人気の投稿

2021年6月27日日曜日

古畑奈和の変異と適応

 進化の中で

 皆さん、もう本日更新した「これからのSKE48の話をしよう」は読んでくださいましたかね。

※まだの方は是非!

https://note.com/oboeteitekure913/n/n25ab8a503a7b

「進化思考」の中で変異と適応によって、イノベーションが生まれていくことが語られていますが、変異は時代によってはエラーと見なされてしまい、生き残ることが出来ないこともあります。また、適応力が高いだけでは新しいことが生み出せずに行き詰まりが起こってしまいます。
 生物は自然界の中で様々な進化を繰り返していきましたし、人類も創造力を持って様々な発明や発見をしていきました。
 「進化思考」は500ページを超える大著ですが、読みながら何回も脳裏をよぎったメンバーがいます。

 それが古畑奈和です。

 彼女は48グループという過酷な環境の中で独自の進化をしてきました。
 今回は、9つの変異の視点と4つの適応の視点から奈和ちゃんに対応しそうなものを探してみたいと思います。

 まずは、①変量(極端な量を想像する)です。
 奈和ちゃんで変量的な進化を遂げたものといえば…。
 文字数でしょう!
 一時期の奈和ちゃんのチェキに書かれた文字数は、凄まじい量でしたよね。
 かつて、ギャラクシーに携帯電話を買い替えた時に、チェキを撮る為だけに名古屋まで行って写真を撮ってきたんですが、その時の奈和ちゃんのパネルに書かれた文字量も凄まじかったです。
 でも、これって、ファンの方のことを考えてのサービスなんですよね。
 あんなに文字数が多いメンバーって、他にいるんでしょうか?
 

 次は、②擬態(欲しい状況を真似る)です。
 今、思うと奈和ちゃんって欲しい状況が沢山あったと思うんですよね。
 それを一つ一つ叶えてきたと思うんですが、SKE48の選抜入り、AKB48総選挙の選抜入り、センターと一つ一つの夢を叶えてきました。

 2017年9月1日のブログを読んでみましょう。

憧れが現実に…#古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 ううむ、この頃の奈和ちゃんはまさに夢の階段を登っている途中という感じで良いですね。ちなみに、ポジションだけではありません、ステージ上の衣装についても想像を広げています。

憧れは力になる♯古畑奈和 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ampproject.org)

 いつか、奈和ちゃんの印象的な衣装の記事とかも面白いかも知れませんね。誰か書いてくれませんかね(遠い目)。
 センターになった後も、ライブのセットリストに関してスタッフの方々に意見したりと、SKE48を見せる上での理想的なモデルがあるんでしょうね。それは、彼女が5期生として体験してきた様々な経験が元にあるのかもしれません。これについては、また後ほど書きたいと思います。


 3番目は、③欠失(標準装備を減らす)ですね。
 奈和ちゃんに関しては、ある段階でアイドルとしての「模範的解答」をあえて捨てた感じがします(あくまで僕の感想です)。そうすることで、自由を手に入れたのではないかと思います。
 お酒が大好きというのは、AKB48のたなみんさんも語っていましたが、総選挙のスピーチをきっかけにお酒の番組を獲得、さらに太田胃散スポンサーのラジオ番組までゲットしているから、凄いですよね。 
 更に、髪色を自在に変えるというのも48グループでは、少なくともSKE48では彼女だけではないでしょうか?
 奈和ちゃんの女性ファンが更に増えたのは、この自由さもあったのでは、と個人的には思っています。

 はい、今度は④増殖(常識よりも増やしてみる)です。
 ううむ、奈和ちゃんがアイドル生活の中で増殖させたものって何でしょう?
 パッと思いつくものがちょっとないので、これはパスで!


 さあ、真ん中の⑤転移(新しい場所を探してみる)です。
 これはまず、AKB48との兼任でしょう。
 栄を飛び出して、違う環境、違う曲、違うメンバーの中で彼女は間違いなく進化していったと思います。チームE、チームK2意外にもチームK、チームAを経験している。この二つのグループを経験しているというのは、もうSKE48の中でもみなるん、らんらん、谷、奈和ちゃんだけですね。
 完全に妄想ですが、今、奈和ちゃんが兼任するなら、どこのチームが良いでしょう?
 個人的にはSTU48との兼任なんかも見てみたいですけどね。曲のメッセージ性が強い曲が多いだけに、彼女がどんな風に表現するか、そして、かつての彼女がチームKのメンバーたちから学んだように、今度は自分が何を後輩達に何を見せられるかとかも見てみたいですね。
 もしくは、JKT48で暴れる奈和ちゃんなんかも見てみたいですね。
 ただ、グループだけの転移とは限りません。
 ポジションの転移も考えられます。
 キャプテン古畑奈和、リーダー古畑奈和、ううむ、この辺りはだーすーがチームK2を経験してチームEのリーダーになったように、奈和ちゃんもスタープレイヤーから更に違う方面のスキルを身に着けるところも想像してしまいます。
 また、これからの歌唱力選抜の中での活躍も気になりますね。

 でも、奈和ちゃんは自由に風のように色々な場所に刺激を与える存在の方が似合っている気もしますね。


 さて、次は⑥交換(違う物に入れ替えてみる)です。
 たとえば、奈和ちゃんの得意な楽器のサックス。
 これを変えてみる。
 ピアノやキーボードならどうなるのか?
 また、演技力が素晴らしい彼女ですが、あえて表情が使えない声優の仕事とかだとどうなるのか?
 この辺りは、これからの奈和ちゃんへの仕事のオファーによりますが、まだまだ新しい可能性が彼女の中にはあると思います。

 いよいよ終盤、次は⑦分離(別々の要素に分ける)です。
 ううむ、これはちょっと思いつかないのでパスです。

 つづいて⑧逆転(真逆の状況を想像する)です。
 今思えば、彼女は何度も窮地に立たされてきました(詳しくは最後に貼るマガジンを読んでくださいまし)。それでもそんな状況とは真逆の未来を想像して戦ってきました。兼任時代も総選挙でも。後輩が先にセンターになった時も。諦めずに真逆の状況を思い描いて進んできました。
 また、③の「欠失」と関係してきますが、「模範的なアイドル」のある意味真逆の方を選らんだから独自の進化をしたのではと思います。

 最後は⑨ 融合(意外なものと組み合わせる)です。
 思えば、奈和ちゃんはこちらの予想をことごとく裏切り続けますね。
 「花より団子」のオーディションを独断で受けたエピソードから始まり、ミュージカルでの男役、シェイクスピア、仁義なき戦い、個人的に大ヒットは舞台「水戸黄門」ですよ。もう、この人、なんでもできるじゃない、と思いました。是非、他の人が真似できないアイドル人生をこれからも送って欲しいと思います。
 次はどんな意外なものと融合するのか?
 個人的には今度はモノづくり系のNHKのEテレの番組でレギュラーとかを持ってほしいのは僕だけでしょうか?


