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2019年10月4日金曜日

おすすめの映画と本「JOKER」



主観が入れ替わる時


 いきなり関係ない話から入りますが、僕は特撮番組が大好きで、その中でも「仮面ライダー龍騎」はベスト3に入るぐらい好きです。何故、好きかというと、13人の仮面ライダーがそれぞれの願いを叶えるためにライダー同士のバトルに挑みます。それぞれの「正義」を持って。「龍騎」が作れた背景には9・11以降の正義の多様化があったと思いますが、登場する人物によっては、その「正義」はどうなのか、と観ていて思うことがありました。しかし、当の本人からすれば、それが自分の信じる「正義」なんですよね。

 なんでこんなことを書いたかというと、劇場をふらふらと出た時に、僕は映画「ダークナイト」を見た時に、「なんだよ、こいつ。全く理解できん!」と思っていたんですよ。それは、ブルース・ウェイン視点で観てるからなんですよね。今回はその視点がアーサーことジョーカーに移ることで、大きく変わってしまった気がします。

 【ここからはネタバレ全開で】

 いやあ、なんというか精神を削られる映画でしたね。
 はっきり言って映画のスタート時は、めちゃくちゃ可哀そうな側の人なんですよね。なんか、おっかさんのお世話もして、良いやつじゃないかとね。
 ところが、生まれ持ったというか、持たされた障害のせいで、苦労し続けることになりましてね。周りの人から気味悪がられるわ、ボコボコにされるわで、ろくな人生じゃないんですね。
 そして、「魍魎の匣」風に言うと、彼岸と此岸を渡ってしまう瞬間が来てしまう。3人の証券マンは確かにムカつくぐらい最低のことをしているわけですよ。こいつらを撃ち殺した時に、正直、僕はピンチのワガンダにマイティ・ソーとロケットとグルートが来たぐらいのやったね感があったんですが、いやいや、待てよ、と。命、奪う必要あった?とね。こらしめるじゃ生ぬるいのか?
 そして、自分の母の過去が徐々に明らかになっていくところと、ソフィーが実は全然、アーサーに寄り添ってなかったという「虚」の要素が二重の意味でどんどん強くなります。
 やがて、暴動が起き、街がピエロだらけになるんですが、この辺りは人々の不満が具現化したようで、これ、フィクションだよね?どっかの国じゃないよね?と思わず確認したくなりました。
 同じ映画館の暗闇の中に居る人達は、ジョーカー側の人なのか、ウェイン側の人なのか。映画を観ながら、ふと観客席の表情も気になる映画でしてね。観終わって皆さんの心がどう揺さぶられたのかを聴きたい作品だなあ、と思いました。

 僕はジョーカーが小人の人を殺さないところが凄く好きでね。最後の良心だったのかなあ、と思います。

 まあ、でも、あのラストじゃないですか?
 嘘なの?これも?と思わされました。

 ただ、あのストーリーがジョークでも、ジョーカーらしいな、と思いますよ。
 ただ、あの「主観」から見た「正義」は危険な解放感と悲しさがありました。