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2022年10月16日日曜日

絶対インスピレーション①

ぶつかり合ってSKE48になる


 皆さん、NHKの大河ドラマはお好きでしょうか?

 今、テレビドラマで1年を通して放送されるのって仮面ライダーとか戦隊のスーパーヒーロータイム枠と、この大河ドラマぐらいですよね。

 今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」もあまりの面白さに毎週、月曜日に「#鎌倉殿のSKE48」というパロディーツイートをしているぐらいです。物語もあと10話ぐらいになりまして、北条義時がいよいよ鎌倉幕府の中枢に位置して承久の乱へと向かっていきます。

 脚本は三谷幸喜さんなんですが「新選組!」、「真田丸」と敗者の物語を大河ドラマで描いてきた彼が勝者のドラマを描くとなり、どんな風になるかと思っていたんですが、大河ドラマの歴史に残るぐらい凄まじい暗黒鎌倉時空が毎週繰り広げられています。

  歴史が根本にあるので、本当に仕方がないことなんですが、主人公の小四郎こと北条義時がどんどん悪くなっていく様子が辛いけど、面白くてですね。三谷幸喜さん自身も特別番組で「残り10話の小栗旬が見たかった」と語っていましたが、手を汚して以下ずるを得ない小四郎の迷いとどこかで覚悟を決めた小四郎の怖さを小栗旬さんが好演しています( ちなみに、僕は山本耕史さん演じる三浦が大好きです )。

 思えば、大河ドラマで主人公がどんどん悪くなっていくものとして、藤本有紀さんが朝ドラで磨いた素晴らしい脚本で描いてきました。主演の松山ケンイチさんは勿論、森田剛さん演じる平時忠もどんどん悪くなっていって、とても悲しい顔でいう「平家にあらずんば、人にあらずじゃ」という言葉は忘れられません。

 悪役には不思議な色気というか、魅力があります。
 演じる人の違う魅力を引き出してくれるといいますか、三池版「13人の刺客」の稲垣吾郎さんや

 個人的には、その悪役サイドからもう一度、光の側に戻る姿が見たかったんですが、大河ドラマなので、だいたい死んでしまいます。果たして、今年の小四郎はどうなるんでしょう?


 なんだなんだ、今日は大河ドラマの記事かと思ったあなた、違うんです。

 これは、「絶対インスピレーション」のMVを観た僕の感想です。

 まずは、公式動画を観てみましょう。

 

 


 ううむ、色々と語りたいことがありますが、まずは、歌詞の世界から見て行きましょう。

 まず、曲の主人公は自動改札の前で目が合った君に、惹かれるところから始まります。ラッシュアワーという沢山の人が行きかう場所で、特別な一人を見つけた感触。それは稲妻に撃たれた時に似ている。「美しい稲妻」もシチュエーションこそ違いますが、似ている感情かもしれません。そういえば、「鬼平犯科帳」のエンディングテーマも「インスピレイション」で、江戸時代の言葉でなんとか表すために「勘ばたらき」と池波正太郎先生は表してましたね。



 さて、話を戻すと、出会ったその日から「君」の姿を僕は捜しつづけます。くそっ、いつもならだいたい同じ車両とかバスの中なのに、この曲の舞台は大きい駅だったんでしょうか。
 そして、主人公は人生の中で続くものと終わっていくものについて意識します。しかし、ぼくは未来を確信しています。何故なら、「君」と出会った時には周りの喧騒が消え、時が止まったように感じた、何かが始まる兆しを感じます。

 で、いきなり大サビ前で時間は未来に飛びます。 
 どうやら、「僕」と「君」は愛し合うことが出来たようです。
 なんでこんなにインスピレーションを語るのかというと、既に成功していた僕が、思い出を振り返っていたわけですね。それを踏まえてもう一度聞いてみると、何かサビの説得力が違ってくる気がします。確かに全部思い出す文体ですしね。

 聴きながら、ふと自分の推しと出会った時のことや、この人を推しにしようと決めた時のことを考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 音楽は、小室サウンドっぽいのでてっきり小室哲哉さんかと思いきや、杉山勝彦さんなんですね。僕が欅坂46で一番好きな「青空が違う」の作曲の方ではないですか!乃木坂だと「君の名は希望」や「きっかけ」、「制服のマネキン」の作曲家の方ですね。48グループだと前田敦子さんの卒業曲「夢の河」、NMB48の吉田朱里さんの卒業センター曲「恋なんてNo thank you」、SKE48の「前のめり」など、よく考えると、凄く重要な曲を任されていることが、キャリアから見えてきます。
 そう考えると、この曲がSKE48にとっても重要な曲の一つとなってくるかもしれません。青海ひな乃という新センターの。
 