 さあ、変異の次は適応について見ていきましょう。

 まずは、① 解剖(内側の構造と意味)です
 古畑奈和を構成しているものは何か?
 パフォーマンスでしょうか?独特のワードセンスでしょうか?それとも魅力的な容姿でしょうか?
 挙げて行ったらきりがないですが、僕は彼女だけが持っているドラマだと思います。
 もう、あまりSKE48のメンバーに使うことがない表現になってきましたが、「くぐってきた修羅場が違う」と感じることがあります。勿論、僕らが彼女の歴史を知っているからあというのがあるかも知れません。でも、彼女を構成しているのは、間違いなく数奇なドラマが作っているのではと思います(えらい抽象的になりましたね)。
 そして、古畑奈和がSKE48に今いる意味は何でしょう?
 彼女ほど、SKE48の多様性を感じさせるメンバーは、まだいないと僕は思います。突然、闘犬とかザトウクジラとか、アダム・ドライバーが加入したら、負けるかも知れませんが、彼女の存在はこのグループの自由度の高さを表していると思います。


 さあ、次は②系統(過去の系譜を引き受ける)です。
 奇しくも奈和ちゃんは、SKE48の1期生たちの薫陶を受けています。
 そして、AKB48のレジェンドたちとの共演も。
 今、考えると、それは過去の系譜を引き受けることになるかと思います。
 ただ、SKE48の根本の部分、ずっと変わらない意志のようなものも、彼女は引き受けていると思います。一見、柔らかな佇まいの彼女ですが、先輩たちが持っていた真剣さ、本気さはずっと心の根幹に残っていると思います。
 そして、いつか古畑奈和の系譜を引き受けるメンバーが出て来てほしいなとも思います。


 今度は、③ 生態(外部に繋がる関係を見る)です。
 まず、彼女は握手会で外部との繋がりを持ちました。そこから、パフォーマンス力でさらに外部との繋がりを広げていきました。ここでいう外部は、外仕事でもあり、ファンの皆さんでもあると思います。
 それは今も古びていなくて、2021年も歌唱力選抜として48グループ内を横断して活躍しています。また、先ほど挙げた舞台「水戸黄門」の仕事は、さらに外との関係を強固にするものの一つだと思います。次はどこと繋がる点と作っていくか楽しみです。

 最後は、④ 予測(未来予測を希望につなげる)です。
 奈和ちゃんは2019年頃のインタビューでは大きなところでコンサートをしたいと語っていました。今の彼女はどんな未来を考えているんでしょう? 
 以前、タウンワークのインタビューで、「いつか、バーの経営をしたい」と語っていましたし、「お酒を作ってペットボトル注ぐ仕事」をしたいということも語っていましたが、奈和ちゃんが経営するバーなら、お酒を呑めない僕ですが、一度訪ねてみたいですね。

  

 さて、長々と書いてきましたが、冒頭に書いたように「変異」という言葉は、生物学の中では「エラー」として扱わることもあるそうです。
 古畑奈和は、一見すると、48グループとしては「エラー」として見られるかも知れません。しかし、彼女のファンの方々との向き合い方やパフォーマンスに全力を注ぐ姿勢は、むしろ「王道」だと僕は思っています。彼女は変異だけでなく、しっかりと適応もしてきています。


 そして、古畑奈和はまだ未完成で進化の途中ではないかと思っています。
 今回パスした要素が、新しい進化のトリガーになるのか、それともここまでで挙げた何かが更に加速して、もう一段階上に行くのか?

 皆さんは、どんな風に古畑奈和という人の進化を考えたでしょう?
 僕自身も一瞬掴んだつもりになっても、もう風のようにすり抜けていってしまいます。
 次に彼女が見せる進化を楽しみにして、終わりにしたいと思います。

SKE48古畑奈和について考える|栄、覚えていてくれ|note

これからのSKE48の話をしよう

 進化試行をヒントに試論する

 突然ですが、皆さん創造の構造と生物の進化の関係について考えたことがあるでしょうか?
 いきなりどうしたんだ、と思われた方もいらっしゃるかも知れません。
 実は最近読んだ太刀川英輔さんの「進化思考」が非常に面白くてですね。
 9つの変異(HOW)と4つの適応(WHY)をヒントに何度もコンセプトを磨いていきながら、自分のアイディアを作っていく思考です。
 この本の面白いところは、変異だけでも適応だけでもないところです。
 アイディアだけでは現実味がなく折角の発想が萎んでしまいますし、現実を見ているだけでは反論ばかりで対案を出せなくなってしまいます。
 どちらを漫才のボケとツッコミのように交互に繰り返しながら、いくつも出て来る自分のアイディアを磨いていくことになります。それは螺旋状に収斂されながら素晴らしいものになるんですね。
 物凄く広大な内容で500ページ以上ありますが、読み疲れない面白さがあります。僕は中でも「進化はエラーから生まれる」という部分にとても勇気をもらいました。適応することで洗練されていくということも忘れずにいきたいですね。
 ちょっと発想の選択肢を増やしたい人には、是非読んで欲しい1冊です。
 ※珍しくAmazonのリンクを貼ります(機能を忘れていただけなんですが)。



 さて、折角新しい知見に触れたので、僕も何か応用してみたいと思いましてね。
 じゃあ、普段このブログで扱っているSKE48だろ、ということで、早速SKE48で考えてみました。ただし、全部の要素を僕自身この数日で拾い切れている自信はないので、読んだ皆さんが新たに試論を組み立ててみていただくきっかけになれば幸いです。
 それでは、行ってみましょう。

変異編
① 変量(極端な量を想像する)

 現在、SKE48はチームSが19名(卒業する野島樺乃含む)。チームK2が16名(卒業する惣田さん含む)。チームEが18名、研究生が9名の合計62名です(卒業する二人を外すと60名)。
 この人数をもっと増やしてみるとどうなるでしょう?
 チームSが190名、チームK2が160名、チームEが180名、研究生が90名。
 もうこいつらだけで、小さいライブ会場の客席埋められるじゃんという人数ですね。
 よし、全体人数からは一旦離れましょう。
 選抜人数の変量はどうでしょう?
 これは今年リリースされた「恋落ちフラグ」で全員選抜という形で、実は変量を試していたんですね。
 ただ、超デカいSKE48劇場やスタッフの変量は、考えてみても面白いかも知れませんね。立ち上げて10年以上経った今、栄にもう一つ大きめの劇場を造るのも面白いかもしれません。


② 擬態(欲しい状況を真似る)

 もともとSKE48はAKB48の地方グループとして創設されました。
 当初の公演曲は、AKB48の振り付けが元になっていますし、握手会などのシステムはそのまま使われ、最初のシステム上の擬態対象はAKB48だったのではと思います。そこからAKB48に追いつけ追い越せの精神で進んでいきます。
 ただ、今は事務所もゼストになり48色は薄れました。
 じゃあ、SKE48が目指すべき状況は、どこでしょう?
 メディア出演やライブ数が安定している坂道グループも考えられますし、国際的にマーケットを広げているKポップグループも考えられます。
 しかし、ここでは秋元康がAKBを造る時のコンセプトに挙げていたアメリカのショーハウスや日本の宝塚のような状況を目指すのはどうかと思います。どちらも定期的に公演を行っていて、劇場からスターが出て来てメディアに飛び出していく。そう考えると、外側の装置は規模は小さくても揃っている気もしますね。ただ、宝塚のようにWOWOWやNHKで公演の中継はありませんし、入るための専門学校が日本各地にありませんし、アメリカのショーハウスのように世界中から毎日オーディションを受けるためにタレントたちが集まってきていません。その背後には、文化としてまだ認められていない部分があるのかも知れません。


③ 欠失(標準装備を減らしてみる)

 当たり前だと思っていたものがなくなることで、「~しなければならない」からの解放が生まれます。キャッシュレスとか非暴力なんかもこのカテゴリーに入ります。更にコロナ禍で生まれた欠失もあるかも知れません。リアルでの会議が無くなってそこから、ZOOMによる遠隔会議が生まれたりもそうですよね。
 ううむ、SKE48となると…。
 たとえば、「握手会の無いSKE48」、「公演の無いSKE48」、どちらも寂しいですね。でも、握手会が無くなることで、今のシングル選抜方法に反映されているのではと思われている握手会売り上げの概念が無くなりますね。何を基準に選抜するかの新しい価値観が台頭してくるかも知れません。
 公演が無くなることで、メンバーたちのダンスや歌は、どこで磨いていくことになるのか?劇場はあるのに。「劇場の無いSKE48」だと、前にそういう境遇に一時的にHKT48がなっていた気がしますね。劇場が無くなることで全国の会場を回っていきながら公演をするという形態も想像できますね。
 

