「たりない」何かを補える人
皆さん、好きなお笑いコンビはいるでしょうか?
僕はオードリーの大ファンで、彼らが「オールナイトニッポン」で語る昔の話や仕事での失敗談に励まされたことも多かったし、若林さんの著作は毎回読むたびに「うわあ、その感覚を言語化してくれたの凄い嬉しい」と思います。最近だとテレビ東京でプロデューサーをしていた佐久間宣行さんの著作でも同じことを感じます(仕事にプレイべートまでは渡さないという発想は自分もしていたことなので、まさに、と感じました)。
そんな若林さんがテレビ番組の企画で、南海キャンディーズの山里亮太さんと組んだ「たりないふたり」も大好きです。
世の中を生きていく上で毎回、足りない要素がある二人が、「飲み会から逃げる方法」や「『私っていくつに見える?』みたいな質問への対処法」など、社会に上手くやっていくにはを試行したこの番組は、何度も何度も繰り返し観るぐらい好きな番組でした。
2019年に横浜みなとみらいで行われた「さよなら たりないふたり」では、本来打合せを入念にやって行う漫才を何の打合せなしに2時間30分で2本も行い、若林さんのサイコパスなボケと山ちゃんの天才的なツッコミで次のステージに進む二人を感じさせる漫才を完成させていました。
なんでアドリブでそんな漫才をしたのかというと、若林さんは「山ちゃんとなら、会ってすぐに漫才ができると思った」と語ります。お互いにリスペクトを持ち、ラジオでお互いの良いところを語り合え、良きライバルでもある二人。
残念ながら、昨年の「明日のたりないふたり」で解散した二人ですが、またニッポン放送の「ミュージックソン」などで共演して欲しいなと思っています。
この「たりないふたり」の演出を担当した安島隆さんは二人について「同じ傷を持っている人だから」と語っています。
だからこそ、二人で番組を作ってみたかったそうです。
人と人とが惹かれ合ったり、良いものを作ったりしていく上で重要なのが「好きなもの」や「目指すもの」だけでなく「同じ傷」というところが新鮮でした。感受性が豊かだからこそ、様々なことを感じてしまう。でも、その溜まった感情をフルパワーで発揮できる相手がいる。時には「賭け」に近い試みができる。
僕はこのエピソードで思い出す人物がいます。
それは、SKE48の8期生である野村実代と9期生の青海ひな乃です。
野村実代と青海ひな乃はSKE48のチームSで同じチームですし、カミングフレーバーでも同じメンバーです。松井珠理奈プロデュースのBlack Pearlでも同じユニットです。シングル選抜でも「あの頃の君を見つけた」でも同時に入っています。
しかし、みよまるは第2回ドラフト経験組ですし、同期に選抜入りは先をこされています。「心にFlower」の選抜では、丁度撮影の時期であった2022年1月に青海ひな乃さんが、新型コロナウイルスに感染して選抜から外れてしまいました。
様々な要素があったにせよ、表には出さない悔しい思い、つまり「傷」もあったのではないか、と思います。
二人の関係を考えていく上で、重要になってくるのが、2021年12月末から2022年2月にかけての期間に行われた二人の生誕祭だと思います。
まずは、2021年12月5日 青海ひな乃生誕祭で読まれた手紙を読んでみましょう。
「青海さん、21歳のお誕生日おめでとう。
20歳の1年はどんな1年でしたか?
とても目まぐるしくて大変な時もあったかもしれないけど、忘れられない思い出がたくさん詰まった楽しい1年だったよね。
一緒にいる時間が凄く長かったから私は青海さんが毎日頑張っていることを知っているよ。
青海さんはどんな時も明るくて、人を惹きつける魅力があって、アイドルの才能がある人だと思う。
そして、何よりしっかり者だからパフォーマンスもトークも『この子になら任せられる』と誰もが思っているよ。
私は青海さんと一緒に過ごしていて驚いたことがあります。それは絶対に弱音を吐かないこと。
青海さん自身が覚えているのかはわからないけど、『疲れている時、疲れを人に見せたくない』って私の前で言っていたのが凄く印象に残っていて、本当にプロ意識が高いなと思ったし、ちゃんと支え合っていかなくちゃって凄く思った。
私は一応先輩だけど年下だし頼りになるかわからないけど、いざという時になれば何でも助けるから、いつでも近くにいるから頼ってね。
しかし、そんなことを言っても、きっと一人で何でもできちゃうスーパー人間が青海ひな乃。私の方が頼りにしちゃいそうだけど、これからもよろしくお願いします。
チームS、カミングフレーバーそして、同時選抜入り。性格は真反対だけどビックリするぐらい私たちって共通点が多いよね。それは偶然じゃなくて必然だと思ってる。根拠はないけど、隣にいるとしっくりくるし、安心するからきっとそう。だから、本当に出会ってくれてありがとう。
21歳の1年も自分らしく楽しんでね。
そして、お手紙を書かせてくださった生誕委員の皆さん、本当に素敵な機会をありがとうございます。
改めて本当にお誕生日おめでとう。
SKE48チームS 野村実代より」
「根拠はないけど、隣にいるとしっくりくし、安心する」という表現が、みよまるにとって青海さんがどんな存在かというのが伝わってきます。「疲れているところ」を見せないというプロ意識も素晴らしいです。普段から一緒にいる彼女だからこその手紙だと思います。
