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2021年9月12日日曜日

次の塁では、誰が待つ?

君が出会う度に

 

 アメリカのメジャーリーグのチーム、オークランド・アスレチックスの再生をテーマにした「マネーボール」という映画をご存じでしょうか?
 チームにお金がないことで、GMのビリー・ビーン(演じるのはブラッド・ピット)はお金をめちゃくちゃ持っているヤンキースなどの人気チームとの差を埋めるための手段を探すことになります。しかも、打率が高い選手や人気選手が続々と流出している状況。
 チームとして危機に直面したビリー・ビーンは、統計学から選手選びや戦略を考えようじゃないか、という「セイバーメトリクス」という統計学的理論を用いる男と出会います(暇な缶詰工場の夜警の方が考えた理論というから、学会だけでなく在野にも凄い人はいるんですよね)。
 さて、「セイバーメトリクス」には見た目や評判、キャリアなんかは関係なく、出塁率を中心に見て行くことで、選球眼がめちゃくちゃ良い人を選んでいきます。そうすることで、思わぬ才能たちをチームはスカウトしていくことになります。これは当時の野球界では思わぬパラダイムシフトになったようで、導入当初こそ負け続けましたが、そこから逆転劇を繰り広げて行きます。
 脚本は「ソーシャルネットワーク」等でお馴染みアーロン・キーソン、監督はベネット・ミラーです。

 ※予告はこちら!



 さて、この映画を観ながらふと、「うわあ、周りがスター選手だらけで、人気選手が抜けた中で再生していくのって、SKE48がこれから迎える状況じゃない?」と思いましてね。
 アイドル界だけで言えば、48時代から46時代に変わり、エンタメ市場でいえば、ここ数年で10代から20代を中心にVチューバ―人気が盛り上がりを見せています。
 ううむ、これからSKE48が再び再浮上を目指すか、小規模ながら幸せな停滞を目指すかは、書き出したら長くなるので、いつかnoteの方に書くとして、これからの人材に注目していきたいと思いましてね。
 その時に、「マネーボール」の中で登場した出塁率って何に当たるのか、ということなんですよね。
 内側で言えば握手券の売り上げかも知れません。外側で言えばメディアへの出演になるでしょうか。ホームランが、須田亜香里のような多くのメディアに出ることで「世間」への接続ではないか、と僕は考えています。ちゃんと固有名詞になっていくことではないかと。
 でも、今のSKE48を取り巻く状況は、なかなかホームランを打ちにくい状況です。
 そうなっていくと、堅実にヒットを打っていくしかありません。
 出塁率を上げて、ヒットを狙う人材…。
 皆さんは誰の名前が思い浮かんだでしょう?
 思い浮かべた名前の中にこの人の名前はあったでしょうか。
 
 大谷悠妃。

 なんで、彼女なのか。
 キャッチフレーズからの強引なこじつけじゃないのか?
 ふふふ、その通りですよ。
 でもね、このページを閉じる前に、少しだけゆうゆについて考えてみませんか?

 彼女の人となりについては、「天才」という言葉がよく登場します。
 なにせ、ゆうゆ自体が自分のことを「天才」と言ってますしね。
 で、その文脈で面白がるのは、大いに結構ですし、僕自身も「1たす1は2じゃないよ!」の古畑奈和ちゃんとの回は、本当に好きなんですが、一旦、そこは置いておきましょう。
 2018年8月7日に行われた彼女の生誕祭での手紙を読んでみましょう。

 ゆう14歳のお誕生日おめでとう。手紙書くって言ったら『お仕事行ってくるね』とか『何時に帰ってきます』くらいだから、何を書いたらいいか分からないけど、書いてみるね。

 ゆうちゃんへ。
 あらためまして、お誕生日おめでとう。去年、ゆうの誕生日には全く想像していなかった、大谷家だけのアイドルが本当のアイドルしてることが、今もまだ不思議です。

 去年の年末は、本当に大丈夫かなって何度も思ったよ。ドラフトの合宿、家を出る時から泣いちゃって、ママが『つらいなら行かなくてもいいんだよ』って言っても、途中で諦めることが大嫌いなゆうは、一人でちゃんと電車に乗って合宿参加していくこと、ママはいまでもふと思い出す時があります。よく頑張ったね。でも、その合宿がゆうを一回りも二回りも大きく成長させてくれて、本当に素敵な仲間にも出会わせてくれて、本当に貴重な経験をさせてもらったよね。今では本当に素敵な思い出だよ。

