感情が乗っかってきましてね。あたり構わず泣きながら読み進めました。
 お母さま。娘さんたち、本当に立派に育ってますよ、と思いました。



 さてさて、14歳でデビューというセンセーショナルさの裏には、こんなドラマがあったのか、と思いましてね。
 みんな最初から天才じゃないんだ、と。
 『コロコロ漫画大学校』や『ちゃお・まんがスクール』での漫画家になりたいという自分の思いと、結果がついてこない毎日。
 
 小説家のJD・サリンジャーを題材にした「ライ麦畑の天才」でも、小説家になるためにサリンジャーが新人賞に小説を送ったら、「ボツになりました」というハガキが来るんですが、サリンジャーの学校の先生は「よし、やっとスタートラインに立ったな」的なことを言うんですよね。
 そこから、ピン止めじゃあ足りないぐらいのボツのハガキをくらいながら、彼は永遠の名作「ライ麦畑でつかまえて」を書いて、21世紀になった今でも多くの文学青年たちに影響を与えていきます。
 天才と呼ばれるサリンジャーも自分の才能に苦悩しながらも投稿することを続けます。ときわ先生もここは同じで、挫折を味わいながらも「わたしは天才じゃない」ということを一旦、飲みこんでそこからまた走りだせるというところが両者とも素晴らしいです。
 
 漫画だけじゃ、ありません。学校生活でも教師の心のない一言から、「人の視線が気になる」というストレスから、睡眠障害を起こしたというエピソードは凄く辛くてですね。僕は「ストレンジカメレオン」という曲が凄く好きなんですが、周りの色に上手く染まれなくても、大切な何かをちゃんと持っているんですよね。マスクや定時制高校で少しずつ自分を守りながら、自分が居心地の良い場所をみつけて行ったときわ先生。
 
 このエピソードを読みながら、僕は思いました。
 「勉強ができる」というのは「世間のものさし」なんですよね。
 これは「お金持ちだ」とか「流行に敏感」でも良いです。 
 この物差しは時に、とても冷たく人を打ち付けます。
 たとえば、僕が好きな近代文学の小説家や歌人や詩人たちは、この物差しでは、ほとんど価値の無い人達になってしまいます。
 でも、「物語」を作れるって、本当に素晴らしいことだと思うんですよ。
 漫画という幼い世代から手に取れる、時には言葉も関係なく感動を生む、そんな素晴らしいものを作ることが出来る彼女の才能が、認められていくのが僕は他人ごとながら、凄く嬉しかったです。

 作品自体は、藤子・F・富士雄先生の「ドラえもん」に出会ったことから、最初はF・富士雄先生の影響を受けていました。残念ながら、作品自体は望んでいた結果を生みません。
 しかし、そこから、いとこの木崎ゆりあの名古屋ドームでの「それでも好きだよ」や妹の浅井裕華のアイドル活動から生まれた「アイドル急行」。視線の恐怖やマスクをつけることという、自分の内面にあるものをどんどん作品に昇華していくのが素晴らしくてですね。なんというか、自分が経験した様々な悩みや不安をフィクションに落としていく手法は、晩年の芥川チックで僕は好きです。
 そして、18歳で自分の原点である「ドラえもん」と漫画家として再会するというのが、スゴイじゃないですか。
 自分の作風を手に入れたあと、もう1回、自分に影響を与えたものと向き合うというね。

 だれかの力になる漫画を描きたいというところを読んでいると、「ドラえもん のび太と雲の王国」の主題歌の「雲がゆくのは」を思い出しましたよ。


 そういや、「ドラえもん」も子供の頃、観てたら未来は凄いんだろうなあ、と「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのマーフィーみたいな気分になったもんですよ。ときわ先生の昔の自分は今の自分を知らない、という言葉は、まさに今どんぞこに居る自分に力をくれる言葉です。
 本当に良い本なので、ぜひ、お子様やその親御さんにも読んで欲しいです。


忘れられない二日間「松井玲奈卒業コンサート 2588DAYS」

空からは涙雨


 皆さんは、アイドルの卒業コンサートに行ったことは何回ぐらいあるだろうか?
 僕は、残念ながら推しの卒業コンサートに行けたことは一度もない。
 しかし、どうしても行っておきたかったコンサートがいくつかある。
 その中の一つが、トヨタスタジアムで2日間に渡って行われた松井玲奈の卒業コンサートだった。



 今更、松井玲奈がSKE48に於いて多大な働きをしたことは、このブログの読者の方ならご存じだろう。
 野暮だと分かりながら書かせてもらうと、多くの人のSKE48の入り口になり、時には運営に代わってヲタを制し、時にはヲタに代わって運営に意見をしてくれた。その反面、一人のヲタクとしての顔も持っていて、鉄道・アニメ・特撮・アイドル・ゲームと、多くのヲタクに親しみを感じさせてくれた。

 
 彼女が卒業発表をした2015年当時、長年推していた中西優香が卒業し、僕は推しが不在の状態だった。
 しかし、松井玲奈というSKE48において、2度と出てこないであろう唯一無二のメンバーの卒業コンサートには絶対に行きたいと思い、8月29日と8月30日両日のコンサートチケットを申し込んだ。
 運よくどちらも当選した。
 だが、ここで大きな問題が僕の前に立ちはだかる。

 僕が当時勤めていた会社では、8月29日の土曜日が4半期の締め日で、物凄く休みにくい感じの日だったのだ(少しカレンダーがずれた業界にいた)。
 休みの申請を出したものの、上司からは「この日だけは、避けられない?」と言われた。
 当時、係長のポジションに居たが、「大事な日に休むのは、社会人としての常識に欠けている、現場の士気にかかわる」と別の上司から指摘されたこともあった。
 今、考えるとなんとも根性論の思考だと思う。仕事と趣味を天秤にかけた時、どちらが重いかは会社の多数派の人と違っていたのだろう。
 ただ、僕からしてみれば、非常識と言われようとも松井玲奈の卒業の方がよっぽど大事だった。
 締め日は毎年やってくるが、玲奈の卒業コンサートは1度きりだ。
 その日の休みが取りやすくなるように、開催が決まった翌日に言ったし(確か2か月前)、他の社員やバイトの方たちに分かるように、2日間の業務の引き継ぎの準備も進めていた。
 そういう業務面での問題はなんとかクリアーできないものか、と努力できたが、意識の面では全く上司たちには伝わらず、何度か虚しい気持ちにこの期間なった。
 
