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2021年6月27日日曜日

これからのSKE48の話をしよう

 進化試行をヒントに試論する

 突然ですが、皆さん創造の構造と生物の進化の関係について考えたことがあるでしょうか?
 いきなりどうしたんだ、と思われた方もいらっしゃるかも知れません。
 実は最近読んだ太刀川英輔さんの「進化思考」が非常に面白くてですね。
 9つの変異(HOW)と4つの適応(WHY)をヒントに何度もコンセプトを磨いていきながら、自分のアイディアを作っていく思考です。
 この本の面白いところは、変異だけでも適応だけでもないところです。
 アイディアだけでは現実味がなく折角の発想が萎んでしまいますし、現実を見ているだけでは反論ばかりで対案を出せなくなってしまいます。
 どちらを漫才のボケとツッコミのように交互に繰り返しながら、いくつも出て来る自分のアイディアを磨いていくことになります。それは螺旋状に収斂されながら素晴らしいものになるんですね。
 物凄く広大な内容で500ページ以上ありますが、読み疲れない面白さがあります。僕は中でも「進化はエラーから生まれる」という部分にとても勇気をもらいました。適応することで洗練されていくということも忘れずにいきたいですね。
 ちょっと発想の選択肢を増やしたい人には、是非読んで欲しい1冊です。
 ※珍しくAmazonのリンクを貼ります(機能を忘れていただけなんですが)。



 さて、折角新しい知見に触れたので、僕も何か応用してみたいと思いましてね。
 じゃあ、普段このブログで扱っているSKE48だろ、ということで、早速SKE48で考えてみました。ただし、全部の要素を僕自身この数日で拾い切れている自信はないので、読んだ皆さんが新たに試論を組み立ててみていただくきっかけになれば幸いです。
 それでは、行ってみましょう。

変異編
① 変量(極端な量を想像する)

 現在、SKE48はチームSが19名(卒業する野島樺乃含む)。チームK2が16名(卒業する惣田さん含む)。チームEが18名、研究生が9名の合計62名です(卒業する二人を外すと60名)。
 この人数をもっと増やしてみるとどうなるでしょう?
 チームSが190名、チームK2が160名、チームEが180名、研究生が90名。
 もうこいつらだけで、小さいライブ会場の客席埋められるじゃんという人数ですね。
 よし、全体人数からは一旦離れましょう。
 選抜人数の変量はどうでしょう?
 これは今年リリースされた「恋落ちフラグ」で全員選抜という形で、実は変量を試していたんですね。
 ただ、超デカいSKE48劇場やスタッフの変量は、考えてみても面白いかも知れませんね。立ち上げて10年以上経った今、栄にもう一つ大きめの劇場を造るのも面白いかもしれません。


② 擬態(欲しい状況を真似る)

 もともとSKE48はAKB48の地方グループとして創設されました。
 当初の公演曲は、AKB48の振り付けが元になっていますし、握手会などのシステムはそのまま使われ、最初のシステム上の擬態対象はAKB48だったのではと思います。そこからAKB48に追いつけ追い越せの精神で進んでいきます。
 ただ、今は事務所もゼストになり48色は薄れました。
 じゃあ、SKE48が目指すべき状況は、どこでしょう?
 メディア出演やライブ数が安定している坂道グループも考えられますし、国際的にマーケットを広げているKポップグループも考えられます。
 しかし、ここでは秋元康がAKBを造る時のコンセプトに挙げていたアメリカのショーハウスや日本の宝塚のような状況を目指すのはどうかと思います。どちらも定期的に公演を行っていて、劇場からスターが出て来てメディアに飛び出していく。そう考えると、外側の装置は規模は小さくても揃っている気もしますね。ただ、宝塚のようにWOWOWやNHKで公演の中継はありませんし、入るための専門学校が日本各地にありませんし、アメリカのショーハウスのように世界中から毎日オーディションを受けるためにタレントたちが集まってきていません。その背後には、文化としてまだ認められていない部分があるのかも知れません。


③ 欠失(標準装備を減らしてみる)