④ 増殖(常識よりも増やす)

 増殖といっても様々なパターンがありましてね。
 生物や工業製品の部位を増やしたり、増殖させるための場を造ったりと色々な創造があります。
 ここでは「~を増やしたSKE48」で考えてみましょう。
 「メンバーを増やしたSKE48」、「セットリストや公演を増やしたSKE48」、「客席を増やしたSKE48」、「スタッフ、マネージャーを増やしたSKE48」、「衣装を増やしたSKE48」、「劇場料金を増やしたSKE48」。
 なんとなくですが、衣装やスタッフを増やすというのは、これからよりアクティブに活動する為には必要ではないかと思いますね。メンバーの負担が増えますが、選択できる公演の数が増えるのも面白そうです。あと、個人的には、全国にSKE48劇場を増殖させてほしいですし、SKE48カフェも復活させて全国に増殖させてほしいですよ。


⑤ 転移(新しい場所を探す)

 創造における転移には、「~にある~」パターンがまずあります。
 腕にある時計だから腕時計。栄にある48だからSKE48。
 次に「~のための~」パターン。子供のための職業体験だから、キッザニアとかですね。
 じゃあ、この転移は人、モノ、場所と想像が膨らんでいきますが、「女性ファンのための公演」が女性無料公演になりますし、「大人のファンのための公演」がミッドナイト公演になりますかね。
 「~にある」を「~にいる」におきかえると、「AKBにいるSKE」が古畑奈和ちゃんの兼任かも知れません。
 さらに、「プロレスにいるSKE48」が荒井優希さんになりますし、「お笑いにいるSKE48」が福士奈央さんになりますね。さらにメンバーを支配人にした斉藤真木子に関しても一種の転移だと思います。
 僕としては、「文学にいるSKE48」や「外国のファンのための公演」なんかあると面白いかなあ、と思いますね。


⑥ 交換(違う物に入れ替えてみる)

 交換には、ヤドカリが成長に合わせて貝を交換する物理的交換や、ロウソクからガス灯、LEDへと目的が共通するものを交換しながら進化していく意味的交換があります。
 ただ、目的のために手段を変えていく中で、目的(たとえば夜も昼のような明るい光の中で過ごしたい)は寿命が長いんですが、手段(ロウソク、ガス灯、LED)は寿命が短いそうです。
 たとえば、「公演を観たい」というファンの目的の為に、今は劇場での観覧やDMMの配信がありますが、他の手段を提案することは出来ないでしょうか?
 個人的にはAmazonプライムとかネットフリックスのような国際的なプラットフォーム上に置いていただけると全く違う層の獲得を目指せそうなんですけどね(でも、前にライブ映像をAmazonプライムの方に無料で開放してましたね)。でも、「メンバーの成長物語を見ていきたい」という目的の為に、全10話のドキュメンタリーを作ってネットフリックスにアップするKポップのBLACKPINKパターンはどうでしょう?

⑦ 分離(別々の要素に分ける)

 あるものを分離することで価値が生まれることがあります。
 たとえば、会員を無料会員と有料会員に分ける。ゴミを分別することでリサイクルという価値が生まれる。
 SKE48は、今、3つの正規メンバーチームと研究生のチームに分かれています。しかし、今は16人公演ではなく12名の公演です。つい先日までは8名公演でやっていました。だったら、開き直って8名公演を前提に正規チームを5つに分けて研究生を含めて6チーム制とかどうでしょう?
 チームS、チームK2、チームE、カミフレ、ティーンズ、ベテラン、研究生。
 メンバーの兼任もありにして、公演の出演回数や外でのコンサート数を増やすというのはどうでしょう?

⑧ 逆転(真逆の状況を考える)

 逆転には様々な要素があります。
 カメラの向きを変えたインカメラによる物理的逆転。ファーストフードに対してのスローフードのような意味的逆転。アインシュタインの放射性同位体の利用のような関係的逆転。廃棄されるゴミをリペアするような環境的逆転などがあります。
 SKE48においては、今のアイドルシーンと真逆の意味的逆転を目指すのはどうでしょう?じゃあ、今のアイドルシーンって何なんだよ、となりますが、例えばバラエティ力、SNSでの発信やフォロワー数がメディア出演の際によく語られますよね。そういうものの逆で、あえてSNSもほとんどせずにバラエティにも出ずにひたすらライブに特化して神秘性をガンガン挙げていくとかね(一時期の欅坂46の平手さんがそうでしたかね?)。もしくは、公演に全く出ずに公演曲の作詞作曲だけめちゃくちゃ質を上げるとかですね(どんなアイドルだ、となりますけどね)。
 色々な逆転のパターンがありそうですが、僕がパッと思いついたのはこんな感じです。
 

⑨ 融合(意外なものと組み合わせる)

 意外なものが組み合わさってスタンダードが生まれることがあります。
 カレーうどんや車椅子なんかがそうですね。
 さらにスマートフォンの中には、辞書や時計、電卓や財布、地図など様々なものが融合されています。
 SKE48と何が融合すると面白いでしょう?
 ポイントは不協和音にならない組み合わせでシンプルであること、と太刀川英輔さんは著書の中で語っています。
 ううむ、SKE48と映像制作会社が融合して毎回のシングルに、メンバー一人一人のイメージ映像をつけるという坂道のCDパターンとかやって欲しいんですけどね(しかも、若手の良い監督や映像作家が撮ってくれるんですよね)。
 あとは、webマガジンとか動画のチャンネルで良いから、毎月のハイライトや考察が分かるものとかあったら嬉しいんですが、そういう融合はないですかね。


 さて、ここまで変異編を書いて行きましたが、「おいおい、妄想もいいとかじゃねえか、現実見ろよ、『閃ハサ』も観ろよ」と思われた方もいらっしゃるかも知れません。ここからは、適応編から時空間を視野に入れて現実とのすり合わせをいていきましょう。


適応編
① 解剖(内側の構造と意味を知る)

 まずは、解剖から入りましょう。「分かる」の語源は「分解する」にあるそうです。内部を理解することで、対象を理解していく。
 何故機能していて、どんな意味があるのか?
 入れ子構造のように考えて、それぞれに照らし合わせて考えます。
 SKE48という組織の構造はどうでしょう。
 メンバーたちだけがSKE48ではありません。
 CDの歌詞カードをみると、沢山のスタッフさんたちが動いています。
 そして、プロデューサーの秋元康なんかもいますね。
 今、考えると、僕らはどれぐらいSKE48という組織の構造を理解できているでしょう?
 オープンになっていないことも多いですが、ダンスの講師の先生や衣装スタッフの方の入れ替わり、マネージャーの異動なんかはメンバーのブログからなんとなくうかがい知ることができます。
 外から見たら完成しているように見えても、内側ではまだ未完成の部分があるかも知れません。その為の解剖なんですが、僕が体感として感じるのは、モバイルの担当者の方の遊び心あふれる発信は、アイドルの運営という枠の中で我々ファンだけでなく、時にはメンバーに新しい魅力を認識させてくれます。自由な発想のスタッフの方がこれからも増えて行ってほしいですし、そういう土壌が各セクションに広がってほしいなと思います。
 また、いい加減に秋元康は新公演を作って欲しいですね。もしくは、他の方もプロデューサーにすえて、監修に回るというのはどうでしょう?
 

