名刺代わりの一撃
SKE48の曲と言えば、何ですか?
あまり詳しくない方や他店ヲタの方からすれば、「パレオはエメラルド」かも知れませんね。僕の周りの難波ファンの方は「チョコの奴隷」、坂道ファンの方は「マンゴー」と仰ってました。
じゃあ、SKE48の入り口になった曲は何ですか?
僕がまだ、AKBのゆるーいファンだった2012年頃、SKE48があるらしいというのを知りましてね。その頃、「SKEの『恋を語る詩人になれなくて』が凄い」という噂を聞きましてね。まあ、ネットなんですが。
で、当時はYOUTUBEにこれでもかというぐらい色んな48グループの動画が上がってましてね。その中に確か公演だったか「思い出せる君たちへ」だったかの動画がありましてね。それを観てぶっとんだわけですよ。
なんだこれ。
なんか、凄いやつらがいるぞ。
当時、W松井ぐらいしか知らなかったんですが、全員、凄い勢いで踊ってるな、と思いました。
それは、アニマルスピリットと呼ばれる、言語化できない肌感覚。
言語化できないけど、凄いことは分かる。
そんな感覚でした。
それから、まだDMMの存在すら知らなかったので、CDショップで公演のCDを買い、何か月後かの握手会の物販で公演DVDを買って観たわけです。
初代チームS。
それは牧野アンナの厳しいレッスンを乗り越えて舞台に立った者達。
(厳しいレッスンの内容はドキュメンタリー映画『アイドルの涙』を観てね。背中の痛みでのたうちまわるひょんさんとか、観てて辛いですけど)
その「制服の芽」公演の1曲目が「恋を語る詩人になれなくて」なんですが、まあ、イントロから爆発力が凄い。メンバー一斉にジャンプするんですが、リクアワのオーディオコメンタリーによると、このジャンプの高さでメンバーのその日の体調が分かるそうです。
最近だと「春コン2018」のガイシ夜公演の「恋を語る詩人になれなくて」のジャンプを観て欲しいんですが、だーすーの流石は元チームSというジャンプが観られますよ。
「校庭の楡の木陰 リルケの詩集を捲り 唇が動いている」でいきなり、珠理奈、玲奈、くーみんという1列目、今考えても豪華です。
ゆりあも、ゆっこもいる!
まさなもいる!
だーすも中西もいる!
しーたんもりかちゃんすも、あきすんももきゅもいる!
るみもカツオもいる!
チームS最高!
いやあ、取り乱してしまいました。
スポーツもそうですが、自分が好きになった頃のチームって思い入れがありましてね。
さて、歌詞の世界に戻りましょう。
「遠くから気づかれずそっと守ってあげたい 眼差しは君を暖かくするよ 太陽」詩集を読んでいる女の子を遠くから見守っているという「ポリスストーリーリーボーン」のあらゆる職に就き娘を見守るジャッキーみたいな感じですかね。
「恋を語る詩人になれなくて・・・ 言葉を飾るより 無口な僕でいる」
詩人のように言葉を飾ることは出来ない。だから無口でいる。ううん、なんて不器用な主人公。
「恋を語る詩人になれなくて ときめきはときめきのまま 野に咲く花であればいい」
言えないのなら、そのときめきは「野に咲く花」つまり、手を入れずにそのままにしておけばいいということなんですね。これって、後ろ向きにも取れるんですが、奥ゆかしさとも考えられます。また、映画「ロッキー」のロッキーは本当に言葉を持ってなくて、映画の最初の方は、マジで言わなくていいことばっか言うんですね。そんな口下手なロッキーは、ボクシングで魅せていく。じゃあ、SKE48は?全力のダンスで魅せていく。
2番では女の子とすれ違って「ほのかな石鹸の香り」を感じてその後ろ姿には「木漏れ日」があたっています。ここでも太陽が見守っています。
なんか、「青空片思い」とのつながりも考えたくなります。
「語るだけで消えてしまいそうな・・・ 伝えることよりも 大事なものがある」
うう、伝えずに終わってちゃうの・・・。
「大事なもの」とは、何でしょう。
「語るだけで 消えてしまいそうな・・・。切なさは切なさのまま 愛しい花であればいい」
ああ、やはり伝えずに「切なさ」を抱えながら生きて行こうという考えなんですね。
そして、また大サビです。
「恋を語る詩人になれなくて 言葉を語るより 無口な僕でいる」
やはり言葉では伝えない。
でも、恋愛は言葉だけとは限りません。
遠くから見守りながら、いつか、その眼差しに向こうが気づくかもしれません。
その時、どうなるか。
さてさて、公演に話を戻すと、やはりチームSの全力が伝わってくる楽曲でしてね。ワクワクするというか、うわあ、S公演が始まる!という感じなんですね。さらにこれが、48グループコンになると「詩人」が来た時の盛り上がりたるや。2013年のAKB48のドームツアーの名古屋ドーム初日の「少女たちよ」の後の「詩人」が来た時の盛り上がり!隣の席の人が「きたああ!」と叫んでましたが、僕も全く同じ心境でした。
ちなみに詩人といえば、感想のダンスですよね。
指さしからの足上げ!
この足上げは、カツオからゆっこへと受け継がれていきました。さらに宮前にも受け継がれていきましたね。
この曲はSKE48イズムというなんとも説明しにくいけれど、確かにあるそのイズムを感じさせるかけがえのない曲です。昔のファンで好きな人も多いでしょう。今のメンバーと比べて「昔はよかった」と思うかも知れません。僕はこの記事を書いている時、そう思っていました。ですが、今のメンバーも必ず追いつけると信じています。なので、いつか、若手メンバーにも受け継がれていってほしい曲です。ロッキーからクリードへチャンプを継いだように。