また守ることと戦うことジレンマは終わらない 元サッカー日本代表の鈴木啓太さんは、現在、アスリートの腸内環境を研究開発する企業の経営者をしています。恥ずかしながら、サッカーはあまり詳しくはないんですが、あるビジネスサイトで彼の紹介があってから、彼のことが気になり始めました。 彼のyoutubeチャンネルをチェックしていると、中村俊輔選手との対談動画がありました。 その中で、オシムジャパン時代の話が出てきまして、オシム監督が求めるものとして、「水を運べる人」という表現が登場します。
簡単に言葉の意味を説明すると、「点を取るために献身的に守備に周って相手のボールを奪い、パスの出し手になる選手」であるということです。 いや、そんなことかよ、と思われるかも知れませんが、鈴木啓太さんと中村俊輔選手の対談を聞いていると、一番フィールドで動かなければいけないし、ベンチでも選手を鼓舞できる存在、チームのカラー作りにも重要になってくるということが見えてきます(実際に中村俊輔選手の話を聞いていると後々のキャリアにも影響しているのではと感じます)。
SKE48の歴史の中で「水を運べる人」と言うと、皆さんは誰を思い浮かべるでしょう? 僕が思い浮かべたのは、7期生の片岡成美さんでした。 彼女といえば、劇場公演でのスクランブル出演を思い浮かべる方が多いかも知れません。選抜メンバーたちが外のメディアで活躍する中、劇場公演という秋元康の言葉を借りるならば「戻れる場所」をずっと守ってきました。彼女がいるから安心して攻めていける。もし、トラブルがあっても彼女が助けてくれる。そんな頼もしさが彼女にはあったのかも知れません。 しかし、それはまだ表層的な理解のような気がします。 彼女のことを理解していく為に、公式ブログを洗おうと思ったんですが、残念なことにもう残っていません。 そこで、メンバーの目から見た彼女の姿をヒントに考えていくことにしました。
まずは、2018年3月16日の彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。
「なるぴーへ
お誕生日おめでとう。
まさか、私がお手紙を書かせてもらえるとは思ってなかったし、なるぴーもビックリすると思います。
でも、きっとなるぴーのファンの皆さんがなるぴーのことを思いながら決めたことだと思うので、私も思いを込めてこの手紙を書きます。
なるぴーは歌もダンスもしっかりできて、普段はとっても静かで、大人しくて、お利口な子の印象です。よく言う、手のかからない子って感じかな。
急なアンダー出演にもよく遭遇してるけど、しっかりとパフォーマンスする姿は頼もしいなと思っています。
ただ一つ、とても気になっていることがあります。なるぴーがチームK2に昇格してどんな思いでいるのか、凄く気になっています。
大人しいし、人見知りなのかな。あまり自分から先輩に話しかけるタイプではないのは凄くわかるから、賑やかな先輩が多いチームK2でどんな風に輪に入ったらいいのかなって、もしかしたら思ったりするのかなって。
よくファンの方にも『なるぴーをよろしく』『なるぴー大人しいからたくさん話しかけて』と声をかけられます。私が話しかけてみると、いつも返ってくる言葉は『はい』まだ遠慮がちなのかな?って思いました。
でも、そんな『はい』しか言わないなるぴーが少し前に公演でちょっかいをかけたら無邪気な顔を見せてくれました。それからは目が合う度に思いっきり笑ってくれるようになった気がしてます。私にはそれが凄く嬉しいです。
正直、私はあんまり自ら後輩に声をかけません。先輩から声をかけるのは簡単だけど、後輩自ら勇気を出して絡みに行くのがその子自身のためにもなるって思うの。私も先輩に話しかけられなくて、たくさん後悔したからこそ思うことです。
だから、K2に昇格してきた後輩は基本、そんな感じで来るのを待ちます。こっちゃんやあやめろもそう。二人も最初大人しかったけど、今ではたくさん喋ってます。だから、なるぴーにも自分の殻を破って、頑張って先輩に自分から絡んでほしいと思う。
いきなりは難しいと思う。
そんななるぴーに朗報。
チームK2はプライベートで遊ぶこともあるチームです。去年の春にはピクニックに行きました。だから、今年もピクニックに行こう!