 当たり前だと思っていたものがなくなることで、「~しなければならない」からの解放が生まれます。キャッシュレスとか非暴力なんかもこのカテゴリーに入ります。更にコロナ禍で生まれた欠失もあるかも知れません。リアルでの会議が無くなってそこから、ZOOMによる遠隔会議が生まれたりもそうですよね。
 ううむ、SKE48となると…。
 たとえば、「握手会の無いSKE48」、「公演の無いSKE48」、どちらも寂しいですね。でも、握手会が無くなることで、今のシングル選抜方法に反映されているのではと思われている握手会売り上げの概念が無くなりますね。何を基準に選抜するかの新しい価値観が台頭してくるかも知れません。
 公演が無くなることで、メンバーたちのダンスや歌は、どこで磨いていくことになるのか?劇場はあるのに。「劇場の無いSKE48」だと、前にそういう境遇に一時的にHKT48がなっていた気がしますね。劇場が無くなることで全国の会場を回っていきながら公演をするという形態も想像できますね。
 

④ 増殖(常識よりも増やす)

 増殖といっても様々なパターンがありましてね。
 生物や工業製品の部位を増やしたり、増殖させるための場を造ったりと色々な創造があります。
 ここでは「~を増やしたSKE48」で考えてみましょう。
 「メンバーを増やしたSKE48」、「セットリストや公演を増やしたSKE48」、「客席を増やしたSKE48」、「スタッフ、マネージャーを増やしたSKE48」、「衣装を増やしたSKE48」、「劇場料金を増やしたSKE48」。
 なんとなくですが、衣装やスタッフを増やすというのは、これからよりアクティブに活動する為には必要ではないかと思いますね。メンバーの負担が増えますが、選択できる公演の数が増えるのも面白そうです。あと、個人的には、全国にSKE48劇場を増殖させてほしいですし、SKE48カフェも復活させて全国に増殖させてほしいですよ。


⑤ 転移(新しい場所を探す)

 創造における転移には、「~にある~」パターンがまずあります。
 腕にある時計だから腕時計。栄にある48だからSKE48。
 次に「~のための~」パターン。子供のための職業体験だから、キッザニアとかですね。
 じゃあ、この転移は人、モノ、場所と想像が膨らんでいきますが、「女性ファンのための公演」が女性無料公演になりますし、「大人のファンのための公演」がミッドナイト公演になりますかね。
 「~にある」を「~にいる」におきかえると、「AKBにいるSKE」が古畑奈和ちゃんの兼任かも知れません。
 さらに、「プロレスにいるSKE48」が荒井優希さんになりますし、「お笑いにいるSKE48」が福士奈央さんになりますね。さらにメンバーを支配人にした斉藤真木子に関しても一種の転移だと思います。
 僕としては、「文学にいるSKE48」や「外国のファンのための公演」なんかあると面白いかなあ、と思いますね。


⑥ 交換(違う物に入れ替えてみる)

 交換には、ヤドカリが成長に合わせて貝を交換する物理的交換や、ロウソクからガス灯、LEDへと目的が共通するものを交換しながら進化していく意味的交換があります。
 ただ、目的のために手段を変えていく中で、目的(たとえば夜も昼のような明るい光の中で過ごしたい)は寿命が長いんですが、手段(ロウソク、ガス灯、LED)は寿命が短いそうです。
 たとえば、「公演を観たい」というファンの目的の為に、今は劇場での観覧やDMMの配信がありますが、他の手段を提案することは出来ないでしょうか?
 個人的にはAmazonプライムとかネットフリックスのような国際的なプラットフォーム上に置いていただけると全く違う層の獲得を目指せそうなんですけどね(でも、前にライブ映像をAmazonプライムの方に無料で開放してましたね)。でも、「メンバーの成長物語を見ていきたい」という目的の為に、全10話のドキュメンタリーを作ってネットフリックスにアップするKポップのBLACKPINKパターンはどうでしょう?

⑦ 分離(別々の要素に分ける)

 あるものを分離することで価値が生まれることがあります。
 たとえば、会員を無料会員と有料会員に分ける。ゴミを分別することでリサイクルという価値が生まれる。
 SKE48は、今、3つの正規メンバーチームと研究生のチームに分かれています。しかし、今は16人公演ではなく12名の公演です。つい先日までは8名公演でやっていました。だったら、開き直って8名公演を前提に正規チームを5つに分けて研究生を含めて6チーム制とかどうでしょう?
 チームS、チームK2、チームE、カミフレ、ティーンズ、ベテラン、研究生。
 メンバーの兼任もありにして、公演の出演回数や外でのコンサート数を増やすというのはどうでしょう?