② 系統(過去の系譜を引き受ける)

 過去からの文脈の相伝で新しい創造が生み出されていきます。
 分類学や系統学、歴史的に様々な事象を分析する学問は様々です。
 様々な事象をコレクションしていくことで、文脈を知り、その中でトップクオリティのものと比べることで、自分の評価軸も出来ていきます。
 また、かつての発想を今の技術でリバイバルすることが出来たりもします。
 明日へのヒントは、昨日の中にあるんですよね。
 SKE48が生まれる前には沢山のアイドルグループがあります。
 その中で様々な成功や失敗がありました。また、AKB48が立ち上がった時やSKE48の1年目のことを調べると、様々な試みをしていたことが分かります。
 個人的には、10年前にやった「AKB0048」のSKE48版の「SKE0048」を制作してアニメファンの方々の獲得や、声優の秦佐和子さん、矢方美紀さんの客演とかして欲しいんですけどね。役者を目指すメンバーの経験の場になると思いますしね。皆さんは、過去から学べそうなこと、何が思い浮かんだでしょう?

③ 生態(外部に繋がる関係を考える)

 生態を考える為に、対象を擬人化してみる試みがあります。
 SKE48を擬人化した時に、もう「SKE48さん」は12歳です。
 彼女の周りには同じようにアイドルをしている人が沢山います。
 その中で彼女の魅力は何か?
 「赤の女王仮説」で語られるように、種間競争の環境の中では進化が頻繁に行われます。たとえば、アイドル戦国時代の頃には、様々なアイドルが自分たちの魅力を発揮しようとライバルにまけじと様々な試みをしました。
 2021年は、どうでしょう?
 コロナ禍から1年が経ち、それぞれが新しいフォーマットの中で自分の魅力の一番出せる方法を考えています。
 変化についていけないと振り落とされてしまいます。
 ただ、SKEさんのお小遣いは限られています。
 生き延びていく方法は何でしょう?
 「共生」。
 僕はSTU48や日向坂46なんかもゆるーく推しているので、ご近所の若手メンバーとこちらの若手メンバーで対バン形式でコンサートとかはどうでしょう。10年代は対立することでストーリーを作っていましたが、20年代は共生の時代の気がします。
 「ニッチ」
 SKE48には、いや、そんな趣味あるの?というメンバーが沢山います。そんなメンバーたちの趣味を全面にアピールしながら、これまで接続していなかった方々とのハブを作っていくというのはどうでしょう?
 「求心力」
 SKE48を見た時、その魅力を語りたくなる源になるものは何でしょう?
 全力の姿?一人一人の物語?楽曲の素晴らしさ?
 あなたが惹きつけられる求心力は何でしょう?
 それを明確化することで、これからのアイドル界や芸能界でSKE48が生き延びていくヒントがあるのかも知れません。

④ 予測(未来予測を希望につなげる)

 未来予測には、過去から現在までの解剖的・生態的データから考えるフォアキャストと、ほしい未来のビジョンを先に描いて、そのディティールを解剖的・生態的に細部まで想像するバックキャストがあります。
 ちなみに思考の癖としては、フォアキャストで悲観的に未来を語る方やバックキャストで希望溢れる未来を語る方がいるそうです。
 今、SKE48の未来を見ているメンバーってどれぐらい居るんでしょう?
 公式ページのプロフィール欄や生誕祭などで、自分の将来のビジョンを語ってくれるメンバーは多いです(こちらも良いことだと思います)。でも、SKE48の組織の今の目標は何でしょう?それがあるかないかで、未来への予測も、その先に抱く希望も変わってきます。
 2019年6月29日の生誕祭で倉島杏実先輩は、最後に「SKEでナゴヤドームに立ちたいです」という言葉を残しました。
 2018年には繰り返し唱えられた「もう一度、名古屋ドームに!」は10周年公演以降、パタリと誰も言わなくなりました。その対案も示されませんでした。その中での彼女の発言は未来までの道筋を想像させる素晴らしいものでした。
 別に未だにナゴドにこだわらなくても、と思う方かもいらっしゃると思います。ナゴヤドーム以上の目標や大局観を語られるメンバーが出てきて欲しいと、僕は思っています。
 ただ、毎日、公演を観て、SHOWROOM配信観て、握手会に行ってというのも良いのかも知れませんが、もう一度、大きな物語に挑むSKE48が観てみたいというのが僕の願う未来です。
 そのために、どれだけの売り上げが必要で、毎月の収益がどれほどで、いつならば叶えられるのか、過去のデータをヒントに出来ないか、と思います。ううむ、どこかに残ってないかしら。

 長々とSKE48を「進化思考」で考えていきましたが、SKE48は13年目を迎えようとしますが、まだまだ可能性の種が沢山秘められていると思いました。その種は、今この記事を読んでいるあなたの推しかも知れません。
 何回も「バカ」と言われるような挑戦をしながらも、徐々に適応していきSKE48の進化を促すようなメンバーを許容する運営であって欲しいです。
 そして、我々ファンは、メンバーたちの可能性を少しでも後押しできる存在でいたいなと思います。
 
 SKE48はまだまだ未完成で進化していくと期待しながら、この記事を終わります。
 



2021年6月19日土曜日

鎌田菜月の分散と成長

T字に成長していく魅力


 MIMIGURI代表CoーCEO/東京大学大学院情報学環特任助教授の安斎勇気さんが書いた「問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション」の最新作、「リサーチ・ドリブン・イノベーション 『問い』を起点にイノベーションする」と「情報の海に溺れないための航海術」どちらも面白いです。
 驚くほど、雑に説明すると、ピーター・ドラッガーのが提唱した「選択と集中」が長年支持されてきましたが、2020年の新型コロナウイルスの蔓延による社会変化は、本当にそれが正しいのか、と見直すきっかけになりました。
 たとえば、「サクセス・トラップ」という同じやり方を繰り返し、新しいやり方を試さなくなると、外的な大きな変化が起こった時に、使える方法が限られていると苦しくなると分析しています。
 安斎さんは、レヴィ=ストロースの「野生の思考」に出て来る「プリコラージュ」という考えで出てきた「修繕」という言葉を例に出します。
 大きな目標に基づいて計画を立てるのではなく、そこにあった道具を使って様々な方法を試して生きているアマゾンの先住民の考えかたこそ、創造的な活動と相性が良いのではと分析します。

 これを学問にあてはめると、「明らかにしたい問い」を設定して、それを起点に資源を分散して投資し、得られた洞察を手掛かりに問いを「修繕」していくというやり方です。これは研究職の方ならあるあるかも知れませんが、洞察を繰り返していくうちに、新しい「問い」が生まれたり、「問い」の設定を見直したりということがあります。
 そして、これを実践していくために、T字型にアイデンティティを言語化していく方法を紹介します。一つの専門領域をI字型に深掘りするスペシャリストタイプではなく、異領域の知見にも精通し、横の幅を持ったT字型ですね。
 企業で言うと、「Soup Stock Tokyo」というスープ専門店が、ネクタイ専門店の「giraffe」やセレクトリサイクルショップの「PASS THE BATON」など、幅広く新規事業を展開していますが、「世の中の体温をあげる」というコンセプトがあるからで、「世界一のスープ店にする」というコンセプトではないから、成功したという例を挙げています。

 全く違う2つのタスクを組み合わせることで、思いもよらぬ「結合」を生み、イノベーションににつながります。
 まずは、間に合わせの「問い」でもいいので設定して、それを探求しながら、どんどん「問い」を修繕していき、考える自分も磨いていけるわけですね。

