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2022年1月30日日曜日

はたごんとウェル―イング

「いる」と「推す」の幸福な関係

 予防医学研究者の石川善樹さんとニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんの共著「むかしむかしあるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ」が1月28日に発売されました。
 「ウェルビーイング」という、名前はよく聞きますがいったいどんなものかを、日本の昔話を切り口に解説しているんですが、「その組み合わせがあったか!」と衝撃を受けるぐらい素晴らしい構成でした。

 そもそも「ウェルビーイング」というのは、定義が非常に曖昧で国や時代によって変わるそうです。「ウェル(善く)」、「ビーイング(いられる)」という言葉は、吉田アナの言葉を借りるなら「イキイキ」ですし、石川さんの言葉で表すなら「『満足』と『幸福』の2つが揃っている状態」と言い換えられもします。
 ううむ、なかなかぼんやりしてますね。
 これを具体的にするのが日本の文化です。
 日本的ウェルビーイングと著書の中では語られていますが、日本人は基本的に「Nobody」(誰でもない)と「Negative」という2つのNを愛でてきたと語ります。
 「Nobody」の方は、昔話の主人公や落語の主人公は、市井の庶民が出てくることが多いです。また、「Negative」の方は、古いものや朽ちたものを「わびさび」と愛でてきたバックボーンがあります。また吉田アナは松尾芭蕉の「夏草や 兵ものどもが 夢のあと」の俳句を挙げ、今はないものに思いを馳せる文化を語っています。
 西洋文化が「上」を目指すのに対して(天界やサミットを和訳すると頂上になるように)、日本人は「奥」を目指す(日本の神社の設計など)違いがあり、『古事記』の中に登場する「いるだけで存在価値がある神様」について紹介し、何か空白地帯の「奥」にある何かを想像させる文化について語ります。
 人間のコミュニケーションでは「いる」→「する」→「なる」という段階があると思います。その場に「いる」ことで、何か仕事を「する」こと人になり、やがて成功して何者かに「なる」。成長することになります。
 たとえば、社会人になると、いきなり「する」を求められます。あなたは何ができるのか、と聞かれます。「する」目線で人をみると、「あいつは使える」みたいな感じになるのかも知れません。
 それに対して、昔話や落語の登場人物たちは、なかなか成長というものをしません。
 元の状態に戻る話が多いです。全然、「する」まで進まないわけです。
 「仕方ないなあ」と町の人達が主人公を笑いつつ、コミュニティの中にその人が「いる」ことに価値を感じます。なんというか肯定を感じますね。替えがきかない大事な存在というか。
 また、古事記などに出て来る神様たちは「いる」だけでありがたい存在だそうです。そこから吉田アナはアイドルカルチャーにも通じると語ります。
 「推す」という行為は相手が「いる」だけで無条件で愛でることを受け入れてくれる状態であると。
 石川さんも日本のアイドルカルチャーの中でソロアイドルであれば、観客からは様々なスキルを求められますが、グループアイドルであれな一緒にいることが強制されるものの「いる」から始まる物語があり、関係性は必然的に生まれて来ると語っています。
 本書の終盤で石川さんはどうすればウィルビーイングに生きられるかの試みの一つとして、「自分より大切なものを見つけてください」と提案します。
 その存在がいることで自分が良い状態になる。
 これを受け手吉田アナは、寺嶋由美さんというアイドルが、ファンの立場で詠んだ短歌を挙げます。

「今日もまた 私を救ったことなんて なんにも知らない 待ち受けのきみ」

 まさに「推す」ということの本質を突いたような気が僕はしますし、ウェルビーイング、良い状態にいるなあ、と感じます。
 これから話すことについて重要なところだけつまみましたが、他にも、医学的に脳は未来にワクワクを期待できないと耐えられない一方で、サプライズが大きすぎても負荷がかかるという、ウェルビーイングを考えていく上での前提も詳しく書かれています。
 なんか前提が、いつものブログの記事より長くなりましたが、それぐらい良い本だったので、興味が湧いた方は是非是非、読んでみてください。

※久々にリンク機能を使いますよう! 