 最終的に、折衷案で午前中から午後14時まで出社して、そこから名古屋へ向かう半休の申請をすることになった。僕が当日働く予定だった支店は、大阪の上本町にあった。14時に出ればなんとか間に合うのではないか。
 半休の申請書には、申請理由を書く欄がある。
 僕は迷いなく、「SKE48松井玲奈卒業コンサート参加のため」と記入した。
 「私用の為と書きなさい」と怒られた。なんで私用の内容を詳しく書いたら怒られるのか、と思ったが半休を取ることが最優先なので、書き直した。
 上司の一人からは、「なんでアイドルの卒業コンサートなんかで」と言われたが、あなたにだって、趣味ぐらいはあるだろう、その趣味で節目の日があったら、参加したくないですか?ということを聞いたら、それでも「アイドルはおかしい」と言われた。

 こういう議論になる度に思う。
 この趣味はよくて、この趣味はダメという境目はなんだろうと。
 仕事と趣味のバランスが崩れてしまっているんだろうか、と考えたこともあるが、「仕事」はお金を稼ぐための手段であって、「趣味」は目的というのが僕のスタンスだった。「仕事」が目的という生き方は、あまり僕にはあっていない。
 さらに、「自分たちは頑張っているのに、こいつはアイドルのコンサートに行くのか、と思われるぞ」とある先輩がアドバイスしてくれた。ああ、なんてフラクタル構造の組織なんだと思った。上司が上司なら部下も同じようになるのか。このアドバイスに対して、何でそういう思考回路になるのか、いちいちみんなが納得する理由がないと休めないのか、とも思った。
 結局、その仕事は松井玲奈のコンサートの3年後に辞めて、転職することになる。
 転職先でも「えっ、SKE48?アイドル?何が楽しいの?」と言ってくる人が居たが、その人たちの趣味にも同じ言葉を言いたくなった。
 「何が楽しいの?」



 2015年8月29日。
 あれほど、大切な日だと上司から言われていた日は、いつも通り何事もない日だった。昼になって出発しようとする僕に、上司は苦い顔をしていたのを今でも覚えている。
 スーツで新大阪から新幹線に乗った僕は、トイレで私服に着換えた。足元のブーツもスニーカーに履き替えた時、何故かすっとした。
 名古屋に着くと、すぐに乗り換えて豊田市に向かう。
 窓から見える景色は初めて見るところばかりで、乗り換えを失敗しないように、ということだけを意識して、豊田市駅に向かった。
 空は少し曇っていた。
 これは雨が来るかもなと思いながら時計を見た。
 ぎりぎり開演に間に合う時間だ。
 駅に着くと、トヨタスタジアムでの送迎バスの列が出来ていた。
 時計を見ると、開演まで15分。
 グーグルマップで距離を検索すると、徒歩20分。
 走れば間に合うな。
 本当はボストンバッグを駅のコインロッカーにいれて、トートバッグだけで会場に向かいたかったが仕方ない。僕は両肩にバッグを掛けて走り始めた。
 これが思ったより遠かった。
 「ここが豊田スタジアムまでの最後のコンビニですよぉ!」と叫ぶコンビニ店員さんの声を無視して、ひたすら走った。
 やがて、大きな橋が見えてきた。そして、その先にスタジアムが見える。
 なんとか、橋の真ん中ぐらいまで来たところで、驚愕する。
 もう一つ大きな橋があるではないか。
 時計を見ると、あと5分で開演だった。
 間に合え、間に合え、と頭の中で叫びながら、二つ目の橋に向かう。
 二つ目の橋の真ん中で、影アナが聞こえてきた。
 ちゅりと江籠ちゃんだった。
 焦りながら、トヨタスタジアムのゲートへ向かう。
 チケットを確認してもらい、1階のスタンド席へ向かう頃には「over ture」が流れていた。不思議なもので、席へ向かいながらも、コールをしていた。
「SKE48!」と叫びながら、「自分の席はだこだ!」と思っていたのだ。
 1曲目の「パレオはエメラルド」が始まる頃に、やっと席を見つけて、スタジアムの階段を降りていく。
 「すいません、すいません」と謝りながら、真ん中の方にある自分の席に行く。
 隣りの席の人は望遠鏡で見ていたので、通る時に頭をかがめたが多分、邪魔だったと思う。申し訳ない。
 席を見つけてボストンバッグとトートバッグをなんとか足元に押し込めたが、ほとんど足の置き場がない。
 それでも、トートバッグからサイリウムを出してコールする。
 「間に合った!」とう高揚感から、コンサートの序盤からくるシングル曲の連発に興奮する。まるで、「もっと声を出せ、解放しろ」と言っているかのようなセトリ配置だった。
 最初のMCで松井玲奈考案のセットリストだと知って、流石だなと思った。
 ユニットブロックでは、斉藤真木子振り付けの「少女は真夏に何をする?」や、かおたんが、線香花火をし始めて会場が笑いに包まれた「花火は終わらない」が披露された。
 そして、僕が一番良かったのは「不器用太陽」だった。
 夏の少し蒸し暑い空気の中、浴衣姿の竹内舞と矢方美紀が出てきて、弾き語りで唄うサビから始まるところが夏の終わりを感じさせる素晴らしい演出だった。ブルーレイを持っている方は、みきてぃがギターを弾いている横でほほ笑んでいるケケ舞の横顔を見て欲しい。
 やがて、歌が上手いメンバーがぞくぞくと出てくる。
 宮澤佐江、高柳明音、佐藤すみれ、東李苑、谷真理佳、石田安奈。
 それぞれ浴衣姿だが、谷の浴衣姿がとても綺麗だったのを覚えている。この人はこうしてたら、本当に美人なのに、と客席で思った。それから、ちゅりが空を見上げながら歌っているのも印象的だった。
 「はにかみロリポップ」で真那のマイペースなクイズに笑い、7D2の「毒リンゴを食べさせて」では、玲奈が懐かしいポジションにいることに隣りの席の人が「うおっ!」と言っていたのを覚えている。
 