みんなで担当を振り分けたりして、ご飯持ち寄って、鬼ごっこしたり、ドッチボールしたりして1日を過ごすの。だから時間をみつけてみんなで行こうね。
人数の多いチームK2は時には競争しなくちゃ勝ち取れない椅子があります。ポテンシャルが高いなるぴーには闘争心を持って頑張ってほしいです。
自由に楽しむなるぴーの姿が見れるのを楽しみにしてます。
お誕生日おめでとう。
チームK2リーダー・大場美奈より」
大場美奈という人は、本当に観察力や洞察力が高いなと思わされる手紙ですね。 新しく来た仲間にウェルカムの態勢を作り、彼女が先輩たちにアプローチしやすい環境を作ろうとしているのが、手紙からも分かります。
この大場美奈の姿勢は、すぐになるぴーにも浸透していきます。
それが分かるのが、2018年11月8日に行われた8期生の大芝りんかへ送った手紙です。
「りんかたんへ
お誕生日おめでとう。
SKEに入ってから好きになった先輩や、どんな先輩になりたいかというMCのお題で私の名前を挙げてくれたことがあるりんかたん。こんなコミュ障代表みたいな私をフレンドリーな先輩だと言ってくれるのはりんかたんだけです。
出会ってもうすぐ2年。入った時期は違うけど、一緒に研究生として活動してた時に仲良くなって、昇格した今、K2の中では一番一緒にいる時期が長いよね。
何事にも積極的というわけではないけど、常に自分の考えを持っていて、周りに流されない、意外としっかりしてて、行動もある、まだちょっとよくわからない部分もあるけど、言葉では表しがたい魅力をたくさん持っているメンバーだと思っています。
昇格したばっかりの時は絶対不安でいっぱいだったと思うけど、最近二人で「K2楽しいね」って話せるぐらいになったよね。
先輩が可愛かった話とか『今日この先輩と写真撮った』とか『この曲で、ここでこの先輩と絡んだ』とかお互い報告し合う時間はとっても楽しいし、りんかたんが楽しそうにしている姿を見るのも私の人生の楽しみの一つです。
昇格発表があった時は私は驚いたけど、今りんかたんが楽しめているのは他の何でもなく、りんかたんの努力の結果だと思うし、素直に尊敬しています。
りんかたんは覚えているかわからないけど、まだ二人とも研究生だった時、『同期や先輩に言えないことなどもしあったら、よければ相談してください。答えが出ないこともあるかもしれないけど、りんかも一緒に悩みます』って連絡してくれたことがあったよね。私はそれが今でも忘れられません。
私もりんかたんが困った時は支えたいです。 もっと私を頼ってほしい。
K2の8期生はもうすぐりんかたんだけになってしまうけど、私が同期のような一緒に安心できる存在になれるように頑張るね。
今回お手紙を書かせてくださった生誕委員の皆さん、ありがとうございました。
素敵な1年になりますように。
片岡成美より」
研究生時代に自分に苦楽を共にした後輩へ、今度は先輩として「もっと私を頼ってほしい」と語れる態勢が彼女の中に生まれていったのではないかと思います。 そして、研究生だった8期の後輩たちからすれば、7期で研究生に残った先輩たちは、先輩という要素だけではなく、どんどん先にアンダーに出て結果を出していくロールモデルだったのではと僕は思います。
もう一通、8期生の後輩になるぴーが送った手紙を読んでみましょう。 2018年10月17日の石黒友月の生誕祭で読まれた手紙です。
「ゆづへ
15歳のお誕生日おめでとう。
ゆづにとってこの1年はどんな1年でしたか?