 僕は、ふと、SKE48の鎌田菜月さんのことを思い出しました。
 試しに皆さん、Googleで鎌田菜月で検索してみてください。
 どんな言葉が出て来るでしょう?
 「将棋」、「藤井聡太」、「競馬」、「大学」、「棋力」など様々な言葉が並びます。

 鎌田さんの趣味や仕事の広さは、本当に広くてですね。
 歴史や城めぐり、二次元関係、将棋や競馬、水泳、剣道や弓道、マラソン、とこの人のT字はどこまで広がっていくんだ、と書きながら思います。
 更に、2020年には朗読劇も経験します。

(鎌ºωº田)<今しかできないこと。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)


 これまでのインプットが役者としてのアウトプットに活きていくのではないでしょうか。2021年6月5日の「オールナイトニッポン0~エンタメナイト~」のweb小説を読み漁り、この人はデビュー前から知っているぞ、となることを挙げていましたが、この人の知的好奇心はどこまで広がっていくんだと、思いましたよ(出版社に注目している話も)。ちなみに、その前の放送では、「リトルトゥース」だということを語っていましたが、この番組との相性はめちゃくちゃ良いんじゃないでしょうか?

 ちなみに、「シン・エヴァ」についての感想もネタバレしないように、でも、自分の思いを綴っているのが凄く良かったです。

(鎌ºωº田)<エヴァ語り。 #シン・エヴァンゲリオン劇場版 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 個人的には、彼女の「閃光のハサウェイ」評を聞いてみたいですね。
 ううむ、広がり続ける鎌田さんの守備範囲。
 髪型やメイクも変わり続けています。

(鎌ºωº田)<迷走中というかアプデ中というか。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 
 

 さてさて、なんでこんなに鎌田さんのT字型の広がりを見てきたかというと、実はあるメンバーの言葉がきっかけでしてね。
 先月、鎌田さんの生誕祭の手紙についての記事、「君がみていてくれた」を書いたんですが、意図的に省いた年の手紙があります。それが、2017年の生誕祭、大矢真那からの手紙です。
 その一部を抜粋すると、「かまちょは、かなり前から松井玲奈に似ていると私は思っています。二次元オタク的なところ。陰か陽か聞かれたら陰なところ。少しあざとそうなところ。朝が苦手なところ。ビジネス上手なところ。たまに人をイラっとさせるところ。少し違うのはかまちょの方がお友達が多そうなところかな」という印象的な文章です。

 最初読んだ時は、ちょっと短絡的な結び付けじゃないかな、と思っていたんですが、よく考えると、松井玲奈もT字型の才能だと思うんですよね。女優、歌手、文筆歌、youtuver、アニメヲタク、と手広く才能を広げています。個人的に、この人なら純文学の作家としても、充分通用するのではと思っています。

 そんな才能の広がりの可能性を真那は、2017年の時点から感じていたのかもしれません。
 ううむ、玲奈ひょんの才能の広がり方からすると、鎌田さんもyoutube配信や文筆業でも活躍できるのでは、と思いますね。勿論、将棋や競馬仕事もどんどん広がって行ってほしいです。そうしながら、アイドルとしての彼女の魅力もどんどん上がっていきますし、卒業後も様々な場で活躍していくことになるのでは、と思います。きっと推していて退屈しないのは、間違いないと思います。

(鎌ºωº田)<はじめての〇〇。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

  

 さて、実はこのブログの月イチ鎌田さん連載も、元々は「鎌田菜月が苦手でなんなら6期生アンチだった」僕が、「鎌田菜月というアイドルの何が良いのか」という雑な問いからスタートしました。
 毎月、彼女のことを様々なワードを手掛かりに調べ、タスクを分散投資して、得られた洞察を手掛かりに、元の「鎌田菜月というアイドルの何が良いのか」という問いに戻っていきました。
 今月は、「鎌田菜月というアイドルと松井玲奈はどこが似ているのか?」という問いからスタートして、安斎勇樹さんの「リサーチ・ドリブン・イノベーション」にあたりました。来月は、どんな鎌田さんに関する問いが僕を成長させてくれるでしょう?
 皆さんにとっても発見が多い連載になっているといいな、と10回目を前にして考えています。



2021年6月12日土曜日

愛し愛されて生きるのさ

 

ペイフォワード


 

 皆さん、「ペイフォワード 可能の王国」という映画をご存じでしょうか?
 「ペイフォワード」というのは映画の中の言葉を借りると、「次へ回せ」という意味です。

 映画の冒頭で、記者のクリスさんがある事件を追っている途中に、犯人に車を破壊されて途方にくれます。そこに一流弁護士の人が通りかかって、新車のジャガーをいきなりプレゼントします。あまりの展開に驚くクリスに、弁護士の人は「ペイフォワード!」と叫んで去ります。

 この映画は、誰かからもらった善意や優しさを他の誰かに回せと言う「ペイフォワード」という行動が、本当に小さなレベルでですが、身の回りを少しずつ豊かにしてくれる過程を描いている好きな映画の一つです。

 

 SKE48のメンバーで、「ペイフォワード」という言葉で思い出すメンバーがいます。
 それがチームEの深井ねがいちゃんです。

 8期生として加入したばかりの頃の彼女は、全てが順調というわけでは決してありませんでした。
 しかし、彼女が持っている明るさと、ひたむきに努力する姿には、少しずつ人々の心を動かしていきます。中でも、劇場公演の鉄人である市野成美さんへの弟子入り宣言(2017年5月20日)は、当時、岡田美紅推しだったも、「この子、信用できる!」と思ったものです。

 この時のねがいちゃんとなるちゃんとの関係が何か残っていないか、と調べていた時に、生誕祭の手紙が出てきました。
 ちょっと、読んでみましょう。
 2018年1月23日 研究生「青春ガールズ公演」です。

「ねがいちゃんへ

 15歳のお誕生日おめでとう。
 

 私が出会ったばかりの頃のねがいちゃんは不安な顔で踊って、レッスン場の隅で『できないです』と泣いてばかりでした。


 いつからなのかハッキリとは覚えていないけど、ねがいちゃんは私のことが好き、そして私のことを師匠と呼んでくれています。

 そんなねがいちゃんから悩み相談のLINEが来た時、私は話を聞いてあげることしかできなくて、自分はほんとに頼りないなと思いました。

 でも、最初はつらいことばかりかもしれないけど、一生懸命やっていれば誰かは必ず見ていてくれるはずで、私はそう思いながら活動しているし、そしたら私はたくさんの素敵なファンの方に出会えたんだよっていう話をしました。

 LINEがきた時は『ねがいちゃん大丈夫かな?』って思ってたけど、最後には『まだ頑張ってみます』そう言ってくれて私は安心しました。

 たまにねがいちゃんのファンの方が握手会に来てくれる時、とてもいい方たちばかりだなっていつも思っています。

 私が『青春ガールズ』公演に出るようになって、ねがいちゃんと一緒のステージに立っていると、最初の頃のような不安な顔はなく、全力で楽しんで、歌って踊るねがいちゃん。そんな素敵な姿にみんな惹かれているんだなと思います。

 これからどんどん成長するねがいちゃんをファンの方と一緒に見守っていきたいです。

 挨拶すると恥ずかしそうに小声で返してくれるねがいちゃん。話しかけると顔が真っ赤になるねがいちゃん。私が疲れて座っていると凄く心配してくれるねがいちゃん。どんなねがいちゃんも私は全部全部大好きです。


