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2021年7月18日日曜日

静かに流れる言葉

 受け継がれていく意志


 

 皆さんは、自分が組織の中で一番最年少だった経験はあるでしょうか?
 その時、先輩からかけてもらった言葉で印象的なものや、自分の指針になったものがあるでしょうか?
 僕は新卒1年目の時に、上司が何故か「潜ってきた修羅場が違う」ということを言っていたせいで、やたらと「修羅場に行ってみたいなあ」とバカ丸出しな影響を受けていました。


 SKE48が生まれて早くも12年の月日が過ぎました。
 その中で何人もの最年少メンバーが加入してお姉さんになり、次の最年少メンバーが入ってきます。センターを長年務めた松井珠理奈もAKB選抜の中で多くのお姉さんたちの中で過ごしながら、沢山のことを学んで行ったのではないか、と思います。


 ドラフト2期生の上村亜柚香も加入した時は、まだ11歳で最年少メンバーでした。
 チームSにはまだ宮澤佐江もいましたし、矢方美紀や竹内舞という公演の空気を作ることが出来るお姉さんたちが沢山いました。
 その中で彼女は、少しずつSKE48に成長していきます。
 加入から約3年が過ぎた頃の2018年1月28日に行われた上村亜柚香生誕祭の手紙を読んでみましょう。

 「亜柚香へ

 亜柚香と初めて出会った時、『なんだこの子供は』とその時、15歳で子供だったちかも思いました。

 先輩にたくさん甘えていて、ちかが先輩といた時、横から『ちかさん、ちかさん』と来て、ちかが話してた先輩はみんな『亜柚香可愛いねー』って言われ、いつも嫉妬していました。

 そんな亜柚香も今はたくさんの後輩がいます。

 でも、最近の亜柚香を見ていると、どこを目指しているのか正直分からないことがあります。

 亜柚香は今、自信を持って、これだけは誰にも負けへんってことがあるかな?もしあったとしてもちかから見て、伝わらないなーって感じる時もあります。あなたはもっと殻を破れます。楽屋のあの亜柚香をステージでもっと出してほしいです。

 他のチームにいるメンバーに『チームSに私がいたらもっと前に立てる』って言われること、めちゃくちゃ悔しくない?

 ちかが今一番伝えたいことは、もし組閣があって、した時に、今与えられているポジションには絶対に立てへんし、立つにはめちゃくちゃ時間がかかるし、相当な努力が必要です。だから、今を当たり前と思って欲しくないし、チャンスを無駄にしないでほしいです。

 でも、これは亜柚香だけじゃなくて、チームS一人一人そしてちかこも自覚を持たないとダメです。

 亜柚香は今自分が思っている以上にもっと頑張らないとダメだよ。でもね、焦り過ぎないでほしいです。焦ってしまうと周りが見えなくなっちゃったり、ファンの人も不安になってしまうからです。亜柚香は亜柚香のペースで進めばいいんだよ。

 そして、亜柚香は可愛いんだから、もっとツインテールをしなさい。
 

 ファンの皆さんはツインテールに弱いんだよ。
 

 『年齢が』とかよく言ってるけど、もっと周りを見てみな。亜柚香より年上の人なんて、やってるんだよ。


 誰とは言いません。

 ツインテールに年齢なんて関係ないよ。ちかはもっと可愛い亜柚香が見たいです。

 

 まだまだ大人っぽくなんてならなくていいし、今しか出せない上村亜柚香をこれからも出していってほしいです。困った時はいつでも頼ってね。

 ちかは卒業された『らりるれりーん』の先輩にこの言葉を言われたことがあります。あの時、ちかがたくさん支えてもらったように、今度はちかが亜柚香のことを支えられるように頑張ります。