 いつの頃か、写真撮られることも嫌いなのか、苦手なのか、逃げ回っていたことをすっかり忘れてしまうほどに、今、何事も楽しんでいる姿を見るだけで、ママはとっても幸せです。

 ゆうは、まだまだいっぱい覚えることもあって、大変なこともあると思うけど、先輩やスタッフさん、そして、ファンの方を大切に、常に感謝の気持ちを持って過ごせるといいなと思っているよ。ママも皆様には感謝しかありません。そして、ママは全力でゆうのサポートも頑張るからね。これから過ごす14歳のゆうが、幸せで満ち溢れていますように。
ママより」

 ううむ、最初はやはり不安との戦いから始まったんですね。
 そして、出会った「本当に素敵な仲間」。
 僕はパッとドラフト3期生の仲間たちが思い浮かびました。
 中でも、平田詩奈さんと組んだ「ハニシス」は」印象的でした。
 少し、個人的な話をすると、平田詩奈さんがマラソンにチャレンジした記事を書いた時に、このイベントについて色々と調べていたんですが、ゆうゆがわざわざ応援に来てくれていたというエピソードが大好きでしてね。

 


 「番人」というワードセンスが素敵ですが、 同期の為に動けるところが本当に素晴らしいです。
 平田さんに対しては、「素を出せる場所」とも語っていますね(余談ですが、二人の『禁じられた二人』を公演で観たかったですね。『賛成カワイイ!』のダブルセンターとかも)。



 しかし、彼女の優しいお姉さんとは別れの日がやってきます。
 2021年3月26日に行われた平田詩奈生誕祭の手紙を読んでみましょう。

「しぃちゃんへ

 卒業おめでとう。

 しぃちゃんとは、一緒に色んなことをしたから、思い出がたくさんあります。
 ハニシスってコンビ名を付けてお仕事一緒にさせてもらったり、映画観たり、ただ話したり。その全部の思い出は笑顔になれることばかりで、つらいことや悲しいことは一切しぃちゃんから聞いたことがなかったです。

 けど2年前、しぃちゃんの生誕祭でしぃちゃんママからの手紙を聞いた時、家でも弱いところを出さないしぃちゃんがたまに小さなことで号泣してる時があると聞いて、その時の自分も今の自分も凄く力不足だったなって思います。


 いつも助けてもらってばっかでごめんね。そしてありがとう。

 

 これからは何かあった時、しぃちゃんみたいに話を聞ける人に頑張ってなるから、いつでも呼んでね。でも勿論ゆうは何も無くても呼びます。


 ゆうはゆうの同期がしぃちゃん、にしぴ、らぶりんで良かったって凄く思います。色々バラバラなのに一緒にいると落ち着いて心強かったです。


 2人が卒業して、ゆうとらぶりん二人になってもドラ3の妹枠は継続する気満々だよ(ハート)

 これは昨日にしぴにも伝えたんだけど、ゆうはしぃちゃんが大好きだから、しぃちゃんの家族も大好きです。ママからの手紙はゆうも隠れて泣いてました。


 本当にいつもありがとう。出会えて良かった。

 大好きだよ。

 ハニシスは永遠。

 同期もずーっとずっーと永遠だよ。


 平田家、西家、中野家の次女・SKE48チームS 大谷悠妃」


 「次女」というワードセンスがまたもや素敵ですね。
 大好きな平田さんと触れ合いながら「話を聞ける人」という目標を見つけて行きます。
 同期でもあり、一番近くで優しさを分けてくれるお姉さんでもあったのかもしれません(ラジオでは、ゆうゆの方が実はしっかりしているのでは、というところもありましたね)。

 さて、彼女が出会った「素敵な仲間」は平田さんだけではありません。

 たとえば、先輩。
 翌年の生誕祭(2019年7月29日)で北川綾巴からの手紙を読んでみましょう。


「ゆうゆへ


 15歳おめでとう。
 まだ15歳なの?
 若い!
 ビックリ!

