過去の投稿

2020年8月25日火曜日

夢と日常と

文化祭の準備の夜




 仕事の関係で、このコロナ禍で日本においてよく観られた映画と今後期待される映画のデータ分析を個人的に先週からしていました(ちなみに、僕はこのデータから会社に何か提案したところで、どうしょうもないので、ここに書いておきます)。
 恐ろしいぐらい80年代から90年代の映画が多いです。
 先日読んだ映画ライター二人が書いた「ヨシキ×ホークのファッキン・ムービートーク」でも10年代にハリウッドで起こったリバイバルブームについて語っていますが、過去の美化だけが進んでいて、本当に当時興行収入が1位になった映画は、ろくにリバイバルされていないことが語られていました(単純にその映画がいかがなものか、という問題もあると思う)。また、素晴らしい名作を貶めてしまった作品も出てしまったとも。

 なんで作り手側も受け取る側も過去に頼るのか。
 一つは安心感だと思います。
 これは一度見ているから。
 面白いのが分かっているから。
 自分よりも上の世代が面白いと言っているから。
 
 そういえば、世界を制覇したマーベル映画やこの夏大ヒットした「今日から俺は!!」、どちらも過去に発表されたコミックのリブートですね。
 
 
 ふと、SKE48はどうだろう、と思いました。
 この10年間、様々な「目標」や「夢」がありました。
 「AKB48を超えたい!」、「ガイシホールでコンサートがしたい!」、「名古屋ドームでコンサートがしたい!」。個人のレベルでも総選挙という起爆剤があったので、目標が立てやすかったと思います。ランクインや選抜入りですね。そして、グループ内でのシングルの選抜に入る、センターを取るなんかもそうですね。
 
 しかし、この3年間でグループを取り巻く環境は大きく変わりました。
 総選挙もじゃんけんもなくなり、シングルの発売も1年に1回レベルになりました。
 握手会も形を変えつつあります。
 
 これまでの夢や目標と違うものを設定する必要があるんじゃないか、と思いました。
 話をエンターテイメント業界に広げると、現在、zoomを利用した演劇や映画作品の制作が進んでいます。また、アイドル業界では欅坂46や日向坂46の無観客配信が成功をおさめています。特に日向坂46は曲と童話のバランスがよくて、今年のナンバー1ライブだと思います。欅坂46の方は、最後に「お知らせ」があるということで、サプライズを待ちながらコンサートを楽しむという昔のAKBのコンサートを思い出させるものでした。
 
 形は違っても楽しさや感動は残って行く。
 じゃあ、SKE48はどうなのか?

 一部の選抜メンバーの個人仕事は充実しています。
 たとえば、週に1回はテレビでだーすーこと、須田亜香里の顔を見ます。
 彼女がSKE48と一緒に出てくれることで、SKE48が他の人の日常に混ざります。
 テレビなんてみないよ、youtubeとかなら観るよ、という方向けにもダンスにチャレンジする動画で彼女が出ていて、SKE48は知らないけど、須田は知っているからちょっと観てみるか、というところから、彼女のもっている本質に触れることができる。
 つまり、ちょっとずつ日常に混じっていき、少しずつSKE48側に引き寄せるのが、今の彼女なのでは、と僕は思っています(媒体は違えど、かつての松井珠理奈や松井玲奈がそうであったように)。

 ただ、名古屋ドームや総選挙という大きなイベントを乗り越えて、成功をおさめてきただーすーなので、今、SKE48をどうしたいのか、聞いてみたいところだと思います。

 同じチームEの倉島杏実先輩の「自分たちの世代で名古屋ドーム」に立ちたいという夢が僕は大好きです。
 SKE48に、松井玲奈に憧れて、ずっと見てきた人が、今度は自分の足で名古屋ドームまで辿り着いたら、きっと僕はその物語に泣いてしまうと思います。
 是非、倉島先輩には名古屋ドームまでSKE48を引っ張って欲しい。
 その反面、名古屋ドームという大きな目標は、2017年から2018年に再度浮上して、残念ながら10周年を迎えた日に沈んでいきました。あの時の絶望感。夢と呪いがコインの裏表なんじゃないか、とふと思いました。
 ひょっとしたら、珠理奈1位、だーすー2位という追い風を受けての開催を考えていたのかも知れませんが、現実は違いました。
 
 じゃあ、2020年現在、どんな夢を設定すべきなのか?
 「総選挙」、「名古屋ドーム」というSKE48が紡いでいった物語をもう一度、進むのか。
 それは運営が決めることなんで、なんとも言えませんが(もし、運営が何も考えてないとしたら、怖すぎる)。
 予防医学研究社の石川善樹さんの著作「フルライフ」によると、「大局観」をもってプランニングすると、1年目では他の人と違いはないそうですが、2年目3年目では大きな違いが出るそうです(この辺りは、『重心』をどこに設定するかとも大きく関わるので詳しくは読んでみてくださいませ)。運営が2022年までのプランをどう考えているか楽しみです。

 本当に余計なお世話ですが、一人のSKEファンが提案するとすれば、このコロナ禍の環境で伝説を書き換えてみせる企画ができないか、ということです。

 たとえば、カミングフレーバーを本気でSKE48の歴史をなぞりながら、選抜と別動隊として外で戦えるユニットにしようと思うのなら、「無観客配信ライブ2デイズで名古屋ドームの人数を超えられるか」という企画はどうでしょう?(別にカミフレに拘らず、SKE全員でも7期以降の名古屋ドームを経験してない世代でも結構です。) 
 場所は名古屋ドームにこだわる必要はないですが、名古屋ドームにライブカメラを何台か置いて、見え方も変わるマルチアングルで、アリーナ席の気分、天空席の気分、どっちも味わえるとかね。お金の関係で名古屋まで遠征に行けないけど、配信なら海外や遠くの地方からでも参戦できるよ、と(フォートナイトでの中継のようにユーザー側が可視化できる設定でも面白いかも知れません)。
 コロナ禍でできるチャレンジはないか。
 そして、次の目標へ。
 「知っている」場所にして、次の「知らない」場所へ。
 伝説を知らない世代が新しい伝説を作っていくチャレンジはどうだろうと僕は思います。
 

 昨日、「伝説のライブ」についての記事を書きましたが、どんどん美化されていくんですね。だから、過去を越えて新しい夢を作るアイディアが今の僕らには、必要なのかも知れません。
 勿論、劇場やゼストスクールという場所があるからこそ、文化として残っていき、日常の中にSKE48があるという未来でもいいと思うんですよ。たとえば、毎週土曜日に「オードリーのオールナイトニッポン」を聴くのが僕の習慣になっているんですが、それと同じように毎日、午後6時に公演を観るのが習慣になっていく人が増える、メンバーの夢が叶っていくという未来も大事にしていきたいんですけどね。
  
 ただ、なんとなく流れる日常と、遠くの夢のバランスがもの凄く偏ってるなあ、というのが、僕の現状の認識です。「オードリーのオールナイトニッポン」でも10周年全国ツアーがあったように、そろそろどでかい祭りのが欲しいぜ、いや、ワクワクするような文化祭の準備がメンバーと一緒にしたいぜ、とも思っています(急に比喩表現になりました)。カレンダーの日付を特別にしてほしい。
 
 前の夢と新しい夢、前の日常と新しい日常。
 全部、乗り越えて2022年のSKE48が、さらに面白いものになっていることを願っています。