 もちろん、亜柚香に負けないようにちかももっともっと頑張ります。

 改めて亜柚香、14歳のお誕生日おめでとう。

 亜柚香のことが大好きな松本慈子より」


 思えば、松本慈子がチームSに加入した時には、最年少メンバーでした。
 そして、手紙の中に出て来る「らりるれりーん」の先輩は、2017年にSKE48を卒業した後藤理沙子さんのことだと思います。
 ごりさ自身もSKE48の3期生の最年少メンバーとして入ってきましたし、チームK2時代には沢山のお姉さんたちの仲で活動していました。加藤智子さんや秦佐和子さんといった先輩たちの中で、沢山の言葉をもらって沢山の気づきがあったのではないか、と思います。
 本線から少しそれますが、ごりさが名言をブログのタイトルなどに様々な言葉を書き残していますが、最初は背伸びしたい年頃なのかな、と思っていましたが、加入した頃から学校とは違う社会の中に身を置いて、年上の人達と触れ合ってきたからこそ、見えてきた見識なのかな、と最近は思っています。きっと、彼女もお姉さんたちから、色々な言葉をもらって、それを同じように年少のメンバーとして入ってきた慈子にも伝えておきたいと思ったのではないでしょうか。

 そして、慈子も成長していきながら、後輩が出来、かつての年少組だった自分と上村亜柚香を重ね合わせたのかも知れません。
 彼女が伝えてくれた言葉は、その後の上村亜柚香のイベントや公演での写真を見ていると、きちんと伝わっていたのではないか、と思います。
 やがて、彼女はチームSの副リーダーとなります。
 2020年2月4日に行われた彼女の生誕祭の手紙を読んでみましょう。

「あゆかぴょんへ
 

 16歳のお誕生日おめでとうございます。

 

 手紙を書きながらこの場面であゆかぴょんが驚いていると想像しています。


 あゆかぴょんファンの皆様、私に手紙を任せていただき、ありがとうございます。

 お話をいただいた時はただ不安でいっぱいで、頭の中が真っ白になってしまいました。


 でも、あゆかぴょんのファンの皆様にも、私とあゆかぴょんの仲を認めてもらえたのだから、立派な文章を書かなければいけないけれど、今の私の気持ちを素直に伝えたいと思います。なので、引き受けさせていただくことに決めました。


 最初のあゆかぴょんの印象は、ほとんど話したことがなかったけど、笑い方がやかましいと思ってたし、話しかけづらい感が満載で絶対に仲良くなれないと思っていました。


 私がチームSに昇格させてもらって、同い年ってこともあって、いつの日か二人でお出かけしたりできるくらいに仲良くなれてとても嬉しく思っています。


 お出かけしてもいつも笑っていられて、先輩なのに友達みたいな感覚で、いつもめちゃくちゃ楽しいです。また電車でどっか行きましょうね。


 あゆかぴょんは先輩に自分から積極的に甘えたり話しかけるのが凄く上手で、特に写真を撮る時の距離が凄く近いので絶対私には真似できないから凄く羨ましいです。


 そして、私が一番あゆかぴょんに伝えたい感謝の気持ちは、私が参加したTCG静岡のSHOWROOMイベント最終日のことです。

 あゆかぴょんに『最終日の前日、一緒に出て欲しい』ってLINEしました。そしたら「いいよ」ってすぐに返事をくれて、気を紛らわすためにその前に映画に連れて行ってくれたりして、たくさん笑わせてくれましたね。

 長い配信にも関わらず、ずっとそばにいてくれて、何度も何度も励ましてくれたり、頭を撫でてくれましたね。

 残念な結果でしたが、私はあゆかぴょんからとっても大切なことに気づかせてもらいました。それは人のために何かをすること、人の気持ちを考えること、自分のことよりもファンの皆さんのことを考えることです。本当にありがとうございます。


 この気持ちを大切にして、これからも同じチームの仲間として、同じ歳の仲間としてお互いの良いことも悪いことも言える仲になりたいです。


 こんな私だけど遠慮なくガンガン頼ってください。よろしくお願いします。


 最後にあゆかぴょんにとって素敵な1年になりますように。


 あゆかぴょんのことが大好きなチームSの石黒友月より」

 

 加入した頃は、先輩に可愛がられる側だった彼女が、同い年とはいえ、後輩を支える側に回っていますね。
 先輩たちからもらった優しさや厳しさをきっと、後輩たちにも自分なりの味付けで受け継いでいるのではないか、と思っています。
 彼女の言葉が次は、誰に受け継がれてどんな成長を遂げて行くのか。
 ついつい、センターや選抜メンバーの継承の物語に目が行きがちですが、最年少メンバーたちの価値観やドラマもSKE48という大河の中で静かに流れ続けているのではないかと今回思いました。