 「アイシテラブル!」から「ごめんねSUMMER」までの撮影OKタイムもなかなか斬新な試みだった。
 ただ、僕の席からは本当に豆粒ほどのメンバーと、ちょっと大きい船が撮れていたぐらいだ。でも、近くにメンバーが来るんじゃないか、というワクワク感を覚えている。
 この時に撮った写真は、機種変更の時に消えるという悔やんでも悔やみきれない事態が起こった。あの夕暮れ前のトヨタスタジアムの雰囲気を写真で残せなかったのは、本当にもったいないことをした。
 どんどん照明やライトが明るく見えるようになって、夜が来たことに気づかされる。
 ミュージカル「AKB49」の「夜の教科書」はダブル寛子が観られて嬉しかったし、「奇跡は間に合わない」では、宮澤佐江センターで「うわっ!本物だ!」とちょっと得した気分になった。
 中盤は「わがままな流れ星」での、過去最大規模でのコール合戦がたまらなかった。当時、阿弥ちゃんとだーすーと、玲奈ひょんのモバメを平行してとっていた僕は、阿弥ちゃんコールをしたはずだ。
 珠理奈といえば、当時は「思い出以上」という選択肢もあったのに、「Glory days」にしたのも印象的だった。残りの二人が後藤楽々と小畑優奈だったから、フレッシュな感じにしたのだろうか。この二人が珠理奈というセンターから何かを吸収して引き継がれていくと当時は思っていた。
 また、この日の「クロス」は高柳、大場、古畑というすさまじい3人だった。もし、ブルーレイをお持ちの方は、3人の表現力とカメラワークの素晴らしさを堪能してほしい。赤いサイリウムがスタジアムが染められる様子は、客席から観ていて凄まじい迫力だった。
 「恋ドリ」のあとにMCを挟んで、初めて聴く曲が訪れる。
 「ブリッジ」だ。
 高木由麻奈作曲のこの曲は、SKE48のカッコよさを引き出してくれる素晴らしい曲だ。個人的には、スギちゃんが先輩たちに混じって懸命に踊っているのが印象的だった。
 この日初披露の「世界が泣いているなら」は、曲も良かったが最初の照明が凄くカッコ良かったのを覚えている。今の世の中は「笑える動画」を見る人だらけになったな、とつくづく思う。
 
 ここからMCを挟んでシングル曲メドレーが続く。
 多幸感溢れる流れだった。
 特に終盤に「オキドキ!」が来た時は、まさかここで激しいダンス曲が来るとは「どうかしてるぜ!」と思わず言ってしまった。
 またMC前の「未来とは?」の演出にも注目してほしい。会場のモニターからはよく分かってなかったが、ブルーレイでみると、イントロで下からのライトの当たり具合がもの凄く良い。
 「僕は知っている」で本編は終わった。
 聴きながら松井玲奈のこれまでと重ね合わせて、涙が出ていた。
 アンコールまでの間に雨が強く降ってきた。 
 ここで「神々の領域」のイントロが流れた時は鳥肌が流れた。
 ああ、1期生も3人になってしまったか、と寂しくなった。確か、加藤るみかみきてぃが何かのコンサートのメイキングで「他の1期生が見えてる」と言っていたが、その日の僕には3人しか見えなかった。
 「その先に君がいた」を挟んで、「手をつなぎながら」。
 玲奈が1期生二人と手をつないで走っているのが印象的だった。
 「SKE48」からアンコール最後の曲「前のめり」。
 僕も隣りの席の人も泣いていた。
 明日卒業なのに、今日卒業じゃないのに。
 未だにSKE48のシングルの中で「前のめり」はトップを争う名曲だと思うが、改めてその素晴らしさを感じた最後だった。

 雨が降る中、片手で折り畳み傘をさしながら、駅へと歩いた。暗くて道がよく分からないが、前を行く人について行った。前もこんなことがあったな、と思ったら2014年味の素スタジアムの総選挙に参加した時も、ひどい雨だった。
 やがて、ホテルを取っていた名古屋駅まで戻ると、チェックインをして近くのコンビニに入浴剤を買いに行く。遠征をした時の密かな僕の楽しみだ。時間に余裕がある時は、ドラッグストアなどでじっくりと選ぶが今日はそういうわけにはいかなかった。
 時計を見ると、22時を回っていた。
 飲食店は、居酒屋以外は店じまいを始める時間帯だったが、ラーメン屋が1軒開いていたので、そこに入って食べた。遠征の楽しみとしては、こういう初めて入る店との出会いがある。僕はこの時、初めて硬い麺のラーメンを食べたと思う。それからは、しばらく硬めのラーメンばかり食べていた。
 ホテルに戻って入浴すると、「前のめり」の歌詞の通り、「心地の良い疲れを覚えて」ベッドに身を預けることができた。ふとスマートフォンを見ると、メールの通知が来ていた。一瞬、嫌な予感がしたが、メンバーからのモバメだった。
 ふふ、と笑って眠った。