ライバルでもあり、仲間でもあったメンバーの卒業が続き、きっと不安な気持ちでいっぱいだったよね。
『青春ガールズ』公演の他に各公演のバックダンサーや一人MC、ときにはアンダーにも出演し、必死にポジションを覚えてる姿をよく見かけたので、チームSへの昇格が決まった時、私も自分のことのように嬉しかったです。
でも最近はゆづを見て、色んなことを感じています。昇格したからには遠慮せず、でも初心を忘れず、正規メンバーとしての自覚をもっと持っていってほしいっていうのが本音です。
ゆづはもっともっとできる。ずっと近くで見てきた私が言うんだから間違いないです。
SKEに入って来たばかりの時、なかなか研究生公演に出れなくて悔しいはずなのに、毎回見学に来て、反省会では意見を言ってくれて、ケータリングは出演メンバーじゃないからってどれだけおかずが余っていても、みんなが何回も『食べなよ』って言っても白米だけを食べて帰って行ったゆづ。あの時のゆづがとってもかっこよくて、私は好きでした。
先日行われたリバイバル公演や昇格してからのS公演でたくさんの先輩にアドバイスをもらったと思います。
もし、今の自分に満足してるなら、それは間違ってるよ。同期も多くて公演に出れる機会も多いチームだからこそ難しいかもしれないけど、楽しんでるだけじゃ簡単に上には行けないと思う。
選ばれたことに感謝することと、選ばれたことに満足するのは全く違うこと。ときにはキラキラスマイルを忘れることがあってもいいんじゃないかな。
頑張ったかどうかは自分じゃなくて、他人が決めること。私もそうだけど、自分が思ってる以上にもっともっと努力しないといけないと思います。
ライバルであり仲間。そう言えるようなメンバーがチームSでもたくさんできたらいいね。
私もゆづに負けないように頑張ります。
今回お手紙を書かせてくれた生誕員の皆さん、ありがとうございます。
入ってくる時期も年も違って、一緒に研究生として活動する期間も短かったけど、今も気づけば一緒にいて、色んな話が出来る関係でいられてとても嬉しいです。
改めてお誕生日おめでとう。素敵な1年になりますように。
チームK2片岡成美」
昔からSKE48を応援している方なら、ハッとする言葉が手紙の中に隠されていたんじゃないでしょうか? そう1期生のあのメンバーの言葉ですね。 石黒友月という人のポテンシャルを傍で見ているからこそ、まだまだ共に頑張ってほしい、そんな思いが伝わってくる素敵な手紙です。 後輩たちの活力になるようなメッセージを送れる彼女ですが、そんな彼女を見ていて、同じようにポテンシャルを感じ、「劇場」からその才能を飛び出して戦ってほしいと願うメンバーもいました。 4期生、都築里佳です。
2019年3月14日に行われた片岡成美生誕祭での手紙を読んでみましょう。
「片岡成美ちゃんへ
まずは16歳のお誕生日おめでとう。
そして15歳の1年はどんな1年でしたか?きっと今まで以上に色んなもどかしい思いをしてきたんじゃないかな。そんなたくさんの思いが溜まりに溜まって出た言葉。
『何かきっかけがないと劇場だけの人から抜け出せない』
なるぴーがそうブログで綴っていたのを見た時に昔の自分と何か重なる部分が見えました。
正直なるぴーみたいに他のチームの公演のサポートメンバーとして出演し続けていたり、たくさんのスクランブルをこなしたりしてきたわけではないけれど、私もずっと劇場だけの人でした。
歌って踊ることが好きで、SKEに入ったし、正直昔は1チーム16人制だったし、今よりチームでの公演も多かったからそれで満足してた時もあった。
だけど、そんな中で他の同期や後輩が色々なことに選ばれたりしていて、それが本当に悔しいのにどうしたらいいのかわからなくて心の中でずっともがいているような日々でした。
だけど、そんな中で他の同期や後輩が色々なことに選ばれたりしていて、それが本当に悔しいのにどうしたらいいのかわからなくて心の中でずっともがいているような日々でした。
