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2020年10月11日日曜日

「to you for me」

 過去から今、そして、未来のあなたへ


 最近、対談企画をしたアイドルマスターのるくるぐさんから、声優としてアイマスで活躍している佐藤亜美菜に関する曲やライブのCD・Blu-rayを借りましてね。


 今年の春の初めに京セラドームで佐藤亜美菜と再会した時からずっと気になっていた曲がありました。

 ※ちなみにその時のライブの様子はこちら!
 9分52秒ぐらいからの「in fact」は、是非、48時代の亜美菜しか知らない人は聴いてみて欲しいです。



 凄い良い表情をしてますよね。
 丁度、「シンデレラの舞踏会」なるブルーレイを借りて観ていたんですが、そちらの静謐な淋しさや孤独とは違う、どこか、遠い日のことを思い出して語っているように僕には聴こえました。

 アイマスを全然知らないけれど、佐藤亜美菜のドラマは少しだけ知っている人間としては、思わず涙がこぼれた曲でした。そして、曲が終わった直後にるくるぐさんが「これだけでも兄さんを連れてきた甲斐があったな」と耳元でささやいたのを覚えています(何故か彼は、僕のことを『兄さん』か『ポーリー』と呼びます)。

 さて、この時の記事を書いた時に、多くのプロデューサーさん達に読んでいただけたんですが、「最後の4音に気づきましたか?」という質問が何回かありました。なんと、この4音が彼女の他のソロ曲である「to you for me」のサビだったんですね。芸が細かい!そして、知っている人はニヤリと出来る感じが素敵ですね。
 
 では、「to you for me」とはどんな曲か、聴いてみましょう。
 

 ※ライブバージョンは10分20秒ぐらいから! 

 ううむ、歌詞の前半は全て過去形で進んでいきますね。
 そして、サビが「あのね」と語りかけるような歌い方で入るんですが、この後の「to you and for me」だけが英語なんですよね。素直に日本語で伝えないところが「まだ少し照れくさくて」というところとも繋がる気がします。無理やり和訳すると、「私のためにあなたへ」へでしょうか?
 1番のサビで「前より」、2番のサビで「今日より」と彼女の視線が未来へと連想させられるサビの終わり方も良いですね。

 自分を変えてくれた人との思い出。
 自分の思いを大事なあなたへ伝えたい。
 簡単には素直になれないけど、自分の声で、という一途な思いが曲全体から伝わってきます。

 さて、こちらの曲を歌っている「橘ありす」さんについては、多分、プロデューサーさんたちが詳しいし、様々な解釈をされているのではと思うので、ここでは一回「佐藤亜美菜」の方に振って考えてみたいと思います。
 
 まず、新鮮なのが、「女性目線の曲を歌っている」ことと「ダンスがほとんどない」ということです。
 プロデューサーの皆さんからしたら、何を当たり前のことを思われるかも知れませんが、48はどちらかというと男性目線の曲が多いんですよね。ちなみにファン目線で描かれたNONAMEという声優ユニットの「この涙を君に捧ぐ」や、壮大な始まりを感じさせる「希望について」は亜美菜も参加しているので、是非、チェックしてみてください。
 次に新鮮なのが、「ほとんど曲にダンスがない」ことです。
 こちらも、いや何を当たり前のことを思われるかも知れませんが、チームK時代の佐藤亜美菜を知っている人間からしたら、「ダンスも出来るのにもったいない!」と思いつつも、動かないことで、表情に注目が行く。「演じる」ということに注目が行くんですね。そうか、もう彼女はアイドルじゃなくて、声優さんなんだもんな、としみじみ感じましたよ。ちなみに、「言い訳Maybe」のリクアワ時とかを見ると、アイドル時代の彼女がいかに凄いか分かると思います。総選挙の結果とはいえ、超選抜の2列目にいて、うちの珠理奈がその斜め後ろの列ですよ(急にSKEヲタ口調になりました)。



 もちろんね、歌声が「橘ありす」さんとしてのものなので、「佐藤亜美菜」目線で考えていくのは乱暴だと承知なんですが、最初の方に挙げたライブの映像を観ていると、本当はバリバリ踊れる人があえて身体をあまり使わずに表情と歌声だけで勝負する迫力を僕は感じました。俳優の千葉真一さんが、「本当に素晴らしいアクション俳優は動かない演技でも魅せられる」と語っていたそうですが、何かそこに通じるものがあるように感じます。

 話を「to you for me」に戻すと、「in fact」との繋がり目線で読み解いていくのも面白い曲ですが、「佐藤亜美菜」という人の人生と繋げてみても味わい深い曲だな、と感じます。AKB48というアイドルを駆け抜け、声優になり、今度は「橘ありす」というアイドルと一緒に表現していく。その姿を見ていると、本当に良いキャリアを進んでいるな、と感じます。

 なかなか難しいかも知れませんが、いつかまた、それぞれが自分のキャリアを進んだ先に、「NONAME」が揃ってライブすることとかないかな、とふと思いましたよ。特に声優の道に進んだ人達は。それぞれが演技力を磨いた上でもう一度、あの頃の曲を表現する機会がこないかなと。
※ おすすめの「この涙を君に捧ぐ」を貼っておきます。秦佐和子さんがただただ儚く美しいという世界の真実が閉じ込められた3分16秒でもあります。
  

 ※ 個人的に、このバージョンが何故か泣けます。「瞼を落ちて目尻から流れ落ちた熱いもの」のところの亜美菜が素晴らしい。


 ここ数日間、過去のアイマスのライブ映像を観ていたんですが、名古屋ドームとかの映像を観ていると、もう一つのコンテンツとして行くとこまで行ったな、と感じましてね。次はどんなところに冒険していくのか楽しみですが、また、佐藤亜美菜と橘ありすに素敵な曲が来て、大観衆の前でパフォーマンスする日が、また来るといいな、と思います。

 最近、気になった曲を貼ってお別れです。


※京セラドームの時の記事はこちら!

※るくるぐさんとアイマスとSKE48のことを中心に2次元と3次元のアイドルについて考えた対談はこちら!