 何か悩み事がある時、私でよければ何でも話してください。いつでも連絡待ってます。


 改めてお誕生日おめでとう。15歳の1年が素敵なものになりますように。


 次はE公演で一緒のステージに立ちたいです。


 市野成美より 」


 何もかもうまく行かなかったり、不安だったりする時に、寄り添い見守ってくれる先人がいるというのは本当に大きいですよね。なるちゃんだけでなく、ファンの方々もそうです。
 みんなの優しさを貰いながら、ねがいちゃんは成長して、ステージ上で楽しみながら踊っていきます。
 手紙の最後の方に書かれている尊敬する人の前になると、少し照れる様子も良いですね。

 
 ちなみに、2018年の初頭には、劇団れなっちの「ロミオ&ジュリエット」のオーディションに合格してジュリエットのお父さん役にもなっていましたね。
 加藤玲奈さんから(48グループ運営から?)のチャンスを見事に活かしてみせました。
 その時に出会った、NGT48の菅原りこさんへの手紙では、深井ねがいさんのりったんへの愛が感じられる素晴らしい内容になっています。

 

2018年11月27日のことです。

「りったん、生誕祭おめでとう。

 そうか、りったん18歳になったんだね。

 初めて会った時は何だろう。不思議な子って印象だったよ。

 まぁ、そういう私もかなり不思議だけど。

 今回りったんの生誕祭でのお手紙のお話をいただいた時は正直ビックリしました。

 最初、マネージャーさんから連絡いただいて、いきなり何事かと。だって、新潟のNGT48に行かれたマネージャーさんからの連絡ですから、また怒られるのかと思いましたよ。何かやらかしたかなって一瞬心配になりました。

 でも、内容が生誕祭のお手紙のことでほっとしました。でも、よく考えたら正直私でいいのかと思ったよ。

 たしかりったんと初めて会ったのは加藤玲奈さんのプロデュースされているれなっち総選挙、2017年劇団れなっちの舞台メンバーに選ばれた時だったよね。

 りったんって私から見てすっごくほんわかしていて、マイペースで、不思議なザ・アイドルっていうイメージでした。あっ、と私とは真逆のタイプの子だと確信しました。

 そんな子がどんな役を務めてるんだろうと思っていたら、なんとりったんはまったくタイプの違う、小難しくて、悪だくみをするマキューシオ役。しかもマキューシオは台詞が多い!

 稽古中、うまく台詞をスラスラ言えず、凄く悔しそうな表情を見て、こんな表情もするんだとビックリしました。


 それからきっかけはわからないけど一緒におしゃべりしたし、お互い台本を読み合ったり、ご飯を食べに行ったり。

 りったんとご飯と言えば、初めてりったんとラーメンを食べに行った時、食べきるのに30分ぐらいかかって麺が伸びてしまったのを覚えています。

 さすがマイペースな子だなと感心してしまいました。


 あっ、そうだ、りったんと知り合ってからりったんのことを調べたりはしなかったけど、昨日初めてエケペディアを覗いてみて笑ってしまったことがあったよ。

 性格、趣味のところで長所が天然、明るいってあって、その通り!って思って。短所は人との距離感がつかめないところと書いてあり、『えっ、私と同じやん』ってなり笑ってしまいました。お互いにそこのところは成長したいね。

 私はつい最近やっとのことで研究生から昇格させてもらいました。りったんはNGTの1期生としてみんなを引っ張る立場だよね。これからも持ち前の明るさとなんとも言えない空気感を活かして頑張ってね。

 私もりったんとお仕事がしたいから実力つけるために頑張るから待っててください。

 この度はりったんの大事な生誕祭のお手紙を書く機会をくださった生誕委員の方々、ファンの方々に感謝しております。本当にありがとうございました。

 りったんにとって18歳の1年が素晴らしい1年になりますように心から願っています。

 最後に。りったんのファンの皆さんへ。皆さんの推しは最高です!


 SKE48 深井ねがい」

 冒頭のユーモラスな表現も凄く良いんですが、りったんとの共通点や推しの方々への言葉も素敵です。
 貰って来た優しさを少しずつ他の人にも広げていく感じがします。
 いつか、二人が女優として再会するところも見てみたいですね。


 さて、再び、深井ねがいちゃんをめぐる文章に戻りましょう。2019年1月22日に行われた、深井ねがいちゃんの生誕祭の手紙も読んでみましょう。

 「ねがいちゃんへ

 16歳のお誕生日おめでとう。
 

 こんな風に改まってお手紙を書くのは初めてで、恥ずかしいですが、せっかくの機会をいただいたので素直な気持ちを書かせてもらいますね。

 ダンスのレッスンが始まり、撮影というものを経験したり、同期と過ごす時間が増えていった頃、初めてあなたを見た時の印象は「とにかく凄い」でした。

 それは、みんなが右も左もわからず手探り状態なのに、あなたは誰よりも大きな声で、誰よりもグイグイ前に出て、唯一現場のスタッフさんや大人たちとも友達のように話せていたから。そんなこと、みんななかなかできないよ。

 物怖じしないところも、明るくムードメイカーなところも全部あなたの魅力だと私は信じてるから、自信を持っていいんじゃないかなって思うよ。

 だけど、その反面、本当は凄く考え込んだり、泣き虫なところがあることも私は知っています。

 最近はどうかな?私とはチームが違って会える機会も少ないけど、そんなたまに会った時でも悲しそうに下を向く姿をよく見かけるような気がするな。初期のころみたいに無邪気に笑うねがいちゃんっていうよりは頑張って笑ってる、そんな風に見えるかな。

 SKEにいれば、そして上を目指せば目指すほど、つらいことってこの先もたくさん待ってると思う。

 でもね、そのつらい気持ちも悔しい気持ちもきっと本気で戦っている証拠で、ただただここにいられればいい、そんな風に思っていればこんな感情は生まれない。

 だから今この活動を通して感じている気持ちは全部自分を強くしてくれるって信じて頑張ってれば絶対この先で生きるはずだから一緒に乗り越えていこうね。

 私もついているし、何よりあなたはたくさんのファンの方がそばにいてくれるよ。

 そして今日の生誕祭も凄く緊張するって言ってたね。大丈夫だよ。主役なんだから堂々と笑ってればいいの。最後まで楽しんでね。応援しているよ。

 ステージに立つ度胸、MCで培う柔軟性、ここで学ばせてもらえること全てが女優というあなたの夢にいつかリンクするはず。夢はきっと手を伸ばした1ミリ先にある。だからその夢に向かって今日もあなたらしくステージで輝けることを深く願っています。

 あなたはSKEにとっても凄く貴重な存在だと思います。だからこれからもキャッチフレーズにもあるように日本一のアイドルになってください。

 終わりになりましたが、この度は生誕祭という貴重な日にお手紙を書かせていただきありがとうございました。気の利いたことも言えませんでしたが、これからもねがいちゃんの同期として切磋琢磨し、隣で彼女を少しでも支えられたらと思います。

 ファンの皆様、スタッフの皆様、そしてチームEのメンバーの皆さん、これからもねがいちゃんをお願いします。

16歳、素敵な1年になりますように。

チームS 岡田美紅」

 同期として彼女の傍にいてくれた、みいぽぽからの手紙です。
 NMB48の「届かなそうで届くもの」を連想させられるな、と個人的に感じました。
 「最近はどうかな?」とねがいちゃんの笑顔を気遣う表現が凄く好きです。
 そして、ねがいちゃんが持っている明るさと、繊細な両面が見えて来ます。
 涙が出るのは、本気でSKE48という場に向き合っているから。
 真面目に真っすぐにアイドルに向き合うから支えたくなる、SKE48にとって「貴重な存在である」というみいぽぽの表現は、彼女がもう卒業した後の2021年に読むと、また違う響きがします。確かに深井ねがいちゃんの個性は、前にもいないし、これからも出てこないんじゃないか、という魅力があります。
 勿論、真面目さだけではなく、突拍子もない危うさもあります(CDの特典映像にあったドッキリの映像は、かなりスリリングでしたが、この子は何者なんだ、と気になった方も多かったんじゃないでしょうか)。

 彼女にとって、みいぽぽの卒業による別れは、とても大きな意味を持っているのではないか、と思っているんですが、いつか書いてみたいと思います。
 元、みいぽぽ推しとしては、推しの分の夢もねがいちゃんに託している部分があるのかもしれません。
 

 さて、更に1年の月日が経ち、2020年1月25日。
 再び、ねがいちゃんの生誕祭がやってきます。

 その日に読まれた手紙を読んでみましょう。
 

「ねがいちゃんへ

 お誕生日おめでとう。

 16歳の1年はどんな1年でしたか?