そんな過去の自分と重なるこそなるぴーに言いたいことがあります。なるぴーはSKEのメンバーとして何がしたいですか?将来こうなりたいという明確なビジョンはありますか?何かから抜け出すにはもちろんきっかけも必要だけど、自分が何をやりたいのか、そしてどうなりたいのか明確に意思を持って言葉にして行動することが大事なんじゃないかなと私は思います。
劇場だけの人から抜け出したいなら劇場以外の物事で『片岡成美と言えば』というイメージを持たせられるようにしなくちゃいけない。私の場合はそれが声優で、何を言われようとも、何度叩かれようともずっと諦めずに『声優になりたい、声優のお仕事がしたい』という言葉にし続けていたから私は声優のお仕事のチャンスをファンの方と一緒に掴み取ることができた。1度だけじゃなく2度も。だから、なるぴーも『片岡成美=これ』っていうのをしっかりと見つけてほしい。
そして、そのために何をするべきか、しっかり見極めて、見定めて、これからのSKE人生を歩んで欲しいです。
簡単なことじゃないし、言ったところでって不安に思うかもしれない。けど、それをみつけること、行動に移すことが現状を打破するきっかけに必ずなるし、何よりもなるぴー推しのファンの方は絶対にばるぴーの言葉をちゃんと聞いてくれるし、ちゃんと見ているよ。
だから、絶対に諦めないで。あなたはここで腐っていい人ではありません。今までしてきた努力、悔しい思い、そして何よりなるぴーのことを応援してくれているファンの方の声援やパワー全部をこれからの活動への原動力に変えて、16歳の1年気持ち新たに前を向いて突っ走って欲しいです。
頼りにならないかもしれないけど、何かあったら話聞くからいつでも連絡してね。
なるぴーが更に輝ける1年であることを祈っています。
本当に大好きだよ!
4期生なのになるぴーにいじられ呼び捨てにされるぴよすこと都築里佳より。
P.S
今回私にお手紙を書く機会をくださった生誕実行委員会の皆様、本当にありがとうございました。
なるぴーのこと、絶対に支えてあげてくださいね。」
ぴよすが綴った「あなたはここで腐っていい人間ではありません」という言葉の重み。 当時、同じことを僕も感じていました。 どうか、彼女には報われて欲しい。 その為にも選抜メンバーのように外で勝負するチャンスを、運営は彼女に与えて欲しいという思いもありました。個人的には、大喜利が強そうと思っていました。
2019年12月15日、彼女はSKE48からの卒業を発表します。 しかし、ここから運命の悪戯が彼女にふりかかってきます。
そう、新型コロナウイルスによるSKE48自体の活動の休止です。
ですが、彼女はこの停まっている時間も無駄にはしません。 秘書検定の取得をめざします。
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決して止まらずに前に進み続ける姿勢。それは、他人の為に運んでいた水を少しずつ自分の為に運び続けてきたのもあるかも知れません。
2021年1月19日に行われた彼女の卒業公演では3枚の手紙が読まれました(本来は2020年12月29日を予定していましたが、延期)。 先輩、同期、後輩という3名からの手紙で、なるぴーが期を超えて愛されていることが分かります。
まずは、後輩である坂本真凛ちゃんの手紙から。
「なるぴーさんへ
私がなるぴーさんと初めて出会ったのは、まだお互いがSKEに加入していなかった6年前。趣味の話をするアプリで『SKE好きな人話しましょう』という話題に飛びついてきたのがなるぴーさんでした。
その頃知り合っていたことはSKEに入ってから後に発覚したことだけど、こうしてなるぴーさんと出会えていたのは必然的なことだったのかなと思います。