 そんなことはさて置き、この1年はどうでしたか?

 チームSではたくさんのお姉さんに囲まれて、可愛がられて妹的な存在のゆうゆだけど、中身は変に大人で、ちょっと生意気で、自分のこと可愛いってわかってるなーって、そんなところも含め愛おしくてたまりません。

 何て言うのかな?
 ゆうには他の人とは何か違う魅力的なものを感じます。

 ゆうゆがチームS公演に出演し始めてすぐの頃、表情カチカチで笑顔もぎこちない姿を見て、『大丈夫かな?』って凄く心配でした。
 チームSの中に急にポンって入って、きっと近くに頼れる人だったり、心許せる人がいなくて一人で不安になることもあったよね。


 周りを見て下さい。
 ゆうのそばにはたくさんの先輩がいて、皆ゆうのことが可愛くて仕方なくて、いつだって話を聞くし、何でも相談に乗ります。だから頼ってね。

 最近ではニッコニコの笑顔でアイコンタクトをしてくれるゆうゆを見て、ほっと安心します。


 MCとかラジオもグングン成長して、『大谷のしゃべりはいいよ!』って言葉をよく耳にするようになり、なんだか誇らしい気持ちになります。

 でもね、どんな時でも今の状況に満足しちゃダメ。今はまだ目の前のことに精一杯で、周りを見る余裕がないと思うけど、全部にがっついて、学び、吸収して、大きくなるんだよ。

 ゆうはまだまだできるはず。その可愛いルックスをたくさんの人に振りまいてメロメロにさせちゃえ!ゆうゆならできるよね。

 きっと私が見てない間にグーンと成長するんだろうな。そんな姿が見れることを楽しみにしています。

 最後に。私に手紙を書かせてくださり、ありがとうございます。ゆうの成長をこれからも見守っていてあげてください。

 ゆうにとって笑顔いっぱいの1年になりますように。

 チームSに来てくれてありがとう。

 綾巴より」


 ううむ、チームSに昇格したばかりの頃のゆうゆの姿と優しく声をかけてくれた、綾巴の姿が目に浮かぶようですね。この年の生誕祭で、ゆうゆは目標を見つけることを語ります。目標をみつけることで手段はあとでついてくるとも。
 リーダーであり、優しい先輩であった綾巴は、ゆうゆに先輩のロールモデルとなっていったのではないかと思います。
 ゆうゆにとって大事な人は、この2か月後にSKEから卒業します。



 
 年齢の問題があって、全部のコンサートや公演に出れないこともありました。
 それでも、成長とともに彼女の出番は増えて行きます。
 彼女の出会った人の中で、上村亜柚香も重要な存在です。
 公演のユニットで「あゆうゆ」で披露する「ここで一発!」。
 須田亜香里、松村香織という3期生のコンビの「これまで」のドラマを連想させる歌詞を「これから」の二人が歌うというのは、とても冒険ですが、歌詞に二人が次第に追いついていくのではないか、と思います。
 ちなみに、この二人の関係性では、このツイートが非常に印象的です。



 長い視線で見た時にこの二人が、チームSのリーダーシップを担っていく日もやってくるのでは、と思います。
 同期や多くの先輩たちの優しさから学び成長していくゆうゆ。それは彼女の趣味である読書やドラマの鑑賞も関係してくるかも知れません。多くの良き出会いが、彼女を本物の天才にしていく。
 

 野球で出塁したバッターは守備の選手とすれ違いながら、前に進んでいきます。
 野球の塁は3つだけですが、アイドルの塁はもっと沢山あるのではないかと僕は考えます。
 時には、次のバッターのヒットが出ずに前に進めないこともあれば、思わぬアウトが続いてホームに帰れないこともあります。
 涙と不安の中、ホームを出発した彼女が、今、何塁にいるのか。
 そして、ホームに帰ってくる時、どう成長しているのか。
 今から楽しみです。 

※カミングフレーバーとしてのゆうゆについては、今回触れていないので、また、機会を見て書きたいと思います。

平田さんのマラソンについての記事はこちら!

栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 平田詩奈の走り方 (oboeteitekure.blogspot.com)