 2015年8月30日。
 確か、朝はまだ雨が降っていなかったのではないだろうか。
 8時頃に起きると、ホテルの近くにあるマクドナルドで朝マックのセットを頼んで、ホテルに持って帰って食べた。時間に余裕があるので、寝癖をシャワーで直して、11時頃にホテルをチェックアウトした。
 2日目は別のホテルを予約していたのだ。
 しかし、そちらのチェックイン可能時間は14時。
 昨日と同じくボストンバッグとトートバッグを持ってウロウロするのは嫌だったので、どこかコインロッカーはないものか、と駅の近くを歩いたがどこもかしこも使用中で、結局、駅から少し離れた謎の美術館のようなところに荷物を入れて、名古屋の街を歩くことにした。

 よそ者になれるから旅行は好きだ。
 角を曲がる度にどんな景色が出てくるのか、ワクワクする。
 この日は、ホテルから少し歩いたところに映画館があることを知った。
 それでも時間がまだまだあったので、カラオケに一人で入った。
 「金の愛銀の愛」のジャケットに使われているあの店に非常に似ているところだ。
 そこで2時間ぐらい小沢健二とスガシカオを唄い続けた。
 いつ歌っても「僕らが旅に出る理由」は最高だ。
 やがて、時間になり、ホテルにチェックインする。
 皆さんは共感できるか分からないが、僕はコンサートにはぎりぎりに入るのが好きだ。会場で待つのが嫌だし、ホテルの部屋の中なら絶対にトイレは混んでいない。
 「暇だな」
 僕は思わず呟いていた。
 昨日は、コンサートに間に合うのかヒヤヒヤしていたのに、今度は時間を持て余すとは。
 グッズを買いに行くという手もあったが、気合いが入っている人々が朝から買いまくっていると思うと今更行ってもなあ、という気分になり、結局、栄に行ってみることにした。ところが、考えることはみんな同じで、SKE48カフェは人だらけだった。仕方なく、少し早いがトヨタスタジアムを目指すことにした。
 2日目になるともう余裕だ。
 
 豊田市駅に着くと、時間に余裕があるので送迎バスの列に並ぶ。
 5分も待たずにバスに乗ることができた。
 バスはゆっくりと豊田市の街を走っていく。
 昨日と違って街の風景がよく分かる。
 やがて、バスは昨日僕が走りこんだ場所とは全く違う入口から豊田スタジアムに到着。
 今日は、2階の一番後ろの席だったので、グッズや松井玲奈等身大パネルをよそに、入場。松井玲奈ファンの方々が、何かお知らせの紙を配ってらっしゃった。
 丁度、サブステージの向かいの辺りの席だった。
 席の後ろは手すりになっていて、すぐにトイレにも行きやすそうだ。
 隣りの席は家族ずれで、母親と娘さんでコンサートを観に来ていた。
 その年の総選挙後に発売されたメンバーがプリントされたサイリウムを持ってきていたようで、横から見ると「高柳明音」と書いていた。
 
 2日目の「over ture」は初日以上の盛り上がりだった。
 それはそうだ、今日はスタジアムの一番上まで埋まっている。
 過去最大のSKE48のコンサートがいよいよ始まる。
 メンバーたちが船出の準備を確認し、いよいよ松井玲奈の卒業コンサートが始まる。
 このコンサートの舞台が船をイメージしたものだったが、2日目はこれがチーム楽曲やユニット曲などでも船やそこから連想する海のイメージを活かしたものが多かった。
 昨日と同じく4曲連続でシングル曲の連発から始まるが、昨日の開始4曲と同じシングル曲が1曲もない。2日連続で観に来る人のことを意識してだろうが、メンバーの苦労を考えると、本当に頭が下がる。
 久しぶりに「初恋の踏切」が聞けて嬉しかったし、「恋を語る詩人になれなくて」はイントロからテンションが上がる。
 当時まだ研究生だった7D2の「Dear my teacer」から始まる海賊ブロック(?)は、ちゅりの良さが凄く出ていて、僕は好きだ。
 ゆりあが駆けつけてくれた「ごめんね、SUMMER」。
 やはり、彼女が一緒に踊る「ごめサマ」は素晴らしい。
 雨の中、水しぶきを上げて「青空片想い」が始まり、「制服を着た名探偵」ではこの中から未来のセンターが出て来るんだろうな、とSKE48の未来の明るさを感じていた。
 「ピノキオ軍」では、牧野アンナ先生がサプライズで登場し、よくドキュメンタリー映像などで流される玲奈が「ピノキオ軍」の練習中に腰を痛めて苦しむシーンを、まさか、コンサートで昇華してみせるとは。もし、手元に映像ソフトがある人は、この時の惣田さんの表情に注目してほしい。48グループのドラフト1期生の合宿の時、誰がダンス指導をしていたか。僕が個人的に好きなところだ。
 MCでは、乃木坂46メンバーの中継を使ったサプライズのお祝いがあった。
 ちなみに、昨年僕が転職して知り合った同じ職場の坂道ファンの方は、この日は神宮にいらっしゃってVTRでこちらのライブの様子を観ていたそうだ。さらに言うと、元48ヲタもそこそこ居たようだ。