なるぴーさんは後輩のことを凄く気にかけてくれていて、一緒に研究生公演をしていた時に先輩だったほののさん、愛菜さんと3人で色々なことを教えてくれました。
早々と昇格した同期もいたのに私はアンダーとしてなかなか公演に出演することができなかった頃、当時研究生だったメンバー数人に『スタッフさんからこう思われるてるからこうした方がいいよ、やればできるメンバーだと思うから伝えているんだよ』というようなことを連絡してくれた時がありましたよね。
いつもただただ騒いで一緒に馬鹿なことばかりやっていたので、こんなに後輩のことを見てくれていたんだなって凄く嬉しかったし、公演にたくさん出演しているなるぴーさんからの言葉だからこそ凄く心に響くものがありました。
それから一緒に公演に出演し、行動を共にする機会が増えるにつれどんどん仲良くなっていて、毎日メールを送ったり、電話をしたりしましたね。
その話の内容は『映像倉庫のここを見て!』とか、ほとんどがSKEを中心としたAKBグループのことばっかり。今思うと6年前と何も変わってないね。
今まで出会った人の中で私にとってなるぴーさんは一番何でも話したくなる存在で、なるぴーさんと出会えて私は本当に幸せです。
なるぴーさんはグループを離れることになるけど、新しい道に進んでもなるぴーさんらしさを忘れずに真っすぐ頑張ってください。
おばあちゃんになっても一緒に喫茶店でモーニング食べようね。
卒業おめでとうございます。
坂本真凛より」
先ほどの8期生二人への手紙を含めて、後輩達へなるぴーが与えた影響は大きかったのではと思います。それは本当に表には出にくいメンバー間で共有されていることで、こうして手紙として残っていることで、僕らはその関係に間接的に触れることができます。 きっと僕らが知らないなるぴーの活躍がまだまだ眠っているのではないか、と思います。
次は、同じく2021年1月19日の彼女の卒業公演で読まれた末永桜花さんからの手紙を読んでみましょう。
「なるぴーへ
約6年間本当にお疲れ様でした。
一緒に活動を続けていく中でなるぴーからは本当にたくさんのことを学びました。
加入当初のなるぴーは同期の中で当時中学生だったメンバーと若い子グループにいたのでほとんど接する機会はなかったけれど、数か月後に開催された選抜総選挙のリハーサル期間がきっかけで1日で驚くほどに心の距離が縮まり、お互いのホテルの部屋を行き来するぐらい仲良くなったことを今でも忘れません。こんなに仲良くなれるなんて想像もしてませんでした。
なるぴーは加入当初から自分が今何をするべきなのかをしっかりと理解していて、同期の中でも早くからバックダンサーやアンダーとしてたくさん活躍をし、シアターの女神として劇場でキラキラと輝き、頑張っている姿はとても素敵で、『私も頑張ろう』といつも思わせてくれました。
あの頃二人で一緒に公演に出演することがお互いの目標のひとつでしたね。
なるぴーが私に『こことここを二人で覚えれば一緒に出られるかも』などと色々と考えて教えてくれて、どちらが年上かわからないぐらいしっかりとしていて、ある日私が困った時に颯爽と現れてスカッと解決してくれた日のことを一生忘れません。
どんな時も変わらない態度で接してくれて、励ましてくれて、信じていてくれて、本当になるぴーは私の大切な恩人でもあります。
7D2としてAKB48シアターにて出張公演が決まった時、そのステージに私たち二人は立つことができず、出張公演の当日に『今頃みんなAKBの劇場で公演をしているんだよね。私たちも出たかったね』と連絡を取っていましたね。
あの時は本当に悔しくて、悲しくて、『二人でもっと頑張ろう』と励まし合いましたね。
そして研究生公演の時も私たちは固定メンバーではなく、2回に1回しか出演ができない交代制のメンバーだったので、同期でのライブイベントにもどちらかが欠けていることが多く、なかなか一緒に出演することができなくて一緒に悔しい思いをしたけれど、でもなるぴーはそこで諦めず、頑張っていたのを私はずっとそばで見てきたからこそ私も一緒に諦めずに頑張る力をもらうことができました。