 


 さて、ウェルビーイングについて考えている時、僕が思い浮かべるメンバーがいます。
 それがチームEの髙畑結希さんです。
 はたごんですね。
 

 皆さんは、はたごんは好きでしょうか。
 五十嵐早香推しの僕ですが、彼女が凄く好きです。
 彼女は斉藤真木子さんのようにダンスが凄いわけでも、古畑奈和さんのように歌が上手いわけでもありません。カミングフレーバーの皆さんのように若くもありません。
 自分のことを「ぽんこつ」と呼んでいます。

【 高畑結希】過去の自分にソーユートコあったよね? | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 そんな彼女ですが、僕は彼女がSKE48に「いる」ということが凄く嬉しいです。
 全国握手会がまだあった頃、僕はよくはたごんのいるレーンに行きました(ちなみに、早香先生の前はみいぽぽ推しでしたよう)。
 彼女が持つ親しみやすさの正体は何だろう、と考えたことがあるんですが、思えば彼女はOLを経験していたNobody側、市井の人間側だったというのも重要だったのではないかと考えています。まだ、誰かの夢を見ている側だったと言い換えても良いかもしれません。
 ちょっと、こちらのブログを読んでみましょう。

【高畑 結希】やるからには本気で。 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 
 自分の夢から手を離すのか、それともまだ頑張るのか。
 そんな誰かの選択を沢山見てきた彼女は、Nobody側から見られる側になっていきます。
 それは、未来をワクワクさせる選択であり、この時の彼女の気持ちを想像しただけで、僕までワクワクしてきます。
 アイドル髙畑結希の成長を、近くで見てきた人の声も確認していきましょう。
 まずは、2018年7月18日に行われた髙畑結希生誕祭で読まれた手紙です。

「髙畑へ

 23歳のお誕生日おめでとう。

 これで私よりおばさんですね。
 

 髙畑は入ってきてすぐの頃から私のことを名前で呼ばずにニックネームに『さん付け』で呼んできて、でもそれが私は全く嫌でなくて、なんだかスーっと落ち着く感じがあって。きっとそれは同い年っていうのが大きかったと思う。

 後輩だけど同い年。同期とはまた違う。近すぎず、遠すぎず、絶妙な距離感。それが私には本当に心地よくて。だから、髙畑と一緒に劇団れなっちに参加できるって、しかも同じ組って知った時は本当に嬉しかったよ。

 ロミオの弟のヒデ役。初めての演技で男役って凄く不安を感じたと思うし、たくさん悩んだと思う。

 実際、稽古期間中、どうしたら男っぽく見せられるのかずっとずっと試行錯誤してたよね。

 でも、髙畑がそうやって毎日頑張ってる姿を横で見てきた私だから、自信を持ってこう言えます。髙畑のヒデ、本当に最高だったよ。

 一緒に出るシーンでも、最初の頃と全然違って、髙畑らしいヒデをしっかり掴んで演じている姿は本当にかっこよかった。

 そうやってどんどん成長していく髙畑が同じSKEのメンバーとして本当に誇らしかったし、そんな髙畑に対して私も負けてたまるか!って思いながら毎日過ごしてたよ。

 だから、私が最後までやり抜けたのも髙畑のおかげなの。本当にありがとう。

 こうやって髙畑に対する気持ちを素直に言ったら、なんか負けた気がするから、いつも写真撮る度に変な顔をしたり、無駄にイジッたりしてきたけど、髙畑の存在は私にとって本当に大きくて、そして大好きです。

 だから、チームが違ってもこうして一緒にSKEとして活動出来ていることが本当に嬉しいよ。

 これからもSKEのメンバー同士一緒に頑張っていこうね。

 大好きな髙畑にとってこの1年が過去一番輝かしいものになることを心から願っています。

 改めて23歳のお誕生日おめでとう。

 髙畑と同じ1995年生まれのチームS・都築里佳より

 P.S.