「なんて銀河は明るいのだろう」は、もし、雨でなければきっと美しい夜空を見上げていただろうが、別の野外ライブでの披露に期待している。
 「青春の水しぶき」ではちゅりとの友情を感じられ、「僕の太陽」では松井チームEが揃う。奈和ちゃんの「玲奈さーん!僕の、僕たちのたいよーう!」という叫びを未だに覚えている。チーム解散後、この曲を披露する度に泣きそうになる宮前に注目して観ていたが、この日はなるちゃんが泣きそうだった。
 「君のことが好きだから」では、未来を託されたメンバーたちが集う。「瑠華、お前は選抜になれ!」の一言で、僕の近くの席はちょっとざわついたのを覚えている。みなるんのコミカルなところが出た素晴らしい演出でもあったと思う。
 「バナナ革命」はイントロが、昔のドラマみたいで本当に大好きだ。真木子が来ているのは2013年の「となりのバナナ」でかおたんが着ていたものだ。
 そして、伝説の1期生3人での雨の中での「雨のピアニスト」。
 緑と赤のサイリウムが広がるトヨタスタジアム。
 この時の「虎!火!人造!繊維!海女!振動!化繊!飛!除去!」はもの凄く気持ち良かった。ただ、歌詞に登場する「ショパンの別れの曲」で、いよいよ別れの時が近づいているのか、とふと現実に戻る自分も居た。
 昨日は聴けなかった「美しい稲妻」や「Escape」が登場したのも嬉しかった。
 最後の「枯葉のステーション」では、白いサイリウムでトヨタスタジアムが包まれた。
 思えば、AKBヲタ時代にSKE48の「恋を語る詩人になれなくて」と「枯葉のステーション」が凄いという噂を聞いて、youtubeで動画を検索したものだ。どちらの曲もSKE48を構成する大事な要素だと今でも思っているし、どちらのベクトルも失ってほしくないとも思う。
 シングル曲4曲を挟んで、「手紙のこと」がやってくる。
 「制服の芽」の中で一番好きな曲だ。
 イントロが流れた時に、既に僕は涙ぐんでいた。
 ああ、この曲が選ばれて凄く嬉しい。でも、もうすぐコンサートが終わるんだな、と。
 珠理奈と真那からの玲奈への手紙。
 玲奈からみんなへの手紙。
 玲奈が手紙を読み終わった後に、珠理奈が小さくうなずいているのが印象的だった。
 本編最後は「仲間の歌」だった。
 今でこそ、「僕が知っている」でコンサートが終わることが多いが、僕は「仲間の歌」で終わった時の多幸感が好きだ。
 玲奈が最後に言ってくれた「もう一度、オレンジの景色を見せてください!」。
 名古屋ドームでの選抜メンバーしか見られなかったオレンジ色の景色。
 そのモヤモヤを玲奈が晴らしてくれた。メイキング映像を見ると、アンコール中にかおたんが何度も玲奈に「玲奈さん、ありがとーう」と言っているのが残っている。コンサート映像を見返すと、ゆりあと顔を見合わせたかおたんが泣いているのが分かる。最後にメンバー全員にオレンジ色の景色を見せてくれた。しかも、名古屋ドームよりも大きな会場で。本当に、玲奈は最後までSKE48のことを考えてくれていたんだと思う。
 そして、会場は暗闇に包まれる。
 僕が居た席の近くではアンコールは始まらない。
 多くの人の脳裏には、このアンコールの後に松井玲奈が去ってしまうという想いがあったのかも知れない。
 やがて、僕の右上の方から「イイデスイイデスイイデスヨ!」という声が聞こえ、アンコールが始まった。ふと、雨が止んでいることに気づいた。
 アンコール明けの「前のめり」では二日連続で泣いてしまった。
 出来るだけ耐えようとしたが「前のめりに地を蹴る」のところで限界が来た。
 大サビ前では最後の大「玲奈ちゃん」コールをした。
 これまでの思い出映像を挟み、「2588日」。
 美浜も卒業公演も行けなかった僕にとっては、最初で最後の「2588日」だ。
 幻想的な水しぶきとライトアップされた船の上で、これからの未来と思いは残っていくことを歌ったこの曲では、色々なところで鼻をすする音が聞こえた。
 ああ、一つの時代が終わったんだなあ、と感じた。
 玲奈が旅立った後の「アイシテラブル!」は、悲しみを乗り越えるために用意されたんじゃないか、と思いながら「愛してる!」と叫んだ。
 最後の曲、「手をつなぎながら」のイントロが流れた瞬間、珠理奈が「雨だ!」と叫んだ。ああ、玲奈が卒業しようとしたあの時間だけ奇跡が起きたのかもしれないとガラにもなく思った。
 珠理奈と真那の挨拶でコンサートは終わった。
 来てよかった。
 傘をさそうかと思ったが、そのまま濡れて帰ることにした。
 スタジアムを出ると走っている人たちが何人も居た。昨日と違う出口だったので、とりあえずこの人達についていこうと思った。
 軽い「ヲタクマラソン」が始まる。
 しかし、問題は走り始めて5分ほどで起こった。
 もともと、僕は運動部でマラソンはそこそこ早かったが、僕がどんどん前の人を抜いていったせいで、先頭になってしまったのだ。まずい、駅の方向は分からない。駅への標識も特にない。暫く走った僕は、靴紐を直すふりをして後ろを振り返った。誰もついてきていなかった。
 トボトボと道を引き返すと、大勢の人々が別の方向へ向かって歩いていた。
 そちらの群衆に混ざって、駅へと歩いた。人が居すぎて、なかなか電車には乗れなかった。
 名古屋に戻った頃には、昨日より遅い時間だった。
 この日、何を食べたかは覚えていない。
 ただ、すぐに寝てしまったのを覚えている。
 
 翌日、関西に戻る前に「でらなんなん」というアイドルの生写真やグッズを売っている店に寄った。
 会場では売り切れていたパンフレットが売っていないか、と見にいったのだが、残念ながらなかった(それから暫くして通信販売でパンフレットは購入できた)。
 関西に帰る新幹線の中で、昨日のコンサートのことを思い出していた。
 間違いなく、SKE48の大きな柱が1本無くなった。
 これから何年かかけて新しい柱を建てる必要があるだろう、昔ほどの勢いがなくても時間をかければきっと、と僕は信じていた。
 小畑優奈がセンターになるのは、それから約2年後のことだ。




 翌々日から会社に戻ると、また何の変哲もない日常が待っていた。
 この会社に居る間は、なかなかアイドルが好きだということは、理解されなかったが、退社する年に元ももクロファンの同僚が入社してきて、SKE48のSSAコンサートに参加できるように協力してくれたことも書いておく。

