混沌の中にこそ輝く愛
皆さん、2018年のベスト映画は何でしたかね。
僕のランキングは、こちらにあるので、ご確認あれ。
※映画「アイドル」が好きな人は不快になるかもしれないので、ご注意ください。
※映画「アイドル」が好きな人は不快になるかもしれないので、ご注意ください。
まあ、まずはこちらの予告編をご覧あれ。
うーん、「ヒメアノール」の吉田恵輔監督が撮ったということで、ある程度覚悟はしてたんですが、僕は「ヒメアノール」以上に心を揺さぶられましてね。丁度、上の予告のサムネイルになっている場面が凄く好きでね。お金で買った買われたの関係の二人が、それを越えた愛を手に入れていく瞬間だと思います。
もうね、片言で自分の気持ちを語る岩男さんがアイリーンへ自分の気持ちと銀行口座と暗証番号を伝えるところが良くて。ここまで自分を捧げられる相手がいるのか、と考えさせられる映画です。
また、実家の寒村の閉塞感がリアルでね。
母親のツルさんとの関係も、大変でね。
フィリピン人の嫁でアイリーンのことを、言葉が分かってない同士で、まあ悪し様にののしってるんですが、実は、ツルさん時代も旧時代的な慣習の被害者だったんじゃないか、ということが見えてきまして、単純な二元論じゃないと考えさせられました。
さて、物語の後半から、岩男があえてアイリーンに嫌われるようにふるまっていくんですが、映画を最初観た時は理由がよく分からなかったんですが、2回目を観た時に、「そういうことだったのね」と納得しました。
主演の安田顕さんが、見事に「無様が様になる」を体現されてましてね。
なかなか逃れない人間関係や思いに絡めとられながら、自分が選んだアイリーンの為に生きる様は、本当に好きです。終盤はツルさんとアイリーンの気持ちのぶつけ合いが凄くてですね。もう、クラクラしてきます。ツルさん役の木野花さんの代表作がここでまた増えたんじゃないか、と思います。
伊勢谷友介さん演じるヤクザ塩崎の言うことも、この二人の関係の負の面を浮き彫りにして、じゃあ、この問題をどう乗り越えるの?ということを考えさせられる役でした。
主題歌の奇妙礼太郎さんの「水面の輪舞曲」も作品にあってましてね。「愛」ってなんだろうな、ということを劇場の帰り道に感じましたよ。
はっきり言って、家族揃ってとか、デートで楽しくという映画ではないですし、みんながみんな好きになる映画ではないです。暴力や性の描写も容赦がないですし、モラル的にそれはどうなんだ、という描写も沢山出てきます。ただ、そんな世界だからこそ、美しい場面が輝き始めるという、たとえば、あの夜の街でのキスとかね。僕が好きな映画です。
吉田監督のインタビューもあるので、観終わった後に是非!