 次にMVのことですが、「静」と「動」を意識させられる作品で、歌詞の中に登場する「ストップモーション」とのリンクが気持ち良いです。ストーリーは、時を止めたり、みんなをぶっ飛ばしたりする能力に青海さんが目覚めます。青海さんたら、いたずらが大好き(何故か絵本みたいな文体)。青海さん対だーすー率いるSKE48という、映画「怪獣総進撃」以来のあまりにも数が違いすぎるのでは…と言いたくなる対決が繰り広げられます。ある意味、力を手にした青海さんが凄過ぎたというのもあるかもしれませんが。映画「るろうに剣心 伝説の最後編」の志々雄戦みたいなやつですね。
 で、このMVで垣間見せる悪い青海さんの表情が良くてですね(特に3分4秒あたりは背景の色とも合っていてこのまま『鎌倉殿の13人』いけるぞと思いました)。
 あっ、こんな引き出しをこの人は持っていたのか、という発見がありました。
 青海さん以外でいうと隣に並ぶ菅原さんが良かったですね。青海さんと並んだ時のスタイルも引けを取らないですし、ハッと気づく表情の演技が凄く印象的です。
 あと、もし、このMVに強いて望むとすれば、あと2分ドラマパートで良いので尺を増やして欲しかったです。そうすることで、ぶっ飛ばされたメンバーたちの「その他大勢」感が薄れるのではないか、と思いました。たとえば、1番の力に目覚めるパートとかはドラマに回して、その他のメンバーにも光が当たるようにも出来たかな、という気もします。

 勿論、ダンスを通して分かり合えただーすーと青海さんが手を繋いで走るシーンは、凄く良くて、確かに何かが受け継がれた感じがしました。
 このMVで一番印象に残っているのは、開始時には止まっているメンバーたちが映っているだけだったのが、曲の最後には全く同じアングルで「SKE48」という文字が入るところです。ぶつかり合って、受け継がれて、新しいSKE48が動き始めた、という感じがします。
 そして、「静」と「動」で言えば、青海さん自身もそうですね。
 前作では、残念ながらコロナウイルスの影響で選抜入りが出来ませんでした。
 その時の配信がとても印象的です。ファンの前では涙を見せなかった彼女が始めてみせた涙。
「今回、選抜メンバーから外れることになりました。私が1月の上旬らへんにコロナウイルスにかかってしまって。その時がね、撮影の日と被ってしまって。
 今回、選抜から外れるという形になって、なりました。仕方ないのも凄い分かってるんですけど、自分が選抜に入ってたのを知ってたからこそ、悔しいっていうか、凄いみんなが期待してくれてたし、やっぱりファンの方と家族に申し訳なさ過ぎて。やっぱり応援してくれてた人に凄い申し訳ない気持ちでいっぱいです。自分的にもすごい頑張ってたつもりだったから。
 もちろん、カップリング曲のセンターに選んでいただけたことは凄い嬉しいし、嬉しいんですけど…。でも、やっぱり自分的には選抜っていうみんながアイドルとしては、目指す場所に自分がやっぱずっと立っていたかったからこそ、すごい悔しいかなあ。
 ( 中略 )
 目標はもう一度選抜に戻ることかなって自分的には思っているので。だから、これからも頑張りたいなって思っています。
 (中略)
 また、戻れるように頑張ります。
 ただ、ひな乃はめちゃくちゃ悔しいし、絶対戻るので、ついてきて欲しいなって思います。
 (中略)
 逆襲のひながこれから始まりますからね」

 ううむ、こればかりはどうしょうもないことでもありますが、この選抜落ちという「静」を経験した後、青海さんには「愛を君に、愛を僕に」公演が待っていました。多くのセンターポジション、あるいはダブルセンターポジションを任される「動」を経験したことになった彼女は、ここでもう一つ試練を超えたと個人的には思っています。
 公演のセンター、そしてシングル表題曲のセンターへ。
 一見、飛び級のようですが、実は正統派の道でセンターになったのではないか、と思います。


 青海さんを中心とした新しいSKE48、皆さんの目にはどう映っているでしょう?
 「世界2.0」の佐藤航陽さん風にいえば「ベテランが退場する周期は必ず来る。新しい世代の価値にこちらがついていけるか?」というターンがSKE48にも来たのかも知れません( 正確には林さんがセンターだった時に来ていたのかも知れませんが、ベテランの比率はこちらの方が下がっている気がします )。
 インスピレーションを信じて、動きだすターンが今のSKE48には来ている気がします。