 時間は進んで2020年の現在。
 今年の9月に松井珠理奈が卒業する。
 残念ながら、小畑優奈は卒業してしまった。
 これまでSKE48という大きな城を支えてきた柱が、どんどん消えていく。
 運悪くコロナウイルスのせいで多くのイベントが中止となり、運営会社の株価も下がり続けた。
 それでも玲奈が残していったものは、「2588日」の歌詞のように、後輩たちに受け継がれているはずだ。彼女との活動経験がないのに、倉島杏実を観た時にどこか昔のSKE48のような懐かしさを感じたのは、松井玲奈という人を倉島杏実が沢山みてきたからだろう。
 SKE48の時間が少し遅くなっている今だからこそ、松井玲奈のことを思い出してみて、明日のヒントにするのはどうだろうか。トヨスタに辿り着くまでの彼女の活躍、あの最高の1日目のセトリ、2日目の感動。運営もメンバーもファンも何か新しい気づきがあるかもしれない。
 僕は、趣味と仕事のバランスについて、そして、趣味を理解してもらえないことについて、思い出させられた貴重な体験だった。 
 皆さんは2015年8月29日、30日をどう体験しただろうか?
 

2020年3月2日月曜日

2020/3/1 北川愛乃showroom配信の感想

今、SKE48に出来ること


 コロナウイルスの影響で、予定されていたSKE48のイベントが延期や中止になっている中、様々なメンバーがこの事態の中で出来ることを試していることは、少し前の記事で書きました。
 僕らの「日常」や「当たり前」が少しずつ停滞する感じがします。
 全く変わらないという地域の人もいれば、この1週間で数百万クラスの赤字を抱えた中小企業の方もいます。
 こんな静かに不安だけが蔓延していく中、アイドルに出来ることは何でしょう?
 僕なりの答えは、ダウナーな気分になりつつある今日を変えていくことではないでしょうか?
 それは、現実逃避という意味ではなくて、ただでさえ外に出るのもエリアによっては憚られる中で、「今日あった良いこと」を一つ増やしてくれる。些細なことかもしれませんが、何か良い日にしてくれる、そんなことを僕は期待してしまいます。
 よこにゃんこと、北川愛乃はそれが凄く上手なメンバーの一人だと思っています。
 特にアメブロと公式ブログの使い分けと、ショールーム配信、それぞれで次が楽しみな内容を発信しています。数日前からどう動くのかな、とぼんやり見ていました。
 
 彼女が選択したのは、showroomを利用したカラオケボックスでのソロコンサートでした。
 SKE48に限らず、様々なアーティストのファンの間で無観客コンサートはどうか、という意見が出ていますが、スタッフの手配だけでも赤字になってしまう中(youtubeなどのスパチャで回収しようという団体もありましたが、どこまで行けるかはまだ未知数です)、どうするのか、という問題を48グループのshowroom配信のルールの中で見事にやってのけたのは、素晴らしいと思います。
 
 さて、コンサートのセットリストを簡単に書いておきますね。

1、制服の芽
2、RESET
3、重力シンパシー
【自己紹介】
4、チョコの行方
5、あうんのキス
6、スカート、ひらり
7、DIRTY
8、Must be now
9、Stand by you
10、遠くにいても
EN1、僕は知っている
EN2、大好き

 凄く良いセットリストだと思いましてね。
 今の状況を反映した曲選びだと思うんですが、「制服の芽」の「元気の準備中」とか、まさに今のSKE48やファンの状況をイメージさせられますし、「RESET」からは公演に対する新鮮さを次にする時は感じるんだろうなあ、と思います。
 「重力シンパシー」の「愛について思うだろう」という部分も良いですね。
 バレンタインを意識した「チョコの行方」や静岡のエコパに行けなかった人のために「あうんのキス」をセトリに入れてくれているのもファン想いで素敵だと思いました。
 「スカひら」では、スカートもそうですが、長い髪がひらりとなっているのが印象的でした。
 また、「DIRTY」はちょっとした今の世情のようで、エコパ要素だけでないのではないか、というのは深読みですかね。
 そして、まさかの「Must by now」ですよ。
 自分でミュージックビデオを観ながら練習したそうで、これは凄い。
 普段のSKE48のレッスンだけでも大変だろうに、更に他のグループの曲までマスターしていくとは、スゴイぜ、よこにゃん。
 「Stand by you」という何気ない日常の中に発見があるこの曲も、公演やコンサートが延期になった今聴くと、大切なものについて気づかされますね。
 本編最後は「遠くにいても」。
 これも今聴くと、コロナという壁で遮断されているようで、ちゃんと繋がれる手段はまだまだあるんだと考えさせられました。
 ここで、よこにゃんのお母さんが号泣しているのも良くて、「私も『手をつなぎながら』公演の中で唄ってたら泣いちゃう」と言っていましたが、曲の力ですね。
 アンコールはコンサートの定番である「僕は知っている」や「大好き」を持ってくるのも分かってらっしゃる。
 配信の中で「皆さんとお会いできないんですけど、遠くにいても一緒ですよということを伝えられたらと思います」と言っていましたが、見事に成功したのではないかと思います。
 汗をかきながら、一生懸命公演をしてきた彼女の姿に元気をもらった人も多かったのではないでしょうか。
 これからの一週間、社会が良い方向に進んで行ってほしいですが、僕らの「日常」や「当たり前」とも手を離さずに毎日を頑張っていかねば、と思いました。
 SKE48が公演やコンサートをしている当たり前の毎日が、一日も早く戻りますように。

 
※ちなみに、よこにゃんが踊った難波の曲はこれだ!