⑧ 逆転(真逆の状況を考える)

 逆転には様々な要素があります。
 カメラの向きを変えたインカメラによる物理的逆転。ファーストフードに対してのスローフードのような意味的逆転。アインシュタインの放射性同位体の利用のような関係的逆転。廃棄されるゴミをリペアするような環境的逆転などがあります。
 SKE48においては、今のアイドルシーンと真逆の意味的逆転を目指すのはどうでしょう?じゃあ、今のアイドルシーンって何なんだよ、となりますが、例えばバラエティ力、SNSでの発信やフォロワー数がメディア出演の際によく語られますよね。そういうものの逆で、あえてSNSもほとんどせずにバラエティにも出ずにひたすらライブに特化して神秘性をガンガン挙げていくとかね(一時期の欅坂46の平手さんがそうでしたかね?)。もしくは、公演に全く出ずに公演曲の作詞作曲だけめちゃくちゃ質を上げるとかですね(どんなアイドルだ、となりますけどね)。
 色々な逆転のパターンがありそうですが、僕がパッと思いついたのはこんな感じです。
 

⑨ 融合(意外なものと組み合わせる)

 意外なものが組み合わさってスタンダードが生まれることがあります。
 カレーうどんや車椅子なんかがそうですね。
 さらにスマートフォンの中には、辞書や時計、電卓や財布、地図など様々なものが融合されています。
 SKE48と何が融合すると面白いでしょう?
 ポイントは不協和音にならない組み合わせでシンプルであること、と太刀川英輔さんは著書の中で語っています。
 ううむ、SKE48と映像制作会社が融合して毎回のシングルに、メンバー一人一人のイメージ映像をつけるという坂道のCDパターンとかやって欲しいんですけどね(しかも、若手の良い監督や映像作家が撮ってくれるんですよね)。
 あとは、webマガジンとか動画のチャンネルで良いから、毎月のハイライトや考察が分かるものとかあったら嬉しいんですが、そういう融合はないですかね。


 さて、ここまで変異編を書いて行きましたが、「おいおい、妄想もいいとかじゃねえか、現実見ろよ、『閃ハサ』も観ろよ」と思われた方もいらっしゃるかも知れません。ここからは、適応編から時空間を視野に入れて現実とのすり合わせをいていきましょう。


適応編
① 解剖(内側の構造と意味を知る)

 まずは、解剖から入りましょう。「分かる」の語源は「分解する」にあるそうです。内部を理解することで、対象を理解していく。
 何故機能していて、どんな意味があるのか?
 入れ子構造のように考えて、それぞれに照らし合わせて考えます。
 SKE48という組織の構造はどうでしょう。
 メンバーたちだけがSKE48ではありません。
 CDの歌詞カードをみると、沢山のスタッフさんたちが動いています。
 そして、プロデューサーの秋元康なんかもいますね。
 今、考えると、僕らはどれぐらいSKE48という組織の構造を理解できているでしょう?
 オープンになっていないことも多いですが、ダンスの講師の先生や衣装スタッフの方の入れ替わり、マネージャーの異動なんかはメンバーのブログからなんとなくうかがい知ることができます。
 外から見たら完成しているように見えても、内側ではまだ未完成の部分があるかも知れません。その為の解剖なんですが、僕が体感として感じるのは、モバイルの担当者の方の遊び心あふれる発信は、アイドルの運営という枠の中で我々ファンだけでなく、時にはメンバーに新しい魅力を認識させてくれます。自由な発想のスタッフの方がこれからも増えて行ってほしいですし、そういう土壌が各セクションに広がってほしいなと思います。
 また、いい加減に秋元康は新公演を作って欲しいですね。もしくは、他の方もプロデューサーにすえて、監修に回るというのはどうでしょう?
 

② 系統(過去の系譜を引き受ける)

 過去からの文脈の相伝で新しい創造が生み出されていきます。
 分類学や系統学、歴史的に様々な事象を分析する学問は様々です。
 様々な事象をコレクションしていくことで、文脈を知り、その中でトップクオリティのものと比べることで、自分の評価軸も出来ていきます。
 また、かつての発想を今の技術でリバイバルすることが出来たりもします。
 明日へのヒントは、昨日の中にあるんですよね。
 SKE48が生まれる前には沢山のアイドルグループがあります。
 その中で様々な成功や失敗がありました。また、AKB48が立ち上がった時やSKE48の1年目のことを調べると、様々な試みをしていたことが分かります。
 個人的には、10年前にやった「AKB0048」のSKE48版の「SKE0048」を制作してアニメファンの方々の獲得や、声優の秦佐和子さん、矢方美紀さんの客演とかして欲しいんですけどね。役者を目指すメンバーの経験の場になると思いますしね。皆さんは、過去から学べそうなこと、何が思い浮かんだでしょう?