 チームEに所属したのは去年のことだったかな?

 去年の生誕祭で『このステージで言えないことがあった』と後にブログに書いていたことを覚えています。

 チームEとして認めてもらうこと、チームEのメンバーともっともっと喋れるようになること、SKEに友達を作りに来たわけじゃない、自分の夢を追いかけに名古屋まで来たんだと言いつつ、先輩や後輩そして同期の仲間への思いが芽生えてきているのが私は嬉しいです。

 ステージの上や舞台上では物怖じすることなくハキハキ喋っていて、大きな声で何でも思い切ってやりのける反面、楽屋では凄く大人しくて冷静だということを知りました。

 きっとそれが本当の姿ではないのかも知れないし、もしかしたらどちらとも本当のねがいちゃんなのかもしれないけど、もししんどいことやつらいことがあるならば、おすまししておとなしぶることなく頼ってくれたら嬉しいです。

 こんな私が後輩にしてあげられることは限られているけど、一人一人の悩みに少しでもっ寄り添ってあげたいと最近強く思います。

 誰しも一人で頑張ろうなんて難しくて、せっかくグループとしてチームとして一緒の時間を過ごしているのだから迷惑の一つや二つぐらかけたって構わないって思います。

 皆で助け合って、支え合って大きくなっていこうね。

 年頃の女の子は日々変化するものとよく言いますが、ねがいちゃんの変貌ぶりには本当に驚かされました。

 以前とは見違えるほど美してたくましく立派な姿に出会うたびに感動している私です。

 

 『髪型変えた?メイク変えた?痩せた?』って会うたび毎日のように言ってるから、そろそろしつこいかな?

 でも『真木子さんから褒められると顔が真っ赤になっちゃう』って言うてたもんね。でも本当に綺麗になりました。

 TGC静岡の出演が終わってもウォーキングに励んだり、ダイエットをして努力し続ける姿はとても素晴らしいと思うし、尊敬しています。

 きっとこれからもまだまだたくさん悩んで迷って吸収して、ねがいちゃんの思う『なりたい自分』になってほしいです。

 自分の夢に向かって胸を張って毎日キラキラ生きて欲しい。その姿を近くで見ていられたら、と思います。

 これからもよろしくね。

 誕生日おめでとう。

 斉藤真木子より」


 ねがいちゃんは、手紙の後のスピーチで16歳の1年を「悩んだ」1年であると語ります。本気で卒業を考えたことや人前や舞台に立つことが怖くなったこともあると。
 また、弱音を吐くことに関してもナイーブになって悩んでいたこともあると語っていました。それでも、「自分を客観的にみれた有意義な1年だった」とも語ります。その中には、TCGしずおかでランウェイを歩くための練習や実際の経験は、観られる自分を意識することになったのかもしれません。勿論、自分という一番厳しい審査員もいます(いつかのなるぴーがスクランブルで出演した時の自分への評価とかもそうですが)。

 TCGしずおかの経験はねがいちゃんにとって、「幸せな1日」だったそうです。
 女優と言う夢が少しだけ見えなくなったとしても、彼女は「ファンの皆さんに恩返しがしたい」ということを語ります。
 夢や仕事に真面目な彼女だからこそ、先輩も力になりたくなります。
 3年の間に不安や悩みと向き合いながら進んでいくねがいちゃん。それは全部消えることはないですが、昔と違って成功体験が彼女にはもうあります。それが迷った時や諦めそうになった時の道しるべになるのではないか、と思っています。
 

 映画「ペイフォワード」の最後は、最初に始まった誰かの「次に回せ」が、きちんと連鎖して他の人の優しさになったことが示されて終わります。
 僕もねがいちゃんからもらった、思いを「次に回す」ためにこの記事を書きました。
 きっとねがいちゃんも、なるちゃんから受け継いだ思い、みいぽぽから受け継いだ思い、今、真木子を始めとするメンバーたちと紡いでいるものがあると思います。ファンの方々からもらったものも。

 「恩返し」として次はどんな「ペイフォワード」を、ねがいちゃんが魅せてくれるのか。
 もう、彼女が元気に帰ってくるだけで、充分「ペイフォワード」なんですけど、真面目な彼女のことだから、きっと明るい笑顔で新しい姿を見せてくれんじゃないか、と期待しています。
 

2021年6月12日、「僕だけのvalue」を聴きながら。

 

 


2021年6月7日月曜日

100万リットルの涙

泡のように消える未来に用はない

 カミングフレーバーの1stミニアルバム「かみふれ!」から「100万リットルの涙」が、6月4日から先行配信されています。
 皆さん、もう聴きましたか?
 
 なんというか、映画のエンディングテーマに使えそうな壮大なメロディとカミフレ版「君は知っている」と言いたくなるファン目線の励ましの歌詞。
 楽曲については、生配信の時に少しだけ触れられてますね(8分30秒ごろ)。


 まず、気になるのが誰が作詞をしたのか、ということ。
 秋元康だとしたら、「未来とは?」のサビを連想させる言葉を2番のサビで持ってきたのは、流石だと思いました(この直前の自問自答も素晴らしい)。
 まだ夢の途中にいるカミングフレーバーのメンバーを応援するファン目線の歌詞なんですが、「歓声は消えてしまったけれど」という、曲の世界だけでなく、コロナ禍の現在を連想させる言葉も良いんですよね。 
 予定されていた未来が消えてしまったとしても、彼女たちが積み上げた努力で新しい未来を作っていくというのも、上記のコロナ禍でリセットされた現実を連想させられます。
 曲中で繰り返される他者との勝ち負けではなく、自分との戦いであるというのも、これからの48グループに合っていて良いですね。
 そして、「涙」を「虹の切れ端」だと表現したのも凄くてですね。落ちるものではなく、昇るものに変わるんですよね(曲の主人公が上空を見上げていたのもリンクしますね)。
 もうサビ前のこの表現で僕は涙ボロボロでました。
 最後は「フレーフレーフレー」がフェイドアウトしていくんですが、上空に登っていくようにも遠くから「風」のように背中を押しているようにも聞こえます。
 
 ううむ、声に出して「フレーフレーフレー」が言えないからこそ、歌詞の「フレー」が効きますし、「カミフレ」ともかけているのかな、とも考えたりもしました。
 更に、今回のミニアルバムのジャケットをみると、虹の色が9色なんですよね。
 卒業した平田詩奈さんと西満里奈さんの色もある。
 完全に僕の願望ですが、このファン目線の歌詞の中には、きっと卒業して行った二人の思いも入っているんじゃないか、と思うんですね。
 「報われない努力を計り知れない痛みを人知れずだきしめて君は歩いてきたんだろう?」のところなんか、ファンだけではなく、メンバーだからこそ、知っている部分もあると思うんですよね。
 あくまで、僕の願望です。
 
 今のところ、この「100万リットルの涙」と「はじまりの唄」が2021年のベストです。
 ううむ、生で早く聴きたい名曲です。
 皆さんは、どんな解釈をしましたか?