古畑前田のえにし酒#20の感想

鏡の先にあるもの


 さあ、今週からは北海道編。
 冬の北海道で「完全に恰好間違えた!」と前田さんが叫ぶぐらいオシャレに重心を置いた二人の衣装。ちなみに前田さんの着てる服がカッコいいです。
 まあ、冬の装備を間違えると大変なことになるというのは、映画「八甲田山」でも語られてましたからね。
 二人の後ろには石狩川が広がっています。
 「映画のシーンみたい」と感想を言う前田さんに「ホッキョクグマとかいそう」と奈和ちゃん。確かに銀世界には似合いますが、北海道にホッキョクグマが居たらパニックかも。
 さあ、今週から3週連続で、北海道編が始まりますよ。
 「仮面ライダー」の北海道編でもカニバブラーとムササビートルの2週だったのに、3週もやるとは!
 さては、かなり取れ高があったんですかね。果たして、何軒はしごすることになるのか、分かりませんが早速みていきましょう。
 
 

 まずは北海道の石狩市にやってきた二人。
 ただ、すごい雪の道です。どこまでも続く雪の道。
 なんか映画「ウインド・リバー」みたいですね。
 雪にテンションが上がっている奈和ちゃんと前田さん。
 福岡はあまり雪が降らずに、たまに「汚い雪が降るぐらい」と語る前田さんに、「やめろやめろ」とツッコむ奈和ちゃん。
 やがて、人のお家のような「金大亭」に到着した二人。
 なんとこちら、明治13年創業。
 なんと140年の歴史があるところなんですって。
 確かに情緒あふれるお店。
 個人的には、文豪が泊まっていそうな感じですね。
 女将さんは「古いだけ」と謙遜されますが、本当に素敵な雰囲気。
 周りにお店がないことを前田さんが聞くと、この町自体が「行き止まりの町」と呼ばれているそうで、川と海に挟まれていることから、ここから先へ行くことはほとんど無いそうです。
 それにしても「行き止まりの町」って、プロレタリア文学の作家とかが書きそうなタイトルですね。
 もともとこの町は、鮭が沢山獲れていたんだそうですが、今は6割方が本州からのお客さんになっているそうです。
 このお店に来られた人としては、倉本聰さん。
 ええっ!
 「北の国から」の!
 あと、高倉健さんの名作ドラマ「あにき」ね。
 そんな倉本聰さんに名前だけでは、馴染みがない二人。
 でも、ドラマの名前で気づいてくれましたよ。
 まずは、女将さんおすすめのお酒、「清酒 千歳鶴」です。
 どうしておすすめかというと、「甘くておいしい」からだそうです。
 「うわっ、しみわたってる臓器に」と綿矢りさの1ページ目みたいな表現で味を表す奈和ちゃん。
 今度は冷凍保存した魚の刺身、ルイベです。さらに焼鮭に焼き白子。この辺りはテロップに値段が書かれていませんでしたが、セット価格か何かに入ってるんでしょうか。と思ったらコースだったんですね。「月九点」というコースみたいです。
 そして、いよいよ、石狩鍋。
 4000円台という値段の安さに衝撃を受ける二人。
 前田さんは、コースの値段を「1万円以上は行ってる」と言っていましたが、北海道の産地直送だからでしょうね。
 さあ、なかなか「ルイベ」をちゃんと言えない二人がルイベを食べますよ。
 冷凍してるから、ちょっと食感が違いそうですね。
 「味が濃い」と前田さん。
 二人のお酒がどんどん進んでいきます。
 白子を食べた奈和ちゃんは、「歯ごたえはわりとあるんだけど、中はふわふわしてて今までの白子と全然違う。別物」。
 焼き鮭を食べた前田さんは、「こんなに鮭をしっかり味わうことってないですよね」と満喫。
 いよいよ、メインの石狩鍋が出来上がりました。
 鍋の汁を飲んだ前田さんは、「すごい、味噌って聞いてたから、どんと来るって思ったら」と味噌なのにまろやかな感じを楽しんでますね。
 奈和ちゃんは、「汁だけで呑める!」と絶賛。
 このお店が石狩鍋の発祥の地だと知って、声が大きくなる奈和ちゃん。
 「都会の満員電車で疲れた心が…初めてご飯食べて生き返ると思いました!」と鍋に癒された前田さんでした。
 ここで、奈和ちゃんは2杯目を終了。相変わらず凄いスピードだ。
 最後に出てきたのは、どんぶり。
 なんと、いくら丼です。
 あまりの衝撃に椀を閉じてしまう奈和ちゃん。
 1650円という安さに衝撃を受ける二人。
 「田舎値段です」という女将さん。
 田舎最高(いくら食べられないけど)!
 あまりのおいしさに「優勝!」と言葉が漏れる奈和ちゃん。
 前田さんも至福の時を噛みしめていますが、何を言っているか分からない?
 怪訝な顔で聞き返す奈和ちゃん。
 「一粒一粒のいくらの味が濃いし、噛んだ時にはじけるとご飯に混ざり合って、めっちゃくっちゃおいしいです。一万円一万円」と思わず東京価格になる奈和ちゃんでした。


二人が注文したメニュー

「北海道/日本酒清酒株式会社 清酒 千歳鶴」(1合 440円)
「鮭氷刺身(ルイベ)」
「コース月九点」(4400円) 