どんな時でも自ら『やります!覚えます!』と挙手をしたり、様々なことに挑戦していく姿はとてもかっこよくて、一生懸命前に進もうとするなるぴーは本当に強くて素敵だと思ってました。
本当に尊敬できる大好きななるぴー。あの頃の様々な経験は確実に私たちを強くし、今なら『あの頃の経験は無駄ではなかったね』と笑いながら話すことができるようになりましたね。
そして、舞台AKB49の時、たくさんアンダーに出演させていただけて、その月1ヶ月全ての『ラムネの飲み方』公演に出演することができて、『全部一緒に出演できたね』と一緒に喜んだ日のこと、今でも素敵な思い出です。
今も昔も変わらない態度で接してくれて、真夏の暑さや真冬の寒さも忘れるくらいひたすら二人で笑いながら、一緒に歩いて帰った時間は本当に楽しくて大好きな時間でした。
そして、今年の初めに私のソロコンサートに出演してもらうことが決まった時、なるぴーの出番のレッスンは先に終わっていたにも関わらず、ずっと私のリハーサルが終わるまで夜遅くまで一人でそばで見守ってくれたこと、本当に嬉しくて心強かったです。
一人でとても心細かっただけにその場にいてくれるだけでもそれだけでは終わらず、その日に泊まったホテルでもお部屋まで来てくれたたくさんお話をしてくれましたね。
あの時期、なるぴーにはチームK2での大富豪ライブもあり覚えなくてはならないことが沢山あったのに、その大変さを私には一切見せずに私のことを支え続けてくれたなるぴーの大きな優しさは今でも感謝しかありません。
なるぴーは私がどんな状況の時でも変わらずに仲良くしてくれた数少ない大切なメンバーです。
ずっとそばで支えてくれたなるぴーには、一言で言い表せないくらい感謝の気持ちでいっぱいです。
なるぴーと私はチームが違うため一緒に活動をする機会が減ってしまいましたが、それでも仲良くしてくれて、色々誘ってくれたり、連絡を取り続けて一緒にお出かけできる仲でいられて本当に私は幸せです。
こんな私と仲良くしてくれて、たくさん支えてくれて、本当にありがとう。
SKE48を卒業してもずっとずっと変わらず仲良しでいられたらとっても嬉しいです。
今回私にお手紙を書く機会をくださったなるぴーぽーの皆様、本当にありがとうございました。
なるぴー、約6年間本当にお疲れ様でした。なるぴーと同期として出会えたこと、一緒に活動できたこと、本当に幸せでした。
なるぴーが卒業したこれからの未来が明るく幸せに満ちた人生でありますように。
SKE48チームE・末永桜花より」
ちなみに、この日のことを書いたおーちゃんのブログも良いのでこちらも合わせてどうぞ。
どちらも読んで、僕は思わず号泣してしまいました。 映画「アルプススタンドのはしの方」という野球のスタンドで行われる映画に登場するすぐには報われないとしても「しょうがない」と諦めずに、努力を続けることで未来は変わるということを思い出しました。 そして、おーちゃんのソロコンサートを成功させる為によりそうなるぴーの姿勢が本当に素敵ですね。SKE48という青春を走り抜けた者同士だから分かる悔しさや嬉しさの積み重ねが、手紙に表されていて好きな手紙の一つです。
最後に紹介するのは、最初に紹介した手紙を書いた大場美奈です。 「手のかからい子」という印象だったなるぴーは、どう変化していったのか、どう成長したのか、みなるんの言葉で比べてみましょう。
「なるぴーへ
卒業おめでとう。
なるぴーが卒業を決めた時から随分と時間が経ってしまいました。
でも、その間もなるぴーはSKE48のために率先してSKE48を支えてくれようとしていたこと、知ってます。私が言うのはおかしいけど、本当にありがとう。