2021年6月5日土曜日

風を待つ②

 2年ぶりの再検証


 皆さん、繰り返し聴く曲ってありますかね?

 

 僕は近頃、港のあたりを散歩する時に、STU48の「風を待つ」を聴きながら散歩しております。

   

 丁度良いんですよ、春先の海を観ながら歩くのに。
 ある日。
 ふと、「これは!」と気づいたことがありましてね(僕はこの瞬間が大好きで文学の研究をしていました)。
 まだ、自分の中で気がついていない解釈ではないかと思い、急いで2019年のこの曲の分析を確認しました。

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 風を待つ① (oboeteitekure.blogspot.com)


 こいつ、2年前から甲斐心愛ちゃんのこと書いてるじゃない…。
 じゃなくてですね。
 今読むと、ブログを始めたばかりで、まだ曲の解釈をする時が探り探りなのが伝わってきますね。

 それじゃあ、僕が気づいたことを元に、新しい解釈を考えていきたいと思います。

 まず、なんで歌のタイトルが「風を待つ」なのか?
 そして、何故、主人公は岬にいるのか?

 ポイントは2番の歌詞にあると思います。
 曲の主人公の「僕」は自分を「帆船」に例えます。
 ただし、今は帆を畳んでいる状態でもあると。

 つまり、今はまだ身動きが取れない、何故なら帆を畳んでいるから、というのもあるんですが、帆船が動くにはある原動力が必要ですよね。そう、風です。風を待つ帆船の状態であるからこそ、主人公は家でもなく町でもなく、岬にいるのではないかと思います。

 次に、この歌の歌詞って凄く気になるものが多くてですね。

 「日差しのようにあの日に戻れればいいのに」

 いやいや、日差しって戻るもの?という疑問が頭をもたげます。
 ただ、この日差し、もう一度歌詞の中に登場します。
 それは「青い海に日差しが跳ねて」の部分ですね。
 これは何を表している情景かというと、「波」ではないかと思うんですね。
 曲中でこの「波」のことを主人公は、切ないものの例として出しています。
 「波」ってすぐに現れて消えてしまいます。
 そう、まるで「さっき見てた夢」のように。

 こうしてみると、この「風を待つ」という曲は切なく消えて行くもののイメージを繰り返しながら、僕の中の消えないものは何かを浮かび上がらせてきます。

 それはやりたいことを見つけて都会に行った「君」への思いです。
 「君」を乗せた船が来るのを待つ為に桟橋で待つ「僕」ですが、「君」こそが自分に変化をもたらす「風」ではないでしょうか。
 勿論、船が作り出す現実の風もあるでしょうが、心の「帆船」を動かす「風」はきっと君の存在だと思います。船が来る前に吹く一陣の風が恋の認識とも読み取れそうですが、皆さんはいかがでしょう?

 この曲の後、この曲の主人公はどうなったんでしょう?
 今度は、風を受けて動きだすことが出来たんでしょうか?
 君への気持ちを告げられたのか?

 シングルだけで見れば、別れの歌である「大好きな人」です。
 でも、このシングルのカップリング曲のタイトルは奇しくも「出航」なんですよね。

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 出航① (oboeteitekure.blogspot.com)

 久しぶりに自分の好きな曲についての解釈を書いてみましたが、ううむ、まだまだ奥の深い曲が多そうですね。
 また、チャンスがあれば、久しぶりに自分が好きな曲をどんどん掘り下げたいと思います。
 

2021年6月1日火曜日

はじまりの唄

大事な価値観


 先日行われた、「第3回AKBグループ歌唱力№1決定戦」のファイナリストコンサートで、披露された新曲がありました。それがファイナリスト9人で結成された「Nona Diamonds」の「はじまりの唄」です。

 こちらが昨日、5月31日の20時から公開されました。
 ちょっと聴いてみましょう。



 息を吸い込む音まで響いてくる静寂の中で、一人一人の美しい歌唱が続き、それが重なった時の美しさをこんなに感じさせられますね。
 なんというか、声も一つの楽器だったんだ、と認識させられました。
 
 歌詞の世界を見て行きましょう。
 
 まず、1番のAメロ前に心臓の高鳴り、つまり、緊張は未来に続くことが描かれます。

 そこから1番のAメロが始まります。
 不意に見たテレビ番組のショータイムから、様々なことを思い出して、自分が歌いたかったことを思い出します。それは、一人一人の少女たちが芸能界に入る前の様子にも見えますし、48グループにいる中で感じたことかも知れません。思えば、48グループのバラエティ色が強くなった頃から、歌唱力メンバーは活躍の場が少なくなっていたかも知れません。
 サビでは歌いたくなった初期衝動を持って未来へと進むという、時間軸が綺麗につながる素晴らしい歌詞。
 
 2番Aメロでは、歌うチャンスを得た主人公が、いよいよ未来を掴むために歌います。
 2番のサビ前の「こんな風に笑いたかったんだ」というフレーズが物凄く良くて、主人公が幸せを掴んだ瞬間をイメージさせられます。
 だから、1番のサビと同じフレーズでも、また違った響きを感じます。
 大サビ前では、遠くにある夢を諦められないから、今日も自分の持てる声で叫ぶことが描かれます。
 ここも凄く良くて、歌が未来を引き寄せてくれる感じがするんですよね。
 
 そして、最後はもう「私達だけのストーリー」のはじまりを予感させる内容で終わります。

 本当に素晴らしい歌詞なんですが、特に感動的だったのが、自分の内面と向き合って挑戦する、そして、やっぱりこれが好きだと再認識して、何かが始まるという部分がこれからの9人の物語ともつながりそうなんですよね。

 更に、歌詞の中で、「私」から「私達」に変化していくところも素晴らしくて、これまで総選挙などで個人戦の様相があった48グループが、コロナや運営の変更などでバラバラになっていき、交わることが少なくなった今だからこそ、それぞれのドラマを持った「私」が集まって「私達」で物語を描いて行くのが素晴らしいです。
 
 メロディは、静かに盛り上がっていくんですが、声という楽器と協奏することで、より素晴らしく響くようになっているのでは、と思います。

 さて、歌唱するメンバーなんですが、もう全員表情が素晴らしいんですよね。
 SKE48視点で見て行くと、こんなめちゃくちゃ良い表情の山内鈴蘭を初めて知ったというか、色々なことのパラメーターが高い彼女が、再評価されていくきっかけになるのでは、と思います。
 
 野島さんも、歌う時の表情も良いんですが、声色が本当に素敵で歌詞の世界に寄り添う感じの表現が本当に良いですね。
 サビの「終わらない」の部分が、彼女の歌唱力をフルに感じられて、良いですね。

 そして、古畑奈和ちゃんですが、サビ前の大事な部分を担当しています。
 一回一回の声の強さと表情も素晴らしいんですが、大サビ前の表情と声に注目していただきたいです。
 もうね、「叫ぶんだ」のところを初めて観たときは、感極まって泣いてしまいました。
 
 あとは、STU48の皆さん。
 池田裕楽さんをこのコンテストで初めて知ったんですが、凄い才能がいるとは。
 いやあ、奥が深い。

 2019年に放送されたNHKの「クラシック大好きアイドル集合」の記事でも書きましたが、これからの時代は、競争から共に創っていく時代になってきたのではと思います。
 競争から協奏へ。
 まだまだ48グループの物語は、新しい章を始めることが出来ると信じています。