 今度は札幌市中央区北1条に来た二人。
 相合傘で前田さんを傘に入れてあげてる奈和ちゃんがイケメン。
 車にツララがある光景に衝撃を受ける奈和ちゃん。
 僕は、わりと南国育ちなんで、初めてみましたよ。
 続いてやってきたのは、「ほっかいどうお万歳処まるひら」さん。
 かじか鍋と聞いて、「鹿肉?」と予想する奈和ちゃん。
 出てきた魚を見て、「カジキだ!」という前田さん。
 いや、カジキはでかいのよぉ。
 これはかじかというお魚なんですね。
 北海道ではスタンダードなお魚なんですって。
 かじか鍋のことを別名「鍋壊し」ともいうそうです。
 なに、その新日本プロレスの後藤が使いそうな名前。
 ここで、店主から何故「鍋壊し」というのかという問題が。
 「鍋を壊すってこと?」、「デカいってこと?」。
 二人の予想とは違い、おいしすぎて、かじかの身を探して箸で鍋をつつくから、鍋がこわれてしまうからなんですって。つまり、それぐらいおいしいと。
 良かった、水木しげる先生とかが描く妖怪の仲間が鍋を夜な夜な壊しにくる訳じゃないんですね。
 ここで店主が自慢の地酒を紹介。 
「北海道/碓氷勝三郎商店 北の勝 大海」です。
 「米のにおいが、良い匂い」と前田さん。
 「飲んだあとがすっきりしてるし、不思議なね」と奈和ちゃん。
 さて、鍋の前に北海道で有名な魚料理を堪能することに。
 その名も八角。
 輪切りにしたら八角形なんですって。
 「小樽八角軍艦焼き」として、出てきます。
 おいしくて、すかさず日本酒を飲む奈和ちゃん。
 前田さんも「優勝!」と絶賛。
 次はゴッコというお魚が登場。
 丸いフォルムで、目が上の方にありますね。
 なんというか、ウルトラマンレオに出てきても違和感が全くない感じですね。
 魚なのに、吸盤が付いていて、産卵の時だけはずして泳ぐんだそうです。
 そして、その時に捕まるそうです。
 か、悲しすぎる。なんという運命。
 料理が出来るまで店主自慢のコロッケを食べることに。
 これは、メークインを使ってるんですが、「私も料理する時は絶対にメークイン」という前田さんに、「高級な女やな!」と奈和ちゃん。
 さらにトイレットペーパーもワンランク上を買う前田さんは、「自分を大切にしよう」というモットーの元に選んでいるそうです。
 すかさず「コンビニだわ。ダブルロールだわせめて!」と奈和ちゃん。
 熱々で口も目も見開く前田さん。
 美味しそうです。
 次は先ほどの吸盤生物が汁料理になった「ゴッコ汁」。
 これはほぼゼラチン質なので、お肌がぷるぷるになるかもしれない、という奈和ちゃんに「滑って転ぶかもしれない」というご主人のご機嫌なコメント。
 味は「塩だけでこんなに味が出るんですか?」と前田さんが驚くぐらい、しっかりしている様子。
 ゴッコの卵と生のりが入ってるんですって。
 次は「北海道/上川大雪酒造 特別純米 上川大雪」というお酒。
 ちょっと辛口だそうです。
 あっという間に飲み干した二人。
 小さい鍋にかじかが入って登場。
 二人で顔を近づけて匂う。
 「北海道って甘いもの好きですよね」という奈和ちゃんの言葉に、「やっぱり、港町の函館とか小樽とかはお団子屋さんとかお餅屋さんが多いんですよ。それはなぜかというと、港で働く労働者とか漁師がやっぱりおやつに甘い物を身体が欲しがるから。甘い物屋さんが多い」と教えてくれました。
 確かにね、甘いものって欲しくなりますよね。
 「住もうかな」と奈和ちゃん。
 さて、このお鍋。かじかの頭の部分と身の部分が入っているそうです。
 おいしさの秘密は「肝をすりつぶして、それを味噌と和えているんです。肝味噌っていうのは濃厚なので」とお店の方。
 お酒の方も3杯目に突入。
 ここで驚愕の真実。
 なんと店主はお酒が飲めないそうで。
 お店を始める時に、お客さんに色々と説明するためにお酒のことを色々と勉強したそうです。
 ここで、奈和ちゃんがめちゃくちゃ頑張ったことについてのエピソードトークに。

 「私、なんか、ダンス最初踊れなかったのよ。全然踊れなくて。
 で、居残り組だったし、先生にも『ダンス下手だから、なんか、帰るなんておかしい』みたいな、もう、そんなレベルだったの。
 悔しいと思うじゃない。
 でも、ダンスはやっぱうまい子が当時、凄い多かったから。
 それこそ、ダンススクールから来た子とか多かったから。
 いや、ダンスだけじゃ勝てないと思って。
 みんなと違うところで頑張った方が目立てるって思って。
 そっから、表現を磨くようになって。
 だから、なんかさあ車の中とか、メンバー同士で喋ったりするの。隣りに座って。その時間がコミュニケーションに繋がるんだけど。
 車で一人席あるじゃない?
 そこの一番後ろに座って、窓に向かって音楽聴きながら、表情の練習をしてたりとか。鏡に向かって。
 だから、一時期、超ナルシストだった!!
 ショッピングモールの鏡とかあるじゃない?
 それもずっと首こっちにしながら歩いて。
 顔もこうやってやったらお姉さんぽくなるとか。こうやってやると可愛くなるとか、鏡があるととにかく、ほんとナルシストだった」
 
 いやあ、良いエピソード聴けましたね。 
 研究生時代は、菅なな子が居たし、ぺんぺんとかダンスが得意なメンバーがいましたしね。斉藤真木子もいましたし。
 そこから、同じ土俵で戦うんじゃなくて、自分の希少性を出していこうと当時、15、6歳だった奈和ちゃんが、考えたと思うと、やはりこの人はセンターになるだけの人だな、と思いました。
 今の表現力は、この頃からの努力で培われてきたんですね。
 彼女のことを認識した頃には、スゴイ逸材が現れたと思ったもんですが、その陰には凄い努力があったんですね。そこに天性のものが加わって今の古畑奈和があるんですね。
 いやあ、北海道編、1回目から凄く良い感じですね。
 次回も期待です!


奈和ちゃんが注文したメニュー

「北海道/二世古酒造 特別純米酒 二世古」(880円)

前田さんが注文したメニュー

「北海道/上川大雪酒造 特別純米 上川大雪」(880円)


 二人が注文したメニュー

「北海道/碓氷勝三郎商店 北の勝 大海」(660円)
「小樽八角軍艦焼き」(880円)
「特製コロッケ」(2個 715円)
「ゴッコ汁」(660円)
「北海道/上川大雪酒造 特別純米 上川大雪」(880円)
「かじか鍋」(2人前 3300円)