正直、卒業発表から時が経っているから、このままなるぴーはSKE48にいるんじゃないかなって途中から思い始めていたけど、卒業公演でこの手紙を読んでいるってことは本当に卒業する日が来たんだね。
口数が多くないなるぴーだけど、楽しいことが大好きで、話すことも大好きで、いつも私たちがうるさくしている楽屋に一緒にいて、バカみたいなことをしている私たちを見て楽しそうに笑ってるなるぴーを見るとなんだか安心します。
いつも挨拶を絶対しようって決めてるからか、江籠ちゃんに連れて来てもらって挨拶してきたり、不思議なタイミングで挨拶してくるけど、必ず挨拶しようっ思ってるんだなって伝わってくるから私は凄く嬉しかったよ。ありがとう。
なるぴーといえば劇場公演。今までどれだけ助けてもらったか私たちメンバーはもちろん、スタッフさんにとってもなるぴーだからこそ任せられるって皆が頼りにしてました。
でも、それってなるぴーにとっては負担だったかなって。どんなに先輩だってつらくて泣いたりするけど、なるぴーは泣いたり弱音を吐く姿を全然見せたことがないから大丈夫かなって。仲のいいメンバーには見せられていたのかな?どっちにしてもなるぴーがステージ裏で努力して頑張ってくれたからK2だけじゃなく、SKEの公演が支えてもらえていたなと思います。
公演って凄く楽しい分、大変なこともいっぱいあります。それを1時間前に寝てたの起こされて呼ばれて新ポジ出たり、普通のメンバーじゃ怖くて絶対できないことを頑張ってくれてました。
なるぴーが努力して積み上げてきた信頼は他の人が簡単に真似できるレベルじゃありません。なるぴーのような存在にはなりたくてもなれません。10年以上やっている私も絶対にかないません。
この先、つらいことがあった時はここでのことを思いだしてみて欲しいです。1時間前に来て新ポジ覚えて、この劇場を満員のファンの人達を不安な思いにさせず楽しい思いにさせられることができる子が片岡成美です。今までやってきたことを誇りに思って、自信に変えてください。そしたら努力ができるなるぴーは何でもできると思います。
離れるのは寂しいけど、なるぴーがやりたいことをやって、幸せだって思えることが一番です。
SKE48に入って出会えた私たちは一生の仲間です。何か困ったことがあったら私たちを頼ってね。
なるぴーがこれから先、幸せになれることを願ってます。
そしてSKE48に来て、チームK2に入ってくれてありがとう。
チームK2リーダー・大場美奈より」
「信頼」、なるぴーを表す時にしっくりくる言葉があるとしたら、これかも知れません。 彼女なら安心して任せられる、彼女なら挑戦してくれるはず、何故ならこれまで彼女が乗り越えてきたことを知っているから。 しかし、それはみなるんの手紙にもあるように、彼女にとって「負担」にもきっとなっていたと思います。「信頼」があるからこそ、緊急時も任せられる。でも、それは運営の方にとっては安全ですが、彼女にとってはどうなのか? 卒業公演で踊った「眼差しサヨナラ」や「それでも好きだよ」では、SKE48やファンの皆さんへの別れの気持ちと感謝が込められたセットリストだったのではないか、彼女なりの最後のメッセージではと僕は解釈しています。 彼女が卒業した日、先輩、同期、後輩、様々なメンバーがSNSで彼女への感謝を綴りました。
きっと、彼女が運んだ水が、多くのメンバーの心の渇きを潤していたんだと僕は思います。
2021年12月26日現在、SKE48の劇場公演の人数は元の人数に戻りつつあります。 研究生たちの昇格も決まり、11期生のオーディションも始まります。 これから誰が「水を運ぶ人」になるでしょうか。 そして、「水を運ぶ人」のまま、外に打って出られるように運営の方々がシステムづくりをしていけるでしょうか? 我々はそんなメンバーに何を返してあげられるでしょうか?
SKE48に変革が起き、劇場が再び動きだした年の最後の週末。なるぴーのことを思い出しながら、過ごしたいと思います。