 いつか真理佳と3人で何かしような!」

 はたごんの成長を舞台というアイドルとは違う場で見てきたぴよすさんの手紙。
 試行錯誤しながらも新しいチャレンジをして、役を掴んでいくはたごんの様子が目に浮かんで来る良い手紙です。
 それじゃあ、SKE48きっての分析力を持つあの人は、はたごんをどう見ていたんでしょう。2019年7月23日のはたごん生誕公演で読まれた手紙を読んでみましょう。

「はたごんへ

 お誕生日おめでとうございます。

 多分まさかの人からのお手紙です。

 私なりの、もしかしたら独りよがりになってしまうかもしれない言葉ですが受け取ってもらえたら幸いです。

 はたごんは同期の中ではお姉ちゃんみたいな、先輩といる時は仲良い人にもしっかり気は遣う人。んー、後輩といる時はよく知らないです。

 ぽんこつと言われることもあるけれど、実はとてもしっかり者なんだなーと思っています。

 その気遣いが根本にある優しさに皆が笑顔になっちゃって、思わずやらかしても許してしまうんです。

 実は時にそれを『おいしい』と思っていたりもしませんか?それがまた面白かったりもします。

 実はアンダーに出たのも早いし、ライブのリハーサルがあるとなると事前に誰よりも早く練習を始めたり、SHOWROOM配信を長いこと毎週継続していたり、どんなことにも正面からしっかりと向かっていく姿は皆がやらなきゃと思っていてもやれないことで、はたごんの本当に凄いところです。

 今はたごんの目の前には選抜という1つの壁があるんじゃないかな。

 一緒にご飯に行ったりすると、その話題が出ることもだいぶ前からありました。そのたびに真っ正面すぎるぐらい本気でまっすぐ。ふと思い出してみるとはたごんと真面目なお話をしていて、あまり後ろ向きな発言を聞いたことがないんです。

 そこに溜め込んでいないかな。まだ話してもらえる関係ではないのかな。なんてちょっと心配になったりもするけれど、それがはたごんの持つ強さなのかなと思っていたりもします。

 アイドルとして誕生日を迎えることはちょっと不安になったりもします。でもどうかブレないでください。目標がどことかでなく、これからもはたごんであることを楽しんで貫いていってください。これは私からの勝手なお願いです。今年はたごんにとっては選抜へのチャンスになったであろう選抜総選挙は開催されませんでした。それを残念だと、そう言える道をファンの方と歩き固めてきたこと、お祭りみたいなイベントではあるけれど、誰もが多少なり怖がってしまうそのイベントを待ち望めていたということ、頑張ってきたことに無駄なことはなかったと言える、それもまた一つの結果です。

 その頑張りはファンの人はもちろん、スタッフさん、メンバーまでしっかり響いているよ。

 だからずーっといい子でなくてもいいんじゃないかなとも思うの。もうちょっと周りの人に甘えてもいいんだよと。

 それを嫌と思う人はきっといなくて、それくらいはたごんは愛されてる人です。

 はたごんにとって愛あふれる幸せな1年になることを願っています。

 地元香川の美味しいうどん屋さんにまたお仕事のついでに連れてって行ってもらえることもつよーくつよーく願っております。

 最後に。お手紙を書かせてくださった生誕委員の皆様、私でいいのかと驚いたりもしたのですが、書かせてもらえてとっても嬉しかったです。素敵な機会をありがとうございました。

 はたごん、改めてお誕生日おめでとう。

 SKE48チームE 鎌田菜月より」

 ううむ、流石は鎌田さん。
 はたごんの頑張ってきたことをしっかりと見ていたんだなあ、と感じます。
 多分、2019年の選挙に向けて準備していたのでは、というのは確かに2018年のはたごんの勢いを考えると、確かに!と頷けます。
 はたごんにとっても大事なものでもありましたしね。
 ※くわしくはこちらのブログをご確認あれ!