性格が真反対でも気が合うというのも素敵ですよね。
次に2022年2月16日に行われた野村実代生誕祭で読まれた手紙を読んでみましょう。
「みよまるさん、お誕生日おめでとうございます。
そして、手紙を書かせてくださった生誕委員の皆さん、ありがとうございます。
みよまるさんとは振り返ると私がSKE48に入ってから今日までたくさんお世話になってるなって思います。
覚えてないと思うけど、私が初めてチームSの公演にアンダーで出て、研究生の私は凄く不安で何が正解かもわからず頭がいっぱいの時に『ほんとに凄いね。完璧だったよ!』ってわざわざ声をかけてくれて、それが嬉しくて、安心させてくれました。
みよまるさんからしたら些細な一言かもしれないけど、私にとっては自信につながって、本当に助けになりました。
それからカミングフレーバーやチームSとして同じチームになって信じられないくらい仲良くなって、今ではくだらない話をしたり、ご飯を食べに行ったり、一緒にふざけられる仲になりました。それはみよまるさんの心が本当に人間とは思えないくらい広いからだと思います。
私たち後輩がどれだけふざけても、『本当に後輩かよ』って思われるぐらいに絡んでも笑顔で受け入れてくれて本当に感謝しかありません。ありがとうございます。
みよまるさんは本当に努力家で、いつも第一にファンの方のことを考えていて、『こうしたほうがもっとファンの方が喜ぶ』とかファンの方の視点になって意見を出していたり、自分のことだけじゃなくて私たちメンバーにも『こうしたほうがもっとよくなるよ』って声をかけてくれて本当に頼りになるし、尊敬できる先輩の一人です。
私はアイドルになってすぐにカミングフレーバーとしてたくさんの活動を一緒にしてきたので、みよまるさんの背中を見てここまで成長できたと思っています。だから次はみよまるさんから教わったことを後輩に教えられるように頑張ります。
みよまるさんは努力家の分、悩んだこともつらかったこともたくさんあると思います。
みよまるさんは『カミングフレーバーができる前は私には何もなかった』って言っていたことがありますが、私は勝手かもしれないけど、そんなことないと思います。
私がSKE48に入る前のみよまるさんを何も知らないけど、出会った時からキラキラしてて、みよまるさんのファンの方を見てるとカミングフレーバーの実代だけじゃなくて、アイドルとしての野村実代が好きなんだなって凄く伝わります。それはみよまるさんがアイドルになってからずっと頑張ってきたからだと思います。
みよまるさんのストイックな性格は本当に尊敬するけど、SKE48に入ってから今までの努力は一つも無駄な時間じゃないし、無駄なことなんてなかったと思うから自分を褒めてあげてください。
しつこいくらいに言ってると思いますが、みよまるさんはほんとに美人です。可愛くて、スタイルもいい。だから、みよまるさんの夢であるモデルに本当に心からなって欲しいって思ってるし、ずっとファンの一人として応援しています。
私も夢を追いかけてるかっこいいみよまるさんに追いつけるように、まずは選抜に戻れるように頑張ります。
『青海さんが選抜にいないの寂しい』って言ってくれてありがとうございます。本当に嬉しかった。だから待っててください。また隣にいて相応しい女になって帰ってきます。
本当にお誕生日おめでとうございます。
成人式の振袖、早いけどもう楽しみにしてます。
実代ちゃん、大好き!
青海ひな乃」
手紙の中に出てくる「ストイック」という言葉は、先ほど読んだ青海さんの姿とも重なるところがあると思います。
また、彼女への手紙の中に出てくる「ファン思い」という言葉は、みよまるとファンの方々との関係があるからかも知れません。
ちょっと彼女のアメブロを連続して読んでみましょう。
野村実代です❤️ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
野村実代です❤️ | SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba (ameblo.jp)
一つ目のブログでは彼女がいかに感情豊かな人間で、その放出を受け止めてくれるファンの方々の優しさが分かります。
二つ目のブログでは彼女に寄り添うだけではなく、ファンの方々が一緒に走っていることが伝わってきます。
ファンの人を大切にする思いは、手紙にも書かれている通り、青海さんにも伝わっていますね。
話を二人の関係に戻すと、今後僕が期待するのは、みよまると青海さんのダブルセンターです。
個人的には、フィロソフィーのダンスの「ドント・ストップ・ザ・ダンス」的なアプローチだとかなり輝く気がするんですが、皆さんはいかがでしょう?
外からみると「もっている」側の人間に見えるふたりですが、「たりない」なにかが二人が揃うことで補われていく、そんな理想的な関係がみよまると青海さんなのかも知れません。その背景にあるのはお互いへの尊敬ではないかと僕は思います。お互いの良いところを学びつつも、またお互いに上のステージでの再会を目指す。それが出来るのがこの二人だと思います。
あなたにとって、「たりない」何かを補ってくれるもう一人は誰でしょう?