③ 生態(外部に繋がる関係を考える)

 生態を考える為に、対象を擬人化してみる試みがあります。
 SKE48を擬人化した時に、もう「SKE48さん」は12歳です。
 彼女の周りには同じようにアイドルをしている人が沢山います。
 その中で彼女の魅力は何か?
 「赤の女王仮説」で語られるように、種間競争の環境の中では進化が頻繁に行われます。たとえば、アイドル戦国時代の頃には、様々なアイドルが自分たちの魅力を発揮しようとライバルにまけじと様々な試みをしました。
 2021年は、どうでしょう?
 コロナ禍から1年が経ち、それぞれが新しいフォーマットの中で自分の魅力の一番出せる方法を考えています。
 変化についていけないと振り落とされてしまいます。
 ただ、SKEさんのお小遣いは限られています。
 生き延びていく方法は何でしょう?
 「共生」。
 僕はSTU48や日向坂46なんかもゆるーく推しているので、ご近所の若手メンバーとこちらの若手メンバーで対バン形式でコンサートとかはどうでしょう。10年代は対立することでストーリーを作っていましたが、20年代は共生の時代の気がします。
 「ニッチ」
 SKE48には、いや、そんな趣味あるの?というメンバーが沢山います。そんなメンバーたちの趣味を全面にアピールしながら、これまで接続していなかった方々とのハブを作っていくというのはどうでしょう?
 「求心力」
 SKE48を見た時、その魅力を語りたくなる源になるものは何でしょう?
 全力の姿?一人一人の物語?楽曲の素晴らしさ?
 あなたが惹きつけられる求心力は何でしょう?
 それを明確化することで、これからのアイドル界や芸能界でSKE48が生き延びていくヒントがあるのかも知れません。

④ 予測(未来予測を希望につなげる)

 未来予測には、過去から現在までの解剖的・生態的データから考えるフォアキャストと、ほしい未来のビジョンを先に描いて、そのディティールを解剖的・生態的に細部まで想像するバックキャストがあります。
 ちなみに思考の癖としては、フォアキャストで悲観的に未来を語る方やバックキャストで希望溢れる未来を語る方がいるそうです。
 今、SKE48の未来を見ているメンバーってどれぐらい居るんでしょう?
 公式ページのプロフィール欄や生誕祭などで、自分の将来のビジョンを語ってくれるメンバーは多いです(こちらも良いことだと思います)。でも、SKE48の組織の今の目標は何でしょう?それがあるかないかで、未来への予測も、その先に抱く希望も変わってきます。
 2019年6月29日の生誕祭で倉島杏実先輩は、最後に「SKEでナゴヤドームに立ちたいです」という言葉を残しました。
 2018年には繰り返し唱えられた「もう一度、名古屋ドームに!」は10周年公演以降、パタリと誰も言わなくなりました。その対案も示されませんでした。その中での彼女の発言は未来までの道筋を想像させる素晴らしいものでした。
 別に未だにナゴドにこだわらなくても、と思う方かもいらっしゃると思います。ナゴヤドーム以上の目標や大局観を語られるメンバーが出てきて欲しいと、僕は思っています。
 ただ、毎日、公演を観て、SHOWROOM配信観て、握手会に行ってというのも良いのかも知れませんが、もう一度、大きな物語に挑むSKE48が観てみたいというのが僕の願う未来です。
 そのために、どれだけの売り上げが必要で、毎月の収益がどれほどで、いつならば叶えられるのか、過去のデータをヒントに出来ないか、と思います。ううむ、どこかに残ってないかしら。

 長々とSKE48を「進化思考」で考えていきましたが、SKE48は13年目を迎えようとしますが、まだまだ可能性の種が沢山秘められていると思いました。その種は、今この記事を読んでいるあなたの推しかも知れません。
 何回も「バカ」と言われるような挑戦をしながらも、徐々に適応していきSKE48の進化を促すようなメンバーを許容する運営であって欲しいです。
 そして、我々ファンは、メンバーたちの可能性を少しでも後押しできる存在でいたいなと思います。
 
 SKE48はまだまだ未完成で進化していくと期待しながら、この記事を終わります。