【高畑 結希】一生の宝物! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 このブログでのファンの方のはたごんへの熱い思いが凄く良くてですね。
 自分の推しが失敗すること、悩むことを肯定してくれる存在。
 背中を押しながら、今を楽しむことを肯定してくれる存在。
 ううむ、髙畑商事はウェルビーイングで包まれてるなあ、と感じます。

 さて、今度は谷から見たはたごんについて見てみましょう。
 彼女の最新の生誕祭で読まれた手紙です。

「結希ちゃん、26歳のお誕生日おめでとう。

 この名前の呼び方をするのは私だけなので、もうわかったと思います。そうです、私です。

 実はお手紙を書くのは2度目になります。

 『SKE48のへーきん!』、そして今回は生誕祭。特別な場所でお手紙を任せていただけて本当に嬉しいです。

 どうしてこんなに仲良くなったのか私にもわかりません。共通点は同い年で、地方から来てる。それだけでした。

 自然と話すようになり、仕事終わりにご飯食べたりしたよね。

 そして謎に自粛期間などほぼ毎日連絡して、長電話もしましたね。しょうもない話やら将来の話、たくさんしたね。

 それくらい仲良しで、私の中で隣にいるのが当たり前になってました。

 それに一番覚えてる出来事があります。それはですね、結希ちゃんが初めて選抜入りの報告を私に一番にしてくれたことです。

 本当に嬉しくて、これ本人には言ってないんですけど、『ソーユートコあるよね?』のMVを何度も何度も見て、綺麗に映ってる結希ちゃんを見て親のように感動しました。

 今でも選抜に入り続けて頑張ってる姿を見てるととても誇らしいです。

 その分、選抜に入るとまた新しく悩みや壁が出て来ると思います。それに7期生も先輩になってきて、結希ちゃんも先輩になりましたね。そして色々任されることも増えたと思います。

 最近では7期生、ドラフト2期生とかでイベントする時などで背負うプレッシャー、感じますよね。特に結希ちゃんはその中でも最年長で、皆を引っ張って行く立場だからこそ慣れずに不安になることもたくさんあると思います。

 それに同期が卒業していく怖さ、私は知っています。だからこそ、これからも色々なプレッシャーに負けずに結希ちゃんらしくいてください。

 それに頼もしくて優しいファンの皆がいるから安心ですね。髙畑氏なら大丈夫。

 そして、結希ちゃんと一緒にラジオできてること、本当に嬉しいでーす!

 FM香川、はたごん&まりかのじゃんならん。地元香川でラジオできるって知った時のキラキラした表情、私は忘れません。

 それにいつもラジオの時に『谷さんおらなラジオ成り立たん』とか『谷さん助けてくれてほんまありがとう』とか言われるけど、いつも助けられてるのは私の方です。

 また、ぴよすゲストで呼ぼうね。そして『ぴよはたごん』の活動も頑張りましょう。

 君はぽんこつではない、多分。

 いつもありがとう。

 それと香川でいつかじょんラジライブもしましょうね。

 たにまりより」

 手紙の中に出てくるじょんラジはこれだ!



 いやあ、いつまでも聴いてられるラジオですね。
 全員、声が良いですしね。
 これから聴いていきます(今回の記事で初めて知りました。勉強不足でお恥ずかしい限りです)。
 鎌田さんの手紙でも登場しましたが、ファンの方との絆を谷も感じていますね。


 さて、はたごんのセンター曲で「人生の無駄遣い」という曲があります。

 彼女はこの曲のことをブログの中で2回ほど書いています。

【高畑 結希】SKE選抜コンサート!カッコいいSKE!カッコいい私! | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

【 高畑結希 】がSKE48で一番思い出が深い楽曲 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 人生を出し惜しみせずに楽しんでいく姿。
 きっと彼女が様々なことにチャレンジしている姿にいつかの彼女のように、心を動かされている方もいるかも知れません。
 コロナ禍の生活の中でのギネスチャレンジ。
 今年はほめらレシピ。
 まだまだ、彼女は自分の新しい可能性を追い求めていくことでしょう。

【2022年もよろしくお願いします!】高畑結希 | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 でも、きっと根源にあるのは、こういうことかもしれません。

【高畑 結希】誰かの毎日に必要な存在に♪ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)

 飾らないですが、生活が少し豊かになる感じがして素敵です。

 最後に石川善樹さんの言葉をもう一度引用して終わりましょう。

「自分よりも大切なものを見つけてください」

 明日からもあなたが大切なものを「推す」日々が豊かでありますように。